【6】宿屋の一幕
ぼくはテーブルからパンを取りワルキュリアにあげるとワルキュリアは
「ありがとうございます! 」
と言ってパンに噛り付いている。ぼくは『世界最強』の言葉は必ず役に立つと思い
「エリナ。ワルキュリアの宿代は幾ら溜まってんの? 世界最強ってどのくらい有名なの? 」
そう訊ねるとエリナは、ぼくに
「ワルキュリア=ドラクルスは世界中で有名よ。そのお陰で国土を広げ続けているゲンシュタット帝国もドルトリア王国への進行を足踏みしてるんだからね。それなのに銀貨10枚も払えない程貧しいだなんて......。」
「じゃあその銀貨10枚をぼくが支払うよ。その代わりワルキュリアさんは、ぼくと一緒に商売をやろうよ。」
ぼくはそう言って、パンを咥えて座り込むワルキュリアに手を差し出すと。ワルキュリアは大粒の涙を溢しながら、ぼくの手を掴み
「ワタシでよければ! 全然手伝わせてください! ハンターやってても銅貨1枚も稼げないワタシ何かで宜しければ! 」
ワルキュリアは立ち上ると、ぼくをギューッと抱き締めて。丁度ぼくの顔はワルキュリアの張りの有る大きな胸に挟まれてモゴモゴともがいていると。
エリナはぼくとワルキュリアを引き離して
「ワルキュリアさん!アタイのエヴァンスに変なちょっかい出したら直ぐに宿屋から追い出すからね! 」
と睨み付けていた。ワルキュリアは赤い兜を外すと金色の長い髪を揺らして膝ま付き。
「解りました! それではエヴァンス様! ワタシは何をやれば宜しいのですか? 」
「今日は良いから明日の朝にこの宿屋のロビーに集合だよ。」
そう言うと。ワルキュリアは頷いて自室へと戻って行った。ぼくはとりあえずエリナに銀貨10枚を支払い、晩御飯の後にもう一度色々とこの世界を教えてもらう事にした。
ぼくはエリナが部屋から出ていくと。手持ちのお金を数え
「銀貨20枚と銅貨13枚。」
そう呟きながら。ドルトリア王国の銅貨、ユーロシア王国の銅貨、フランティア公国の銅貨、ゲンシュタット帝国の銅貨をテーブルに列べると残りのお金を袋に仕舞い。テーブルで
「海の近くのユーロシア。合衆国的なフランティア。連邦政府の様なゲンシュタット。今の世界は王政の延長で封建的な階級制度みたいだな。て事は血縁で由来か。」
そんな事を呟きながら。銅貨を指差しているとワルキュリアが、ぼくの部屋へ晩御飯の誘いに来た。
この宿ではロビーにテーブル席が幾つか有り。宿代にこの食事代は含まれているが、お酒とミルクは別料金になっていた。
ぼくがテーブルに座るとワルキュリアもテーブルに座り。テーブルの上にはスープと干し肉とチーズが並べられており。もう1つ空の器があった。
エヴァンス(10才)
銀貨20枚
銅貨13枚
木綿の服×2
柔らかい靴×1
青い布×1
皮の袋×1
【人脈】
露店商人の男 ジダン
宿屋の娘 エリナ
世界最強女戦士 ワルキュリア