【32】エヴァンス商会
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翌日になり、朝から露店街で全日使った干し肉の残りで試食をさせたり。他店との価格差で。魚油を200壺と魚醤を60壺を売り。夕方には全て売り切り。ぼくは88枚の銀貨を手に入れて合計の銀貨100枚を越えて。その日の商売を終わりにした。
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――ぼくはフロイツと分割納品で話を着けると。300台ずつ納品して10日間で3,000台の納品を終え。金貨40枚を手に入れた。
それから数ヶ月の間に。ぼくはその金貨40枚を元に中古の、元はパン屋だった店舗を買い取り。書士官のクリストフ=アルケミアを雇いドルトリア王国営業許可取得した。そして屋号を『エヴァンス商会』として、ワルキュリアとポポロに運送を任せ。フロイツ商会への七輪の卸売りを主体として経営を行ない。
ドワーフの村の力を借りて次々と新商品を産み。国間の行商に長けたフロイツ商会はそれらを、各国の政府機関や軍部に売り捌き。ぼくは気付けばドルトリア王国の優秀な商人の一人として名を上げられるまでに成った。
ポポロとワルキュリアの教育もクリストフと共に手を焼きはしたが。それなりの形にはなり、そんなポポロとワルキュリアは徐々に部下を教育していく様になり。
ぼくのエヴァンス商会は従業員を300人を雇える程の大きな会社となった。そのお陰でエヴァンス商会の商品はブランドイメージを持ち。
ぼくは大金持ちと成ったが、意外と日々は退屈になった。
エリナやジダンにはお世話になっていた事も有り。ぼくは厚待遇での就職を打診したが。エリナは宿屋を続けると。ジダンは露店商を続けると。二人とも自分の仕事を辞める事は無かった。
余りにもアッと言う間に手に入れた地位に。ぼくはふんぞり返る事は無いと思っていたが、徐々にぼくと今までの仲間との心は離れていた。その事にぼくは気付いては居なかった。
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それから2年の月日が経ち。ぼくは手に入れたこの生活の中で。ただ漠然と日々の業務に追われて生きていた。そしてぼくはいつもの通りにエヴァンス商会の事務所へ行くと。
ぼくの椅子にクリストフ=アルケミアが座っていた。
ぼくは何かのイタズラだと気にせずに
「クリストフさん。今日は気分でも変えようと思ったの? そんな所に座って。」
そう言うと。クリストフは机の上に足を投げ出して。煙草を吹かし
「いえいえ。エヴァンスさん。今日からこの椅子は私の椅子です。そして私の机。私の事務所。私の会社です。」
ぼくはクリストフの言葉が理解出来ずに。もう一度
「どうしたのクリストフさん? 」
尋ねてみたところ。クリストフは笑いながら、書類をぼくに見せて
「この会社の株式を私が60%取得しました。エヴァンスさん。あなたは社長を解任されました。この会社は私の物なのです。」
ぼくはクリストフの言葉をやっと理解すると。心の中が空っぽになり。言葉も考えも消えて動けなくなってしまった。