異世界転移者
初めてなので下手くそです。
多分続きません。
朝。
とてもリズミカルな小鳥の鳴き声、早朝と夕方象徴とも呼べるカラスの鳴き声、その存在を主張するかのようにカーテンの隙間から入り込む太陽の眩い光。
それはいつもと変わらない平凡な朝だった。
「今日の降水確率は....」
目線の先には、いつもと変わらずお天気キャスターが仕事をしている様子がテレビに映し出されている。それをいつもと変わらないアナウンサー達がスタジオで聞いている。
窓の外では、登校中なのであろう学生達の元気な笑い声が平日の始まりを教えてくれている気がする。
それはいつもと変わらない平凡な朝だった。
「これお願いね。」
と、歳上の男性は言葉を発したと同時に洗い場に食器を置いて持ち場に戻っていく。
今のバイト先であるこのラーメン店は従業員が4人だけであり、まだ入ったばかりの新人である俺は調理は出来ない為、必然的に洗い場兼ホールの仕事を任されている。
時刻はお昼過ぎ。
お昼休憩なのであろう世のお父さん達がこぞってお店に来る忙しい時間帯だ。
勿論、お客の出入りが激しい時間帯を4人で潤滑に回せる訳もなく....
山のように積み重なった食器を目にして思わずため息が
「すいませーん!」
...満足にため息をつく間もなく波のように仕事が流れ込む。
いつもと変わらない忙しい昼だった。
そんな忙しかった仕事も2時半頃には終わり、1度我が家へ帰宅する。
ガチャ
耳に響くドアのロックを解除した証である金属音、ドアノブを捻る心地よい音。
「...ただいま」
その言葉へ対しての音は無い
いつもと変わらない。
夕方。
自転車を漕いで目的地へ向かっている途中、中学生の頃の学友達とすれ違う。
お前は出来損ないだ、当たり前な事が出来ない、社会の負け犬
彼らの目は、僕にそう訴えかけている様で蔑んでいる様で同情している様で。
劣等感に苛まれながら今日も学校へと向かう。
変わらない。
夜。
「...雨だ」
朝の天気予報を信じ切っていたから雨具なんてものは何も持っていない。
降り注ぐ雨。
止まない雨。
いつもと変わらない道を通り帰宅する。
そうやって毎日の日々は過ぎ去ってゆく。変わらぬ毎日変わらぬ風景変わらぬ日常変わらぬ生活。
夢も希望も無い、退廃的な日々。
「...っあぁ!」
突然酷い頭痛に襲われ自転車を降り地面にしゃがみこむと、視界が真っ白になった。文字通り真っ白に。
絵の書かれたキャンパスを白いペンキで塗り潰したかのように、世界は白く塗りつぶされた。
...どれだけの時間が経っただろう。
頭痛は小さくなり、手の輪郭が確認出来る程には回復した。
「貧血にでもなったのかな」
事実、食生活は酷いので貧血になっていても可笑しくはない。
そう結論付て家へ帰ろうと俯いていた顔を起こし、視線を前へと持っていった。
依然降り止まぬ雨の音。
街頭の明かり。
灰色の空。
何処までも続くアスファルト。
いつもと変わらない世界に色彩が戻った筈だった。
依然降り止まぬ雨の音。
雨に打たれながら座り込む人影。
街頭の明かり。
光に照らされ自己を主張する鮮やかな金色の髪。
灰色の空。
おとぎ話に出てくる様な淡い水色の可憐なドレス。
何処までも続くアスファルト。
親とはぐれた子供の様な、捨てられた子犬の様な表情をした君がいた。
夢も希望も持てなかった日々は唐突に終わりを告げる。
劣等感に捕われ続ける日々は終わる。
雨が降り注ぐあの日、少年少女は人生を変える出会いを果たす。
「今日午後3時頃、○○高校の生徒31人と教師1人が謎の失踪を...」
異世界転移者。
世の中は転移や転生で盛り上がってますが。
もし、日本人が異世界召喚と称して異世界へ転移して、生じた穴を世界が修正するかの様に。
異世界からの転移があったら...