【3】ドルトリア王国
この街は王国であるらしく、大通りを北へと向かうと城が在った。堀と城壁に囲まれた洋風な石作りの立派な城で有り。
近くまで行ったものの屈強な警備兵が並び、民間人が立ち入る事は許されて居らず。竜と槍を模した紋章を付けられた馬車のみが出入りしていただけだった。
(そう言えば最初に会った婦人の日傘にも緑色の紋章が描かれていたな。城の門の紋章は赤い。きっと何か有るに違いない。)
そう考えながら堀の周りを歩くと脇に屋台でパンを売っているぼくと歳が近い感じの女の子が居た。パンは1つが銅貨1枚で売られており。
ぼくは銀貨1枚を渡してパンを2つ買い銅貨を28枚受け取った。そしてパンを売る女の子に城の事を訊ねると
「へぇ。君はここの王国の子じゃないのね。ここは『ドルトリア王国』と言って竜騎士だった先々代のドルトリア様が悪いドラゴンを倒して創られた王国なのよ。」
「ロマンチックな国だね。じゃああの紋章は竜騎士を表していたんだね。紋章の色の違いは何かあるの?」
「紋章の色の違いに興味を持つ何て変わった子ね。アタイはエリナって言って、この近くで宿屋をやっているの。安くするから泊まって行かない?この王国の事を教えてあげるわ。」
「本当?ちょうど宿屋を探していたんだ。ぼくはエヴァンス。よろしく! 」
「じゃあご飯付きで銅貨15枚でいいわ。付いてきて。あなたラッキーね。今日はマーメリアから旅芸人の人達も泊まりに来ているのよ。」
そう言って。エリナはぼくを直ぐ近くの宿屋へと案内した。
エリナはくせっ毛の茶色い髪にクリッとした大きな目が特徴で、いつもパンを焼いているからか焼き立てのパンの様な甘い香りのする子だった。
宿屋は一階は受付と広間で。吹き抜けの2階が客室となっていて。真ん中の部屋にぼくは案内されて。そこで銅貨を15枚渡した。エリナは笑顔でそれを受け取ると
「宿の事は受付にパパが居るから。解らない事があったら訊ねるといいわ。優しいパパだから安心して。アタイはまだパンを売ってくるから夕方まで待っててね。」
そう言って部屋を出て行った。ぼくはテーブルの上に荷物を広げてお金を数えた。銀貨が30枚に銅貨が13枚有った。
(現状だと40日はこの宿で暮らせるが。それで終わってしまう。)
そう考えて、お金を稼ぐ方法を考えないといけない事に気が付いた。気になる事は山程あるが、ぼくはお金を袋に仕舞うとベッドに横になった。色んな事があり過ぎて少し疲れてしまったのだ。
エヴァンス(10才)
銀貨30枚
銅貨13枚
木綿の服×2
柔らかい靴×1
青い布×1
皮の袋×1
【人脈】
露店商人の男 ジダン
宿屋の娘 エリナ