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第二章 34 | 一冊の本を求めて ①


◇ narrator / 来次 彩土(キスキハニ)

───────────


 神書館に着くなり清光から聞いたコーナーを見に行くと、其処(そこ)には確かに目的の人物が書物を漁っていた。

 僕はこれから彼女に声を掛けないといけない。



「さてさてどうしようかしら?」


「なにがですかー?」


「──ックリしたー。

 ……ちょっとコノミさん? さも今まで会話してたかのように割り込むのやめて? ビックリしちゃうでしょ?」



 本棚の影からその人物を眺めていると、後ろから唐突に声を掛けられた。

 対象の人物に集中し過ぎて左手の『把握』から漏れたのか?

 それともその事まで込み込みでコノミの『幸運』が働いているのか。

 恐らく彼女も僕と同じで『課題』を達成する為に資料集めに来ていたのだろう。



「まーまーいいじゃないですか。で どうしたんですー?」


「こいつ聞いちゃいねぇよ。

 ……あーあの子、ほら今 本を手に取った子いるだろ?

 今日、僕のクラスに転入して来た子なんだけど、

 ちょっと話し掛けたくてタイミングを見計らってるとこなんだよね……」


「へー。──え? てかめっちゃカワイイ人じゃないですか!

 うっわしかも おっぱいデッッカ! 好き!!」


「お前の中身オッサンかよ。いや確かにおっぱい大きいけど。

 もっとおっぱいの他に目に付くところあるじゃん?」


「えーおっぱいの他にですか? でも確かに全体的にカワイイの化身ですよね、マコト先輩レベルかも。

 ……けどやっぱり一番素晴らしいのはおっぱいだと思います。

 あれ多分Fカップはありますよ? 下手したらもっとデカいかも。(たぎ)りますねぇ……」



 この子おっぱい連呼し過ぎじゃない? いや僕もか。

 しかも滾るってなんだよぶっちゃけ過ぎだろ。分かるけども。



「お前の中身やっぱりオッサンじゃない? え、ていうかあのおっぱいFカップなの? 見ただけで分かるものなの?

 あと僕が見てほしかったのはおっぱいよりもっと上ね? 顔のとこ見ろ、顔のとこ」


「顔ですかー? あっ! やっぱり顔もカワイイじゃないですか~!!

 肌もまっしろだし髪とか超フワフワの金髪で──、

 ──あれ? あの人ちょっと耳が長くないですっ!?

 まさかアレですか、よくエッチな本とかでエッチな目に遭う種族の方ですかっ……!?」



 うーん、例えが残念過ぎる。

 こいつ薄い本とか持ってたりするのかしら?


 そして正解である。彼女はエルフらしい。

 というかエッチな目に遭う種族で通じちゃうエルフってほんと可哀想だなぁ。

 なんかもっとこう、弓が上手いとか、叡智(えいち)に満ちてるだとか、寿命が長いとかいろいろとあるじゃん?



「お前それ絶対本人に言うなよ? なんか今日自己紹介してたけど、正確には『ハイエルフ』って種族と人間のハーフらしい」


「はえーなるほど。エルフってみんなあんなにおっぱい大きいんですかね?

 しかしうらやまけしからん、頼んだらワンチャン揉ませてくれないかな。

 先輩ちょっと聞いてみてくださいよ、『おっぱい揉ませてくれませんか?』って」


「いや絶対に無理だろ。お前さっきからどんだけおっぱい揉みたいんだよ。

 そんなに揉みたいなら自分の揉んどけばいいじゃん」


「いや私のおっぱいはDカップなので触り心地だいぶ違いますよ。

 そもそも自分のおっぱいなんて今更触ってもって感じですし、なにより私が触りたいのはあくまであのカワイイ人のおっぱいなので──」


「──ン"ン"んっ!!」


「「──あ……。」」



 本棚の影に隠れてコノミと論争を繰り広げていると、後ろから分かりやすい咳払いが聞こえた。

 振り返ると、そこには僕達の話題に上がっていたエルフさんが、一冊の本を脇に抱えて立っている。



「え、えっとですね、その…。

 人のおっぱi──む、胸の事をそんなに何回も、それにカワイイとか言われるのも、ていうかそもそもここ、図書室な訳ですし、お静かにというか──」



 あー全部聞かれてたのかぁ。

 ていうか顔めっちゃ赤いけども大丈夫かしら?

 いやまぁあれだけ自分のおっぱいについて語られたらそりゃそうだよねって話だけども。


 しかしこれは相当警戒されてしまった気がする。

 やばいなぁ、こっからどうやって普通に会話する流れにもっていこうかしら…?



「──ほんとですよね! 私も同じ女性としてどうかと思いますよ! ほら先輩早くあやまってください」


「──は? え、お前なんで急にそっち側なの? どうして僕だけ──」


「いーいからほら! 謝ってください。ほらほら早くっ!!」


「えぇ…。す、すみませんでした……」


「いえ、私は別にいいのですけれど……」



 あっ、いいんだ。良かったぁ…。


 ていうか速攻で僕を切り捨てて自分の保身に走ったコノミさんマジで(クズ)過ぎない?

 なるほど「葛西(カサイ)」の「()」は「(クズ)」って意味だったんだね! ちぃ覚えた!!


 お前マジで許さねえからな、的な視線をコノミに向ける。

 するとその視線を何やら勘違いしたらしい彼女は、僕にだけ見えるようにバチコーン☆とウインクをして、「任せてくださいっ!!」とばかりにエルフさんに提案を始めた。



「お騒がせしてすみませんでした! あの、私一年A組の葛西好弥って言います。

 お姉さんすっごいかわいいですね! よければ少しお話させてもらってもいいでしょうか!」


「あらあらご丁寧にありがとうございます!

 私もこちらの学校の事はまだよく分からなくて、お友達になれる方を探していたところなので、お話を聞かせてくださると嬉しいです!」



 エルフさんはコノミの言葉を聞くと目を輝かせ、コノミの手を取りブンブンと上下に振った。

 その動作で、彼女が抱えていた本が床に落ち、本のタイトルが目に入る。



『北欧の神々と、子孫たる英雄たちの武勇録(ぶゆうろく) Ⅳ』



 ……なるほどね。

 やはり清光の言っていた通りのタイトルか。


 ていうかもう既に見つけているとは思わなかった。

 このままだとマズいぞ、どうする──?



「私はマリー=アンデル、どうぞマリアと呼んでくださいな!

 見ての通り半分人では無くエルフでして、この度フィンランドの分校から、北欧の神々の仲介で日本の神選学園に転入して来ました。

 どうぞこれからよろしくお願いいたします!」



 そう言うと、マリアはペコりとお辞儀をしてきた。

 そしてそのまま床に落ちていた『北欧の神々と、子孫たる英雄たちの武勇録(ぶゆうろく) Ⅳ』を拾い上げる。


 ……このまま彼女にあの本を借り出されると、神選学園の外に最高神の力が漏れていってしまう可能性があるらしい。


 さてさてどうしようかしら?

 なんて考えていると、マリアは僕の方を向いて、視線で「あなたはどなたですか?」と聞いてきた。


 僕と彼女は同じクラスなのだけれど、僕の方はまだ彼女に自己紹介してないので知らなくて当然である。



「あ、僕は来次彩土です、よろしく。

 マリアさんと同じクラスなんだけど、さっきはほら、めちゃくちゃ人に囲まれてたから挨拶できなかったんだよね。

 明日にでも自己紹介しようかなって思ってたんだけど」


「あぁ、同じクラスの方だったのですね!

 カサイコノミさん…、キスキハニさん…、お二人とも覚えましたわ!!」



 そう言うと彼女はまたしても嬉しそうに目を輝かせる。

 ……こんなに嬉しそうにしている彼女から、僕はどうにかして本を奪わないといけないのか、やりづらいなぁ……。


 なんて考えていると、隣りのコノミがちょいちょいと手招きをしてきて、僕に少し屈むようにジェスチャーを送ってきた。


 なにかしらと思い屈んでみると、コノミはマリアに聞こえないよう、僕にだけ小声で耳打ちをしてくる。



「(マリアさんのさっきの咳払(せきばら)い、ちょっとエッチでしたよね!)」


「(めっちゃ分かるぅ。けど静かにして? マジでお願いだから…)」



 こいつマジでぶれねぇなと思いながら、三人で座れる席に移動し始めた。




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