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第三章

第三章



 軽速歩けいはやあしの説明は、一定の凸凹の道を自転車で走っている状態で説明出来るように思う。


 凸凹の道を走っていると、自転車が上下する。


 特に下がりきった時から上に上がる時に、お尻とサドルが強く押し合う。


 そこでそれを軽減するために乗っている人が、凸凹に合わせて立ったり座ったりを繰り返す。


 自転車が下がりきった時に立ち上がり、凸を一回やり過ごして次に下がりきった時に座る。


 下がりきった時に立ち、座る。


 軽速歩は、このようなものだ。


 馬に戻して言えば、前足が着地した瞬間に、馬体は下がっている。


 その瞬間に合うように立ち上がる。


 そして馬体は上がり、次の前足が着地した瞬間に、馬体は再び下がっている。


 その瞬間に合うように座る。


 馬の足音は、馬体が下がりきった瞬間の合図で、ここに自身の動きを合わせるのが軽速歩だ。


 上手い人の動画を見て、Sは軽速歩をそのように理解した。


 そして自分の動画を見て、馬の足音の「ザッ」と音がした時に立ち上がりと、座りが完了していないことを見つけた。


 Sは「ザッザッザッ」と口に出して、立ち上がり、座るを繰り返し練習した。



 一週間後、最後のレッスンが始まった。


 この日も曇りだった。


 自分なりの練習はしたが、Sに周りの景色を観察する余裕はなかった。


 Sは馬に乗り足音に合わせて、上下運動をした。


 一週間前よりもタイミングは合っていた。


 すると最初に言われた馬体の上下感覚が、確かに足で感じられた。


 しかし立ち姿をくずしたり、座るタイミングが微妙にズレる。


 Sは前回を思い出し、お尻の感覚に注意した。


 タイミングが合うようになり、Hからもいいですね、と声かけられるようになった。


 何とか明日の実技試験は通るか、とSは感じた。


 Hより、「今日良かったですよ」と声をかけられ、Sは「今日の明日なんで、多分大丈夫です」と答えた。


 ライセンス五級の試験は、明日だ。

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