【8】商売開始の日
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ぼくは朝陽と共に目を覚ますと窓を開けて空気を入れた。とりあえず宿屋のロビーでワルキュリアを待っていると、エリナがホットミルクを差し入れてくれた。
「ありがとう。」
そう受け取り。飲んでいるとワルキュリアは赤い鎧兜に身を包んだワルキュリアがカシャカシャと音を立てて2階から降りてきた。
ぼくとワルキュリアは二人で露店のジダンの下へと出向いた。そして、ジダンに会うとワルキュリアを見るなり
「おっ、お前なんで『滅獄のワルキュリア』を連れてんだよ! 露店街をぶっ壊す気か! 」
「ワルキュリアってそんな恐れられてんの?」
「いやぁ。エヴァンス様。。。そんな事は無いはずです......。」
ワルキュリアは自信無さ気に引きつった笑いを見せた。ぼくはそんな事は気にせずにジダンに市場の位置を訊ね。ワルキュリアと市場へ向かった。そして銀貨8枚で小麦粉を60㎏買うと、露店で銀貨2枚で少し綺麗な白いシャツと紺色のジャケットを買い。
ぼくとワルキュリアはフランティア公国のマリシア領へ向かう馬車が集う。西門へと向かった。ワルキュリアは女性と言えど最強の戦士らしく60㎏の小麦粉を担いでもびくともしなかった。
西門へ辿り着くと。そこにはドルトリア王国の紋章の入った馬車や。フランティア公国の紋章の入った馬車や。紋章の無い民間の馬車等が待機していた。ぼくは身綺麗な紳士に声を掛け
「どうですご主人。フランティア公国への旅路に世界最強の護衛を付けて安全な旅にしませんか?今なら銀貨2枚で良いですよ。」
そうシルクハットを被った貴族では無いが、身綺麗な紳士は
「ほほう。彼女が世界最強の戦士ワルキュリアか。確かに噂の通りに赤く美しい鎧に、長く艶やかな金色の髪。話の種に1つお願いしてみようかな。ホホッ。6号車に頼むよ。」
そう言って。ぼく達は『6』と書かれた民間の馬車へと乗り込み待機した。ぼくはその時に馬車の騎手に銅貨5枚を渡して
「これで旅の途中に『流石! ワルキュリア様が居ると魔獣が寄り付きませんな! 』と大袈裟に言ってください。」
そう伝えると騎手は
「その程度の事で銅貨5枚貰えるんなら、お安い御用ですよ。」
そう快諾してくれた。ぼく達を従えた紳士は『フロイツ』と言い。元々は農夫であったが、山に植えている果物を乾燥させたドライフルーツでを販売する事で財を成した新興の起業者で、お金の使い方に見栄を持っていた。
フロイツは馬車に到着すると。ぼく達に、如何にしてドライフルーツで財を成したか自慢気に語ってくれた。それはぼくにとって、この世界での商売をするに貴重な情報でもあった。
エヴァンス(10才)
銀貨10枚
銅貨7枚
木綿の服×2
柔らかい靴×1
青い布×1
皮の袋×1
紙×10
ペン×1
インク×1
白いシャツ×1
紺色のジャケット×1
小麦粉×60㎏
【人脈】
露店商人の男 ジダン
宿屋の娘 エリナ
宿屋の親父 ガルボ
世界最強女戦士 ワルキュリア