表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ETERNAL PROMISE【The Advance】  作者: 小林汐希
6章 あなたにあいたくて…
71/147

[6章2話-5]:助けてくれたのに、あたしは…




 保健室に運ばれた菜都実は、すでに気を取り戻していた。


「今日はどうする? ずいぶんひどい貧血みたいだけど。もう5限目だし、帰ってゆっくり休んだ方が良くない?」


「そうします」


 保健の先生に言われ、菜都実もそれを素直に受け入れることにした。


 ただし、菜都実は真っ直ぐには家に帰らなかった。


「おじさん……。今日病院はお休みだよね……?」


 学校が見えなくなったところの公衆電話で、菜都実は叔父に電話をかけた。彼は隣の市内で内科と婦人科を営んでおり、菜都実もよくそこに世話になっている。


「お休みの日でしかお願いできないことがあるんだけど……」


 話が終わると、菜都実はそのままバスに乗って病院に向かった。




 その医院は休診日だったけれど、念のため外来の建物には立ち入り出来ないようにしてくれていた。


 誰もいない診察室で、菜都実は心細そうに落ち着きなく座っている。


「菜都実ちゃん」


 白衣姿ではなく、普段着で結果の出た用紙を何枚か持ってきた彼は、菜都実の前に座った。


「うん……」


「菜都実ちゃん、分かっていたのかな?」


「うん……」


 菜都実がうなずくのを見て、彼は一応事務的に結果を告げた。


「一応事務的にお話しするな。結果は想像どおり陽性。まだ初期だが、君の中にはもう一人の命がいるんだ」


「はい……」


「相手の人は分かってるのかい?」


「うん……。幼なじみだよ」


「そうか……。それじゃぁちょっと厳しいな……。学校とかにも言えないだろ?」


「うん……。許されないと思うけど……」


「ま、そこはどうにかしよう。でも、ちゃんと家族と彼には言っておいた方がいいだろう?」


 黙って頷くしかない。


「今日はもう遅いから送っていくよ。弟たちにも一緒に言ってあげる」


「うん……」


 表から見えないように、通用口から菜都実を表に出し、彼は菜都実を助手席に乗せて発進した。



「どうした。やっぱり怖いか?」


「ううん、そうじゃない。怖くなんかないよ。でも……」


「でもどうした?」


 外は雨が降り出していて、制服で乗っている菜都実を気にするような人はいない。


「助けてくれたはずなのに、あたし結局やすに迷惑しかかけられない。やすとの結果だもん。本当はすごく嬉しい。でも結局あたしは……」


 この結果は、保紀が自分を助けるために行ってくれたことの代償だ。自分も同意したのだから、彼に責任を押し付けるつもりなど最初からない……。


 それでも、周囲はそう思ってくれないだろう……。助けてくれた彼が一方的に責任を追及されることは耐えられない……。でも、自分に何ができるのか……。


「ちょっと早すぎたんだな。これがあと5年ぐらい後だったら、誰もがこの結果に喜んであげられるんだけどな」


「そうだよね……」


 車は菜都実の家に到着する。叔父は菜都実と一緒に店に入り、弟である菜都実の父親に耳打ちする。


 マスターは店を臨時休業にすると、緊急家族会議となった。


「なんてことを……。一応聞いておくけどな、相手は保紀君か?」


「うん……」


 父親に言われ、菜都実は顔を上げられなかった。


「これが3年先でおまえが18歳になっていれば、喜んで嫁に出してやるんだが。まだ……、そうもいかないか……」


 そこに話を聞きつけて、保紀が家族と一緒に駆けつけてきた。


「菜都実!」


「ううん。あたしが悪いんだから。あたしがお願いしたんだもん」


 さすがにまだ早すぎる行為の結果だとして、二人ともみっちり怒られてその日は解放された。


「兄貴、迷惑かけてすまない……」


 その場で話し合いが行われた結果、やむを得ないが二人の将来を考えたうえで、菜都実の体をそのままには出来ないということも決まり、事態は内密に収める方向性で話がまとまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ