スピードワゴンはクールに去るぜ...!(サブタイトルと本編の内容は関係ありません)
百合って素晴らしいですよね。
「白石ちゃんそれ美味しそうだね」
飴を口に含んでいる白石をみた彼女は舌を小さく出し、ニヤリと笑った。
それは彼女が「面白いこと」を思いついた時にいつもやる仕草だ。
「それ、何味?」
「えっと、ミルクですね」
「良いね。白石ちゃん...それ一口くれない?」
「良いですよ。はいどうぞ」
白石はそう言ってポケットから飴を1つ取り出し彼女に差し出した。
「違うよ」
「え...?違うって何が——んっ...!?」
あろうことか彼女は白石に思いっきりディープキスをかました。
「黒井さ...!んっ///!」
黒井は何度か舌を絡め合った後に口に含んでいた飴を口移しするように奪い取ったのち口を離した。
記念すべき第1話であると言うのに初手からディープキスとは...うらやま......けしからん。
「ん!美味しいねこれ。どこに売ってた?」
「美味しいね!じゃないですよ!...これは学校の近くのコンビニに売ってました」
「へぇ...じゃあ帰り寄って良い?」
「良いですよ。ついでにアイスとかも食べましょうか...って違います!」
「え?何が?もしかしてこの飴売ってる場所間違えた?」
「そっちじゃないです。ここ学校ですよ?今いる図書室はあまり人が来ないからまだ良いとして、周りには私達が付き合ってるのは内緒なのに...」
白石はそう言いながら困ったような少し嬉しそうな顔をしていた。
そう。この2人は百合カップルなのである。
「こういう人目の無いところでえっちなことするの興奮するよね」
「え」
「だからさ...キスなんかよりももっと凄いこと......しよ?」
「え、いや...さすがにまずいですよ...」
黒井はひたすらに白石に近づこうとし、それに合わせて白石は後ずさる。
「こんなとこダメですよ...!」
「大丈夫大丈夫。先っぽだけ。先っぽだけだから。ちょっと先っぽ挿れるだけだから大丈夫だって」
こいつ「先っぽ」と「大丈夫」ばっか言ってんな。
「ナニを挿れるんですか!?黒井さん女ですよね!...って壁が...」
「はい壁ドーン!」
「ひゃあ!」
「もう逃げられないね」
「ダメですって...!こんなとこ見つかったら停学どころじゃ無いですよ!」
「私は白石ちゃんと一緒なら退学どころか自殺だって良いよ?」
「・・・。」
「...それに白石ちゃんがこういうの好きなの知ってるんだからね」
そうやって耳元で囁くのと同時に白石の顔と耳が真っ赤になる。
「ち、ちが...」
「なんも違くないでしょ?...ほら正直に言ったらいっぱい良くしてあげ...」
そこまで言った所で黒井が視線を横にする。
その先にいるのは正座して2人を眺めている私を見て。
いつもは攻めなのに攻められると弱くなる女の子って可愛くありません?