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次の神様になってくれ ~色を変える能力を持った僕の、無茶で無謀な神様ダマし~  作者: 由木兼人
第一章 最初の試練編 / 僕の願いを聞いてくれ
19/69

第一章 16 | 跳び出した先で ③


◇ narrator / 来次 彩土(キスキハニ)

───────────



「── 水色と白のストライプ……」


「…… あんたぶちのめしてあげる」



 今日一度やったやり取りを繰り返す。

 流石に飛び蹴りまでは再現しなかったが、その変わり僕の顔に弱めのデコピンをしてきた。


 よく見れぱ表情もだいぶ違う。

 部屋の時の睨めつけるような視線とは変わって、その目からは柔らかい感情が見て取れた。


 下敷きにされてる僕には抵抗のしようがないし、このくらいの威力であれば普段なら全然ウェルカムなのだが、今はそうも言ってられない。


 何よりなんかこの状況は色々と恥ずかしいのでやめてほしい。



「……あのマコトさん、退いてもらっていいですか」


「あ、ごめん、ありがと。……あんたよくマーカー持ってたわね」



 マコトはそう言うと僕の上から腰を退かした。

 どうにか上手くいって良かった、実は僕も無理かもしれないと思っていたから。


 なぜなら。



「いや、実は持ってないんだよね、マーカー」


「──え? どういう意味……あれ? どこいったの、さっきまで……」



 僕の言葉を受けて、マコトは足下のマーカーを探す。

 しかし見当たらない、当然だ。

 本当にマーカーなんて持ってなかったのだから。



「ちょっと見てろよ、今1つ作るから」



 僕はそう言って2人の足下の地面の色を変更した。

 そしてさっきまであったのと同じように、記憶の中のマーカーを色で再現する。


 奥行きも、光源の当たり具合も完璧だ。

 ただ色を塗ってあるだけなのに、本当に目の前にあるかのように見せる。


 うん、我ながら完璧な出来映えだと思う、さっきの壁の時もそうだけど頑張ったな僕。



「…うそ」


「ほんと」



 それを見て驚いたマコトが、短く声を漏らした。

 僕もそれに同じように返す。



「つまりお前はマーカーがあると認識さえすれば跳べるって事だ。()()()()()()()()()()()()()


「知らなかった。あたし今までこんな事できた試しないのに……」



 正直そっちも賭けではあったが、僕の方も同じくらいダメ元のようなものだった。

 壁の色を変えて状況を再現するといっても、あそこまで精密に多色の色を変えた経験は無かった。


 それに幾ら精密な画面を造っても所詮それは本物ではない。


 実物を見なければ跳べないというルールが強固なものだったら上手くいかなかっただろう。



 けど試した価値は十分にあった。

 おかげで、これからこのゲームを巻き返す事ができるかもしれない。



「マコト、時間がない。協力してくれ、清光(キヨミツ)に追いつきたいんだ。あいつが今、宝石を1つ持って活州(イケス)と合流しようとしてる」


「分かった。……でも、迷路(ここ)で見失ったら見つけるのは難しいんじゃない? 今あたし達は2人だし、新しい宝石を探すのも手だと思うけど」


「いや、この左手のおかげで迷宮内の事が分かるんだ。だからあいつが今どこを走ってるのかも、もう一つの宝石がどこにあるかも知ってる」



 その言葉に、マコトは納得したような顔をした。

 詳しく左手の説明をした方が良いかと思ったが、必要ないようだ。

 ここに転送される直前のケイナの言葉が聞こえていたのか…?



「もう1つの宝石、今レンが持ってるみたいなんだ。それを守りながら活州と応戦してるっぽい」


「じゃあ清光の宝石を狙うにしても、もう一方の宝石を狙うにしても、結局は同じ場所に辿り着くって事なのね」



 マコトを脱出させようとしてる間の話だ。

 僕が宝石を手にした場所と似た空間にレンが入り、そこで何かを手にしたのが伝わってきた。


 そして、その後に活州と鉢合わせ、以降戦闘に入っているのも分かっている。


 清光が活州と合流しようとしている以上、活州と応戦してるレンとも同じ場所に集まる形となる筈だ。



「そうだ。清光の宝石を奪い取るか、清光と活州が合流するよりも先に、僕達がレンと合流できれば勝ちだ! 急ごう」



 そう言って、僕は地面に左手を置き現状を探る。


 清光が活州と合流するまであと1~2分程掛かるようだ。

 どうやらレンと活州が戦闘をしながら移動している事で、清光は当初よりも合流に時間が掛かっているらしい。


 そして奇妙な事に藤収(フジマキ)と呼ばれた清光の仲間も、マコトが居た空間を潰してから動きがない。



 これならまだギリギリ間に合うかもしれない。



 僕はマコトにこれからの作戦を伝えると、彼女は少し動揺したようだったが、頷きを返した。


 これも賭けだ、出来るかどうかは五分五分だろう。

 でもやれるだけやるしかない。




「──よし行くぞ。このゲームに勝って学園に帰ろう」




 僕がそう言うと、直後にマコトの願能の感覚が全身を包んだ。



読んでくださってる方ありがとうございます (*'-'*)

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