【1】裸一貫!
――――ぼくはそれからアパートに帰ると、お金に関する本を読み漁った。一晩中読んで、朝が来てぼくはウトウトとして......
▽▲▽▲▽
「おい小僧!持ち金全部出しな!」
めっちゃイカツイ狼男にカツアゲされている。
「すみません。ぼくお金持ってないんです。」
ぼくは狼男にそう答えると―――身ぐるみ剥がされた。
「パンツぐらい残してくれれば良いのに......」
そうぼやきながら窓ガラスを見て。まだ自分だと言うリアリティーも沸かずに
「子供だし、まあいいか。」
と、そのまま全裸で歩いた。この世界の季節がいつかは判らないけれど。肌寒く、鼻水が垂れてくる。
すると、日傘をさした高齢の貴婦人がぼくに近寄り。
「あらまあ。これからスノーシーズンに入るのに寒いでしょう。これで服を買いなさい。」
そう言ってぼくに銀貨を二枚渡した。銀貨なんて初めて見るので
ぼくは銀貨をマジマジと見ていると。高齢の貴婦人が
「気にしなくていいのよ。人に優しくすると自分に返って来るものだから。覚えて起きなさい。ところでぼくちゃんはお名前は何て言うのかしら?」
そう訊ねられた。ぼくは
(この見た目で『大野タケシ』ってのも変だな。そう考えて洋名を考えて。好きな俳優と、お金持ちの人の名前を組み合わせて。)
「エヴァンスです。ウォーレン=エヴァンスと言います婦人。」
そう答えると。高齢の婦人は
「貴方は今は裸ん坊だけど。大金持ちに成りそうな名前ね。覚えておくわ。」
そう笑いながら優雅に立ち去って行った。その時に婦人の日傘に描かれている竜と槍を模した緑色の紋章が印象が残った。ぼくはこの銀貨にどれ程の価値が有るのか判らないが
(きっと服が買えるぐらいなんだ。もう少し裸で歩いたら、もっと貰えるかも知れない。子供だし大丈夫だろ。)
と、根拠の無い自信を持ち。銀貨を街の端の茂みに落ちていた壺に隠すと土に埋めて通りへと戻った。
そして裸のままで街を歩いていると。妙齢の女性を連れた紳士や、数人の人々がお金をくれて。
気付くと銀貨は15枚に成っていた。ぼくは
(明日に成れば気付かれるかも知れないが。今日なら大丈夫だろう。)
と、更に街を歩き続けると。その作戦は功を奏し何と銀貨は32枚に成り。ぼくは銀貨を2枚だけ持って露店へと急いだ。
露店では服やナイフや果物やパンが並べられており。逞しくも笑顔で話やすい印象の店員の男に
「お兄さん。この服って幾らですか?」
ぼくはそう訊ねると。店員の男は素っ裸のぼくを見て爆笑しながら台を叩きだし
「裸ってお前...ハッ」
めっちゃ笑っている。やはり裸は可笑しいのか。
エヴァンス(10才)
銀貨32枚




