LOADING2 超兵器グレイツ
あれから捕虜の研究員から、あの機体についてさまざまなことを聞き出した。
「名前は超兵器グレイツか。しかしワノーが能力者-アビリティーズ-専用兵器を極秘で開発していたなんてな。」
その超兵器グレイツは、能力者-アビリティーズ-の細胞に反応するまったく新しい兵器のようだ。
「だけど、よくこんな少年が国のNWをあれだけ動かせたもんだ。」
研究員は感心していたが、無駄口叩くなとエルズにはたかれた。
一方で、ワノー軍は大騒ぎしていた。なんせ、自軍の兵器が敵に奪われてしまったのだから。
「なんとしても!あれを回収せよ・・・!」
そういって、ワノー軍は超兵器グレイツをエルズたちのメルカ軍に差し向けた。それはメルカ軍も気付いた。監視のマークス・ディドンはその状況を伝える。
「グレイツ!数は、30機以上です!!」
「そんな!1機だけでも圧倒的なのに・・・」
エルズはがくりとうな垂れた。この超兵器グレイツの、とてつもない破壊力を乗っていて1番わかっていたから。でも対抗しないと犬死にになってしまう。
「よし、オレが行こう。この機体は本国にそのままで持ち帰るべきだ。」
そう提案したのは、エルズと同じロスターのエース戦士ミア・ガッハロだ。彼はエルズと同期に軍に入ったので、養成学校時代からの親友だった。
「フォルヴォの機動力なら、まだ互角にいけるはず。」
隊員たちは大丈夫かとも思ったが、エルズは任せたと言った。
「フォルヴォ、飛ばすぜ。」
勢いよく、ミアは飛び出した。そしてかかんに攻撃をしかける。
「うおおおっ!」
「効くかって、そんな弾。」
弾幕をいとも簡単に防がれてしまった。防御したグレイツは球体状になっていた。
「この野郎、ワッフ・トネコに弾ぶち込むたぁいい度胸だ。」
「やめろよ、ワッフ。アイアンは最新鋭の機体だ、傷つけんなよ。」
そういってワッフとレイド・ジョーズはミアのフォルヴォに襲い掛かる。しかし、すばやい動きに二人はてこずる。
「よし、スピードならこっちが上。なら接近戦でどうにかなる!」
ミアは二人に突っ込むが、あっさりとかわされる。そして、怒ったワッフは能力-アビリティー-を発動した。
「おんどるぁ!磁石鉄球-マグネットボール-とくと味わえぇい!」
フォルヴォは瞬く間に、アイアンに吸い寄せられる。磁石鉄球-マグネットボール-は、特定の金属でできたものを吸い寄せ攻撃するのだ。これでは、機動力もくそもない。
「うっ・・・」
「残念でーしたー。」
エルズが通信でそう伝えると、艦隊からミサイルが発射された。フォルヴォと同じ金属でできたものなのでただのミサイルが、自分の力のせいで追尾弾になってしまったことにワッフは気付かなかった。すべてのミサイルが被弾する。
「うぐぐぐ!その虚をつく攻撃、エルズ・タミアッツかぁ!?」
ワッフとエルズは、国際軍人養成学校時代の旧友だ。それゆえ、弱点も知っている。なおも容赦なく、エルズはミサイル攻撃を続けさせる。
「遠慮なんかしねえよ、ワッフ・トネコ!」
「させないよ、そんなマネは。」
レイドは機体の右腕をエルズたちの軍艦につけた。すると、軍艦がシステムダウンをおこした。レイドの能力-アビリティー-である、衰弱の右腕-ダウンライト-の力だ。右腕で触れたものを、すべて弱らせる能力-アビリティー-なのだ。
「っくそ!オレが出るしかねえな。」
超兵器グレイツを、エルズは動かした。出てすぐに、二人の攻撃の波がきた。
「くたばれえぇぇ!」
「誰がくたばっか!」
アイアンとグレイツは、激戦を繰り広げる。そこに、ミアとレイドも加わる。4人は空中で小規模戦争を始めていた。ワノー軍メルカ軍ともに、手が出せないでいた。
「このぉぉぉぉ!おちろおおおおおおおお!!!!!!!!」
「おちろと言われて、おちるバカはいないね。」
ミアのミサイルを、すべて鉄さびにかえたレイド。レイドの機体は、右腕が異常に強化されている。
勘のいいミアは相手も相当のリスクを負っていると、確信を持った。
「持久戦に持ち込めば勝てる!」
攻撃範囲の外ぎりぎりを飛び回る。レイドは、焦りを隠せない。その証拠に攻撃自体、単調になってきている。
「ぐうう、右腕がぁぁ!ここは引くしか・・・」
レイドの右腕はただれていた。力の使いすぎによるものだったのだ。これは使い物にならないと思ったレイドは通信で、ワッフに撤退を伝えた。
「あのガリ!さっさとケリつけねえから・・・」
エルズと交戦していたワッフも引き返し、事態は一時的に解決した。そして、戻った艦内で祝宴が行われた。
一方、レイドは集中治療を受けていた。力を酷使したため、全身の細胞がボロボロになってしまったのだ。
「先生、いつまでこのカプセルにボクは?」
「最低3ヶ月だよ、無茶しすぎだ。」
その返事でレイドは心に傷を増やした。