2.冬翔の決意
お待たせしました!
「何言ってんの?僕は男だけど」
冬翔の爆弾発言のせいで、早くも私の男の子デビューは幕を閉じてしまいそうだ。
それだけは絶対に阻止しなければならない。
「あれ?ってきり女の子が男子の制服を着てるのかと「ちょっと待ったー!」えっ?」
「ちょっと一緒に来て!」
結局、たまたま空いていた教室に冬翔を連れ込み、話をしようと決めた。
「おい、どうしたんだよ急に」
「いやいや、どうした?じゃねーよ!」
冬翔の顔を見た時から思ってたけど、ド天然だな、こいつ。
これからも関わっていくとすると、いずれボロを出すに違いない。面倒な事になりそうだ。
「あー、もしかして機密事項だった?ごめん」
「いや、まあ、そうなんだけどね?それより、どうして僕のこと女だと思ったの?」
冬翔は「なんで?」と言わんばかりに首を傾げて答えた。
「え、どうしてって言われても……。だって女の子でしょ?」
「まさか、見た目でわかったの」
「うん?普通に誰でも気づくでしょ」
いやいやいやいや、私が女だって気づいたの今のところ貴方だけなんですけど!?
「……それ、本気で言ってる?」
「え、逆に分からないの……?」
冬翔のこと、ただのド天然な奴だと思ったけど、人を見る目はいいっぽい。
だが、これからどうしよう。
正直に私は女だと言ってしまうか、恍けてここはやり過ごすか。
でも、冬翔はもう私が男のフリをしている女だと確信している。
「冬翔、お願いがあるんだけど」
「うん、何?」
「もう分かってると思うけど、僕は女。女が男のフリをしているなんて、気持ち悪いって思うかもしれないけど、これからは僕を1人の男として接して欲しい」
「わかった、天上さんがそう言うなら」
「あと、天上さんじゃなくて祐希でいいよ」
「おけ」
これで一先ず冬翔のことでは問題解決したけど、教室の方はちょっとやばそうだな。
クラスメイトが私と冬翔の話を聞いてるのにも関わらず、教室抜け出して来ちゃったし。
葉月もさっきの話を聞いて、私に対して少なからず疑問を抱いたはず。
「どうしよう……」
「え、何か問題でもあるの?」
「いや、クラスとか葉月に何て説明しようかなって」
冬翔は顎に手を当てて考えている。
私も懸命にどう説明しようか考えたが、結局何も案が浮かばなかった。
本当にどうしたらいいんだろう。ずっと教室から抜け出していれば、余計怪しまれる。
もう、クラスの皆にも私の秘密を明かさなきゃダメなのか……?
私が諦めかけたその瞬間、ずっと考えていた冬翔の口が開いた。
「ねぇ、今回の件、僕に任せてくれない?」
「……え?」
「僕がクラスの皆に祐希のことを説明する」
それって、まさか……。
「安心して、祐希が女の子だとは絶対言わないから」
「本当に?」
「うん、任せといて!」
私にはもう、どうすることもできない。
ちょっと不安だけど、ここは冬翔に任せるとしよう。