1.まさかの事態
カクヨム、アルファポリスでラブコメを執筆中の橘奏多先生とのリレー小説になります。
週一回このページで交互に投稿していきますのでぜひ読んでいただけると嬉しいです!
予測不能な展開にご注目ください!
「君って女の子でしょ?」
『はっ?』
冬翔の爆弾発言に私は固まった。背中を冷たい汗が伝う。
「何言ってんの?僕は男だけど」
軽く睨みながら心底理解できないという口調を作る。顔が引きつってないといいのだけど。
「あれ?ってきり女の子が男子の制服を着てるのかと「ちょっと待ったー!」えっ?」
「ちょっと一緒に来て!」
「祐希!?」
「うわぁ、ちょっ、引っ張らないでよー!」
私は慌てて遮ると、冬翔の腕を掴んでたまたま空いていた教室まで連れて行った。
(何言ってくれちゃってんの!?というかなんでバレた!?)
私の頭は大混乱を起こしていた。
***
「おっ、A組か」
昇降口に掲示された新しいクラスを見て呟いた。ここから新しい高校生活が始まると思うとなんだかジーンとする。苦労して遠い学校に来たんだから、私が女だなんてバレることがないようにしないと。
私は覚悟を決めて新たな教室に向かって歩きだした。
「おっ、お前が隣か。俺は水上葉月。よろしくな!」
教室に入って早々に話しかけて来た男子がいた。いかにも運動部です!といった見た目で、茶髪が柔らかな日差しを受けて輝いてる。
「僕は天上祐希。よろしくね」
「おう!」
私はできる限り普通に返す。内心ではバレてないか心配だったが、平気だったようだ。
「お前なんでこの学校来たの?」
「うん? なんでそんなことを聞くの?」
突然の質問に身構える。
(これはバレてるの!?私のような奴は来るなみたいな!?)
葉月は首を傾げて、「いやなんとなく?」といったのでホッとした。
「心機一転みたいな感じ。そういう葉月は?」
( いいよね?呼び捨てでいいよね?女の子だとちゃん付けから始めないと偉そうとか言われやすいけど男子同士で君付けなんてなかなかないよね?てか気持ち悪いよね?)
男子として振る舞ったことなんてないからわからなくて、自分の行動1つ1つに心配になってしまう。
「うーん?俺は家が1番近かったから」
「いや理由が軽いな!」
「だって県内じゃどうせここが1番偏差値高いし?」
「近いから行こうで受かるお前がすごいよ......」
私がどれだけ苦労して受験勉強したと思ってるんだ!っとジト目で睨むと葉月は笑った。
「やっと肩の力抜けたみたいだな」
「えっ?」
「明らかにお前緊張してただろ」
まさか気づかれてたなんて。軽薄そうな見た目に反して色々見てるらしい。
「はは、バレてたか」
「誰が見ても分かったと思うぞ」
「マジ!?」
あ、あれ?私ってそんなにわかりやすかった?
自分の分かりやすさにちょっと落ち込んでしまった。
「ま、まあありがとう」
「いーえ」
歯を見せて笑った葉月にちょっとバカにされてる気がしてぷいっと横を向いてしまった。
その時丁度先生が来た。これから入学式だ。
入学式は特に何もなく普通に終わった。男の子の制服って座るのが楽で、スカートとは大違いだ。
「いや、校長の話長くね?」
「それね。流石に眠かった」
「やっぱりそう思うよね!あ、僕は東雲冬翔。よろしく!」
葉月と話していると、1人の男子が話しかけてきた。黒髪がクルクルしていて、タレ目な彼はほんわかした雰囲気ですぐに好感を持った。
「おう、俺は水上葉月だ」
「僕は天上祐希。冬翔、よろしくね」
3人で話していると多くの視線が向いているのを感じる。まあ、当たり前だろう。葉月はチャラそうだけどイケメンだし、冬翔はほんわかした雰囲気が女子の母性をくすぐる見た目をしている。......まあ、私も男としては綺麗な顔立ちと言えるんじゃないだろうか。私はきりっとした男っぽい顔つきをしている。女子としては全然嬉しくないが男子としてみるとなかなか中性的で女子からかっこいいと言われる顔立ちだと思う。自分じゃよくわからないけど。
そんな視線に少し居心地悪い思いしながらも3人で取り留めもないことを話していると、冬翔が私に言った。
「天上さんって思ったより話しやすいね」
「うん?話しづらそうに見えた?」
なんか嫌な予感がする。それになんでさん付けなんだ?確か葉月には君付けだったと思うんだけど。
「うん、ちょっとね。なんか訳ありかと思って」
「ごめん、ちょっと意味がわからない」
雲行きが怪しくなってきた。葉月は冬翔の言葉に首を傾げている。
「あれ?君って女の子でしょ?」
『はっ?』
冬翔の爆弾発言にこちらの話を聞いていたクラスメイトの多くが固まった。みんなそんなに私たちの話しに興味あったんだね。っと現実逃避したくなるがそうもいかない。
まさかの事態に私は頭を抱えてしまった。
読んで下さりありがとうございます!