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第二章
第二章
帰ってからSは、立ち座りを様々な場所で、事ある毎に繰り返していた。
その中で、一番鐙に乗っている感覚に近いのが、階段の角を使うことだった。
また、中国武術で使われる馬歩と言う形が、馬に乗っている状態に近いと、それも取り入れた。
一週間後、曇り空の下、二回目のレッスンが始まった。
桜は萼も落とし、新芽が木を覆い始めていた。
前日の雨で馬場が濡れていたため、馬が歩く度に大きな音を立てる。
Sはその音を頼りに立ち、座った。
鞍にぶつからないように、お尻に注意を向ける。
リズムはまだ合っていなかったが、前回よりも出来るようにはなっていた。
Hから指摘を受ける。
頭が前に行く、肩がすぼまる、足に力が入っている。
Sは今回、自分の姿を撮ってもらっていた。
帰ってそれを見て、研究するのだ。
出来ないまま、二回目のレッスンが終わった。




