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第四話 嵐の前の静けさ

もうすぐで時期的にはポーランド侵攻が始まりますね。さて、この時点でどれだけズレているのか


ぜひ、お楽しみに

 1939年5月24日 大ドイツ国/バイエルン州・ミュンヘン陸軍基地内

 ワルキューレ独立装甲師団/第601装甲中隊

 Side:へレーネ・フォン・フリューゲル


「むー、めんどくさい。あぁぁっ! やってられるか! こんな事!!」


 バイエルンからご機嫌よう。

 元ドイツ帝国侯爵令嬢、現ナチス・ドイツ猟犬という悲しい経歴をもつへレーネ・フォン・フリューゲルですわ。


 さて、今ヒステリー持ちの厄介女かの如く甲高い奇声を上げながらベッドに倒れ込んだ私。

 何をこんなに嫌がっているか? 

 それは……。


 書類。


 そう、ツークシュピッツェ山かの如く天高くまで積まれた書類の山を始末することである。

 正直、怠い。

 ボリシェビキのクソッタレ共のケツアナに75mmを叩き込むより怠い。


 あら、ごめんなさい。

 汚い言葉をツイツイ使ってしまいましたワ、おほほ。


 ……って。


「何やってんだ、私……?」


 まさか、書類の山を処理の辛さのあまりイマジナリーフレンドが爆誕したバカリか、謎の貴族令嬢もどきな口調の私が産まれるとは……全部アドルフ・ヒトラー総統とヘルマン・ゲーリングってヤツが悪いんだ。


 こんなクソの300乗みたいな書類を寄越しやがって……許せねぇ! 

 まぁ、ゲーリングは私怨だけど。

 この師団自体、陸軍だし。

 なんだったら、銀翼党の私兵集団が起源だからナチ党あまり関係ないけど。


「はぁ、やるか。文句言ってもこの書類たちが逃げる訳じゃないしね」


 そう呟きながら、私は再び椅子に座って、憂鬱な机へと向き合う。

 にしても、周辺諸国との関係が急速に悪化しているこのタイミングで移動命令と物資、人材の補充とはね。


 私の指揮する第601装甲中隊だけでも、5両のⅢ号戦車と2両のⅣ号戦車、50名の人員、その他予備弾薬燃料等の必要物資が補充される。

 これで、601装甲中隊からⅠ号戦車やⅡ号戦車と言った旧式戦車は完全に排除され、最新式のⅢ号、Ⅳ号戦車へと全戦車が更新される。


 さらに、今までワルキューレ独立装甲師団全体で不足していた通信士や整備士も十分な数が補充される予定だ。

 正直、今まで中隊長や戦車の車長としての役割をこなすのでかなり忙しいのに、さらに通信士の役割をやらなきゃいけなかったからかなり大変だったのだが、これでだいぶ楽になる。


 楽になるからありがたいのだが。

 どうしても、察してしまう。

 もうすぐで、戦争が始まってしまうのだろうと。


 まず、この国は何処に噛み付くのだろうか? 

 フランスか? ポーランドか? 

 あるいは、北欧諸国? 

 いや、この3つの選択肢ではない。

 フランスやポーランド、北欧諸国と戦争をすれば、必ず大英帝国が干渉してくる。


 我らの祖国、ドイツ国が盟主を務める鋼鉄同盟に参加している国は、大ハンガリー帝国とブルガリア・ツァーリ国それとアルバニア国。

 そう、我々には海軍が不足している。


 だから、史上最強の海軍たるロイヤルネイビーを有する大英帝国と殴りあうのは避けるはず。

 少なくとも、橋頭堡の確保交渉が終わるまでは。


 では、かつての復讐を掲げる我々の軍は、何処へ向かうのだろうか? 

 ……あぁ、ここか。

 私は、一枚の書類を見て納得した。


 私の姉さんならこの国を確かに許さないだろうな、と。

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