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第一話 武装親衛隊との実戦形式演習/前編

あ、一応書いておきますね。


この作品は、ナチズムやファシズム等の過激な政治思想及び人種差別を肯定するものではありません。

 1939年5月17日 大ドイツ国/バイエルン州・ミュンヘン陸軍基地内

 ワルキューレ独立装甲師団/第601装甲中隊

 Side:へレーネ・フォン・フリューゲル


「10時方向に敵戦車発見! 敵車両の種類は一号戦車。徹甲弾を装填して!」


 私は、Ⅳ号戦車D型のキューポラから顔を出して、辺りを索敵しながらそう叫ぶ。

 すぐに、車内から装填手の少女からの返事が響き渡る。


「Pzgr39、装填完了!」


 うん、いい感じの速さだ。美しい赤髪が特徴的な装填手の少女、エステルは1ヶ月前に私達の乗る戦車が3人乗りの戦車(Ⅱ号戦車)から5人乗りの戦車(Ⅳ号戦車)に変わった時にワルキューレに来た新入りだが、中々いい筋をしているらしい。

 その成長速度は、目を見張るものがある。


「へレーネ、いつでも撃てる」


 そんな事を考えていたら、砲手をしているアーデルハイトがそう短く言う。

 旧ドイツ帝国の伯爵家に生まれた銀髪碧眼の少女アーデルハイトは、私の幼なじみで、彼女の放つ砲弾は今のところ100発100中だ。


「よし、撃て(フォイエル)! 」


 私が、そう言い放つと、その3秒後に重く大きな爆音が鳴り響き、Ⅳ号の7.5cm砲が火を吹く。

 すると、練習用のペイント弾が敵車両に命中し、黒光りしていたⅠ号戦車の側面装甲が派手な赤色に染め上げられる。


 これで3両目。

 残りあと2両だ。


 撃破確認をすると、私は再び大きく口を開く。



「イルゼ、すぐにエンジンを回して。敵戦車が集まってくるよ!」


「ヤー! 軍隊ごっこをしてるヤツらに補足なんかさせないっすよ」


 そんな元気そうな少女の声が聞こえると同時に、Ⅳ号戦車の車体が揺れ始める。

 徹底的な隠蔽のために停止させておいたエンジンが回り始めたのだ。


 イルゼは、ベルリンで小さなパン屋を営む両親のもとに産まれたいつも元気な茶髪ポニーテールの少女だ。

 この戦車の操縦を行っており、いつも私の無茶な指示もなんやかんやこなしてくれる優秀な子である。


「その意気よ、イルゼ。クソッタレな秘密警察共はコソコソした治安維持に注力してれば良い事を教えてやりなさい。エステル、次は煙幕弾を」


「了解です! Nbgr装填完了!」


「よし。じゃあアーデルハイト、煙幕弾を私たちから出来るだけ遠くの所に撃って」


「分かった」


 その一言の後、再び砲声が鳴り響く。

 ヤツらは、徴兵されたばかりどころかそもそも武装組織としての枠組み自体が最近に出来た武装親衛隊の装甲小隊だ。

 恐らく、煙幕が焚かれている所に私たちのⅣ号戦車がいると少しの時間思い込んでくれるだろう。

 ここは、針葉樹がたくさん生えていて視界も悪いしね。

 それだけの時間さえあれば、エンジンも温まる。


 煙幕が焚かれている方へと近づいてくる2台の戦車の音が聞こえる。

 撃破済みの敵戦車は、一号戦車2両とⅣ号戦車C型が1両。

 事前にみた敵編成から考えるに、残りの2台の戦車は、三号戦車B型一両とⅣ号戦車D型が一両であるのは間違いない。


 こちらは、Ⅳ号戦車D型一両のみなのだから、よく考えて行動しなければ容易く撃破されてしまうだろう。


「へレーネ少佐、もういつでも動けるっすよ」


「分かった。じゃあ、とりあえず森林地区を抜けて、人工高地地区を取るわ。戦車前進(パンツァーフォー)!」


 私たちのⅣ号戦車は、見当違いな場所に撃ち込まれて、地面に炸裂する敵戦車の砲弾の音をBGMにして、別の場所へと移動を開始した。

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