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ETERNAL PROMISE【The Advance】  作者: 小林汐希
6章 あなたにあいたくて…
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[6章2話-2]:菜都実の立ち位置は




 中学3年生1学期の中間テストも終わり、菜都実は部活の練習を引き上げ、昇降口で上履きに履き替えた。


 夕日もかすかに赤みを残すだけ。暗くなった校内には人影も見えないし、ほとんどの部屋の明かりが消えていた。


「遅くなったなぁ……」


 この夏の大会の予選も近い。夏の大会を終えれば結果はどうであれ菜都実たち3年生は引退だ。


 小学校の頃から体を動かすことが好きで、常に体育は5段階評価の5。


 中学1年生で陸上部に入ってからは、その頭角をめきめきと現し、常に学年のトップを走り続けてきた菜都実は、学校にとっても期待のホープであり、彼女自身も次の大会にかける意気込みは並々ならぬものがあった。


 この日の練習がここまで遅くなったのも、合同練習はもっと前に終わっていて、表向きは彼女自身が自分に課した居残り練習……だった。


「もぉ、全く嫉妬って恐いなぁ……」


 独り言をつぶやきながら、さすがに疲れた足をひきずり、教室のある最上階まで階段を上る。踊り場の窓からの色は、もうすぐ完全に周囲が暗くなることを告げていた。


 公立校で進んできた子たちには、高校で初めての受験を体験する中学3年生という時期は、誰だって不安定になる。


 それが自分の外に飛び出し、誰かの方向を向いてしまうと、周囲はそれぞれが抱えたそのイライラを同じベクトルに向けてしまう。


 特に微妙な心理の女子にとって、そのベクトルから外れることが非常に恐い。仲間はずれというレッテルを貼られたとたん、自分も被対象になってしまう恐怖感が常にあるからだ。


 そのきっかけは何であってもいい。周囲より何かが優れているとか、彼氏がいるとかそんな些細なことであっても構わない。いつ、自分が目標になってしまわないかと。


 だからこそ、どこかのグループに属していたいから、本音ではやりたくないことも、作り笑いをしながら同調しがちだ。


 それらのグループに属していない子は、本当に一部のごく少数派。


 自分の強い意志で適度な距離感を維持出来ている方はいい。問題なのは、いわゆる仲間外れにされてしまった側だ。


 個人的な心情では「かわいそう」と思っていながら、その子に手を差し伸べることによって、自分がグループから外されるだけでなく、理不尽な目に遭うことも少なくないから。


「まったく、バカバカしい……」


 もともと、小学生時代から菜都実はそういった同調行動には加わらないと立場をとる考えの持ち主だ。


 だから、小学生のときもあまり友達が多い方ではなかった。男子の比率の方が多かったくらいだ。彼女にとってはその方が都合がよかった。


 中学に入ってからもそれは続いていて、部活選びも自分一人であっさり決めた。


 その性格や行動力から、グループから強制スピンアウトされてしまった子の相談相手になったりすることもあったほどで、そういった子たちからは信頼も厚いのだけど、それはあくまで例外的なケースだ。

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