8 ー「水たまり踏み」「チョークの命」ー
ーー「水たまり踏み」ーー
子供の頃、
長靴を履いて水たまりにワザと入って楽しんでいた。
バッシャン、バッシャンと。
水たまりから見える景色は普通に見上げている景色とは少し違う様に感じた。
だからかな。
まず、水たまりから覗く風景を見て、そして水たまりをバシャバシャと踏み続ける。
すると波紋が出て水たまりが歪む。
まるで水たまりの中の世界を壊している様で、それだけで何か楽しい。
少し破壊衝動でもあったのかねぇ、と今は思っている。
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ーー「チョークの命」ーー
先生が、黒板に大事な事を書いている。
チョークの色を使い分けて。
チョークは書くごとに、短くなってゆく。
当たり前だけど。
短過ぎると書きにくくなるので寿命は短い。
だから何本か、替えが置いてある。
しかも黒板は限られているので、書いたり消したりするから段々と黒板に色が残る。
まるで自分の存在を「忘れないで」と叫んでいる様に。
あと、消した時に粉が落ちるのはチョークの残骸みたいだ。
何か儚い。
そうして先生達は今日も黒板に向かってチョークを振るうのだ。
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