Mission 3 ギルド
「メッセージを開いてくれ」
僕は、口でそういった。
すると、オペレーターが起動し、
{現在、2通のメッセージが届いております。
一通は、 ケリー 様からです。
一通は、 イジー 様からです。}
といった。
目の前にウィンドウが現れ、それを上から一指し指でなぞる。
すると、次のウィンドウが現れ
{メッセージを再生します}
というオペレーターが音声を
[おい、そろそろ『鈴の音』の会議日が迫っているですよ。
いいですか?会議日には、必ずのギルド部屋に来てください]
[イジーなり~
最近、PKプレイヤーが目立ってきてるなり。
アクトっちも気をつけるなりよ~?]
{以上です。}
プツンという音と共に、ウィンドウは全て消えた。
そして、中世の風景が広がった。
夕暮れに染まり、赤く染まっている。
「はぁ…行かなくちゃ…」
まだこのゲームを始めてほんの2週間程度。
僕はあまり人と関わるのは得意な方ではない。
故に、こう…ギルド、というものも中々理解できないでいる。
なのにこのゲームを始めたのも、高校生からは人との関わりを一番に持てるはずの最初で躓き、
結局の所は中学からも変わらぬ生活を送っているわけだ。
それをどうにか変えないといけない事ぐらいわかってる。
だけど、どうしても行動できないのが現状だ。
「メール作成」
{メール作成画面に移行します。}
と、ナレーションの声が脳内に響くと、メール作成という文字が頭に来て、
次に、宛先ID 件名 本文と続く。
また加えてここにはないが、画像や動画、音声の送信もできる。
その場合、ここには添付項目が追加され、そこを開く(言葉で開け)事により、
中の状態を別ウィンドウで確認できる。
[件名:なし 本文 なし]
それがまず見れたが、書く内容が思いつかない。
開いてみたものの、どうやら僕には文才はないらしい。
メール作成を指で縦にひと撫ですると、そのウィンドウは閉じられた。
それから、もう一度あの夕暮れの赤さが目に映える。
その景色を一瞥した後に歩き出す。
この世界でいう歩きとは、脳内信号を利用しているため、実際に体を動かすわけではない。
現実、脳への直接的なダイブがなされているため、
程したら休憩しないと、妙な気だるさを感じたり、
悪くて動けなくなる。
どうも、脳内信号の伝達速度が落ちているからとかだという話があった気がする。
まあ、詳しい話はよくわからないが、基本的には安否としては大事無いらしい。
今のROTの状況を言うと、
新ダンジョンの予定はないから、しばらくはギルド戦もない。
新ダンジョンっていうのは、アップデートなどで追加されるダンジョンのことで、
ダンジョン内容、場所は公開されず名前だけが表示されるだけ。
{ダンジョン:洞窟、が追加されました}
とか言うのが、ログイン時に出される。
いくらぐらいのレベル用とも言われず、初心者からしたら「え?」とかいうレベルだ。
運営…もう少し優しくできないものかね…といえるほど。
そして、このダンジョンというのは、他のゲームとは少し違って、
ギルド戦というもので取り合う。
その勝敗により、勝利したギルドにはダンジョンへ先に入る事ができる権利を得る。
先に入る意味は、ファーストリワードを得る事ができるためだ。
しかも、ダンジョンは2週間で消滅し、他のエリアでまた別のダンジョンが発生する。
それらを取り合うのがギルド戦というものだ。
ギルド戦では、プレイヤーが復活しない。
それぞれの領地の牢屋に入れられる。
牢屋から脱出はできず、モニターされた戦場をただ見るしかできない。
だからこそ、ユニオンギルドというものが存在する。
ユニオンギルドは、2以上のギルドが一つのギルドとして扱う事ができるようになる。
ユニオンギルドは、次に参加したギルドでファーストリワード権限を得る事ができる。
これをゲーム内では、FRLと呼ばれている。
FRLを得られなかった相手のギルドは、SRLを得る。
これにより、ギルド戦は終了するが、クライミナルギルドの介入により、
横取りという事が発生した。
{--- 緊急告知 ---}
その時、目線の左上に見えるHPバーとMPバーが緑ゲージと青いゲージになって見えており、
HPバーの右端から 83205/83205 MPバーも右端から 12840/12840 と記されていた。
その下にはEXPと記された黄色のバーに、数値が 5991/34000 と記されていて、
そして、それらの上に { Lv23 SwordKnight}とあった。
かつ今記されたウィンドウでなく、スライドメッセージは頭上に流れていった。
{新ダンジョン グランドスカイが現れました}