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第四話 プレゼント

 



「今日はだな……これで終わりじゃないんだ」

「え?」


 繁華街だけじゃないの?


「今日はお前にプレゼントがあるんだ」


 そして向かった先は指輪屋さんだった。


「好きな指輪を選んでくれ」


 そしてそう言ったミルト様。


「もしかしてこれって……」

「いや、たいそうなものじゃない。まだ一日しか共にいないしな。指輪が嫌だったら、ネックレスや、イヤリングもあるぞ」


 そう言われて周りを見渡すと、壁にネックレスなどがかかっている。しかし、どれも高い値段だ。私の借金の倍くらいの値段がするものがざらだ。

 その値段を見て少し怖くなった。

 これは流石に……高すぎる。


 奴隷に与えるものではない。

 将来花嫁にしたい人であっても。


 私は首にかかってる首枷を軽くさする。


「私……こんな高い物いただけません」


 もっと安いものもある。

 プレゼントでいきなりこんなものを送られては、愛が重すぎる。


「いや、気兼ねなく買ってくれ。もし遠慮するのなら、俺が勝手に買うだけだ。お前に似合いそうなネックレスや指輪を何個でもな」


 そう言って笑うミルト様。

 私に拒否権など、一切無い様だ。


「じゃあ、選びます!!」


 仕方がないので私は一番好きな宝石のついたネックレスを選んだ。

 そのネックレスの輝きに目が奪われたのだ。それをミルト様に手渡すと、


「流石メア、良いセンスだな」


 そう褒められた。

 別に雑に選んだだけなんだけど。


「ただ、気に入った選んだだけです」

「それでもだ、俺もこれを付けたお前を見たくなった。絶対に美人だろうと思うし」

「っなんでそんな恥ずかしいことを」

「照れるな」

「……」


 私の顔絶対いま赤いだろうな。そう思うとまた恥ずかしくなる。


「とりあえず買いましょう」

「そうだな」


 そしてネックレスを買い、店を出る。結局これもいいんじゃないかと言われ、様々な物を買わされてしまった。ドレスや、カバンなど黙ざまな装飾品を。

 もうすでに思っていたことだが、これじゃあ、私とミルト様。どちらがご主人様か分からなくなる。


 ミルト様はもう私のことを奴隷だとは思っていないだろうけど。


「みて、黒髪よ」


 そんな声が聞こえた、その方向を見ると、数人の女性がくすくすと笑っているのが見えた。


「不幸を呼び寄せるから、外出ないで欲しいわね」

「そうね」


 その光景を見て、ミルト様は軽く息を吐き、親指を軽く噛んだ。


 思えば今日の待ち行く人たちのミルト様を見る目も少し怪訝そうな目だった。

 恐らく、ミルト様を恐れているのだろう。


 常日頃から言われているから、もう言い返すのも憚られてるのだ。

 私は少しいやな気分になった。


 ただ、生まれた時に、一般的ではない目や髪の色なせいで、嫌われているのだ。

 そりゃ、私のような奴隷を買う訳だ。

 そして私はその選択を軽蔑なんてしない。


 そして帰り道。周りを見渡すと、奴隷に対する目も変わる。

 皆馬車馬のようにはあtら化されている。

 それを見れば、私は何て幸運なんだろうと思う。


 こんな優しいご主人様に拾われて。


 そして屋敷に戻ると、ご飯が待っている。


 私、こんなんじゃだめだ。

 養われているだけじゃダメなのだ。


 ミルト様のことを癒している? 事で、活躍で来てるのかもしれないが、私からも行動を起こさないと。

 他の奴隷たち、メイドたちは必死で働いてるのに、私はただミルト様の食事に付き合うだけだ。



 翌日。私は早くに起きた。そして、メイドさんに話しかける。そして聞いた。


「手伝えることはないかしら」と。


 私はそもそも奴隷だ。

 性奴隷として扱われないのなら、メイド、召使として扱われるべきだろう。

 私は別に労働は嫌いではない。


 流石に、性処理の道具にされるのは話が違うが、掃除、家事、ここらの物は私の得意分野だ。

 そもそも対価を得ずに、食事を得るのがなんとなく、嫌なのだ。

 私はちゃんと働いて、その対価を得たい。


 結局、召使さんたちに頼み込み、掃除をすることになった。その間にメイドさんたちは別のことが出来るからWINWINだ。

 これを見られたらミルト様はどう思うのだろうか。

 でも、私は彼のために役に立ちたい。


 掃除をして、そのまま色々として。


 朝八時になったから、ミルト様に話しかけに言った。


「おはようございます、ミルト様」


 私はミルト様の布団をはがしながら言った。


「メア?」


 驚いたような表情をしている。

 面食らったのだろうか。

 まさか私が起こしに来るとは思ってなかったのだろう。


「食事が出来ております」

「ん、ちょっと待て、君は召使じゃないよな」

「はい、そうですよ」

「なら、なぜ君が」

「昨日のお礼にと思って」


 昨日色々としてもらった。だから私も恩返しがしたいのだ。


「それはあくまでも召使の仕事なんだけどな。まあいいか」


 まあいいか、諦めてくれたのか。


「俺は気味に働いてもらうために買ったんじゃない。俺は君に、俺の結婚相手になって欲しいから買ったんだ。それは君の意思にもよるが。だから別にゆっくりしててもいいんだ」

「そうはいきませんよ」

「なら、仕事じゃない、他のことを頼みたい」


 そして私はミルト様の隣のベッドに寝ころんだ。


「本当にこんなので良かったんですか?」

「ああ。これでいいんだ。メアは俺の光だ」


 私としては隣で眠るだけだったら別にい。

 いくらミルト様とは言え、いきなり抱かせてくれなんて言われたらどうしようと思っていた。

 そんな事態が発生しなかっただけでうれしいものだ。


 というか、ミルト様の肌感触が暖かい。

 背中がちょこんと当たってる、それが初めて感じる感覚過ぎて、不思議な感じがする。

 男性の暖かさ。これも、抱かれてるのと同意なのでは、と、寝返りを打つ振りをして、遠くにのけぞいた。


 ミルト様は再び眠りの世界に行ったみたいだ。


 私はそんなミルト様をなでる。


 私は本当にミルト様の光に慣れているのだろうか。

 私が彼に優しくしているから、勝手に私のことを光に思ってるだけなのではと。


「俺は、悪魔じゃない」


 途端に寝言が聴こえる。

 ミルト様のものだ。

 うなされているのだろうか。

 思えば私はミルト様のことをあまり知らない。

 起きたら少し聞いてもいいかなと、眠るミルト様を見て思った。

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