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社畜・イン・ファンタジー ~異世界ブラック冒険譚~  作者: 揚げたてアジフライ
第三章 新たなる出会い
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第58話 ゴリ押し☆潜入大作戦

恐らく夜にもう一話投稿しますが、時間が遅くなるかもしれません。

詳細が分かり次第、後書きの部分に追記します。

 翌日の朝、ギルドへ集合した俺達は馬車を借りることになった。

 支給品も含めるとかなり荷物が多いのと、ダルク地方まで徒歩で行くとなると5日は掛かるという理由からだ。

 馬車を使えばその問題は一気に解決し、約三日で目的地に到着出来るそうだ。


 ギルドの方で御者も手配出来るとのことだったが、何故かマークが御者の代わりが出来るとのことだったので断った。相変わらず万能な奴だ……。


「復習も兼ねて、今回の作戦なんかを話していくぞ」


 手綱を握りながら、山道を走る馬車の上でマークがそう声を掛けてくる。

 クロエは乗り物酔いしたのか顔色が悪いが、顔だけはこちらに向けていた。


「まず、場所の確認だ。ダルクの地方の南西部にある森林地帯、ここまでは馬車を夜通し走らせても2日はかかる。だから、途中で休憩を挟みつつ3日掛けて到着する予定だ」


「うん、そこまでは大丈夫」


「そ、そうね……」


 クロエも、気分は悪そうだがどうにか返事をした。

 俺達の返事を聞いたマークが、更に話を続けていく。


「敵の首魁は、5人いる獄王の牙幹部の一人である狂乱のシュタイナー。情報によると、改造した魔物を使役する術を使うらしいが、本人の戦闘力は皆無に等しいそうだ」


「でも、その改造した魔物が問題なんだよね……」


「アンタ達は戦ったことがあるんだっけ?」


「うん、そうなんだ。ただのゴブリンですら、俺達が本気で挑まないといけないレベルにまで強化されてたって言えば、その危険度は分かってもらえるかな?」


 禁忌の森の拠点で戦った大怪鳥ジズもそうだが、奴らの改造した魔物は強大な戦闘力を有している。

 恐らく改造にも何らかのリスクはあるのだろうが、今のところ目立った点は見つけられない。


「あえて攻略法を上げるとするなら、魔物を使役する術を掛けているシュタイナー本人を先に狙うことだな……。そうすれば術が解けて、少なくとも場を混乱させることはできる」


 確かに、魔物を使役する張本人さえ倒してしまうことができれば、俺達だけじゃなく敵方も魔物を制御する術は無くなる。

 結局、魔物の相手はしないといけないので敵の数には変わりないが、指揮が無いだけで戦いは多少楽になるかもしれない。


「そのことなんだけど、シュタイナーの相手は私に任せてくれないかしら?」


「……何か策があるのか?」


「ええ、でもまだ教えられない。ただ、必ず成功させることは約束できるわ」


「例の特別な魔法って奴か……。ヨシヒロはどう思う?」


「俺は任せたいと思う。現状、他に良い案がある訳でもないしね……」


「そうだな……。じゃあ、シュタイナーの相手はクロエに任せることにしよう」


「一族の皆のためにも、絶対に成功させる。期待しておいて」


 俺達の作戦のあらましはこうだ。


 まず、斥候を務めるマークの先導の下、極力戦闘を避けながら進んでいく。

 そして幹部のシュタイナーを見つけ次第、戦闘を開始。


 俺とマークが操られた魔物を対処している間に、クロエが秘策の魔法を組み上げる。

 クロエによれば、その魔法は発動まで時間が掛かるが、成功すれば必ず逆転の一手になるということなので、その瞬間を狙って全力で反撃を決める。


 内容自体は単純だが、改造強化された大量の魔物を2人で相手にしながら、クロエの詠唱が終わるまで持ち堪えなくてはならない。


 だが、他に頼れる策も人もないのだから、意地でも成功させるしかない。

 せめて、悔いのないように全力を尽くそう……。



                ◆◆◆



 出発から三日が経過し、俺達の馬車の旅はようやく終わりを告げる。


 目的地のダルク地方南西部の森林地帯、単に辺境の森とだけ呼ばれるその場所は、辺境の名が示す通り周囲に村や町はなく、人の立ち入った痕跡さえ見当たらない。

 ギルドの調査部隊は、こんな辺境の地をよく探したな……。


 数キロ先にある農村で馬車を預けた俺達は、数十分歩いてようやく辺境の森へと辿り着いたのだった。


「着いたぞ、ここだ。俺が研究本部の場所まで先導するから、二人とも迷彩を起動して着いてきてくれ」


「了解。前は頼むよ」


「分かったわ」


 俺達は認識阻害の魔法が組み込まれたマントへ魔力を注ぎ、迷彩効果を発動させる。

 今回も、ギルドが3人分の特殊迷彩マントを用意してくれたのだ。


 出来る限り音を立てないように、魔物か野生の動物が通って出来たであろう獣道を進んでいく。

 どうしても木々が道を阻む場合は、マークが最小限の動きでそれを素早く処理してくれた。


 マークを先頭に森の奥へと進んでいく俺達は、しばらくして奴らの拠点へと到着する。

 森は奥へ進むにつれて背の高い木が生い茂っており、これでは森の外から拠点を発見するのは不可能だろう。


 石膏で固められたような、灰色の建物の周りに謎の機材や電波塔のようなものが立ち並ぶその光景は、俺の知識からすると規模の小さい変電所を思わせた。

 地上に見えているのはその一階層分だけだが、恐らくは前回の拠点と同様に地下深くへ階層が続いているのだろう。


「二人はここで待機してくれ。まずは、俺が拠点の外周を偵察する」


 そう言って、マークは一時的に解除していた迷彩を再び発動させ、建物の方へと駆けて行った。

 認識阻害の効果だけでなく、卓越したマークの盗賊シーフとしての技術は、他者に足音どころか気配すら感じさせない。


 マークが偵察に出発してから、体感で10分程経過した。

 俺達が待機している場所は外装からして恐らくこの建物の裏側なのだが、前回の研究拠点とは違って周囲を警戒する人員すら見かけなかった。

 時折、機械音と共にアンテナのような物が動いているが、それ以外は虫や鳥の鳴き声すら聞こえない。


「……待たせたな。結果から言わせてもらうと、この建物には入り口がない」


 帰ってきたマークが迷彩を解除すると、俺達にそう告げる。


「それは、魔法による認識阻害じゃなくて、単純に入り口がないのかしら?」


「ああ、恐らくそうだ。魔術的にではなく物理的に、この建物は隔離されている」


「それって、どうやって中に入るの?」


 魔術的な何かが影響して入り口が封鎖されているのであれば、クロエの力を借りればどうにか侵入できたかもしれない。

 しかし、物理的に入り口が存在しないとなれば、もうあの方法(・・・・)しかないのではないだろうか……。


「ああ、ヨシヒロが硬化して【鉄拳】で壁をぶち抜け」


「やっぱりそうだよねーーー!!」


「何よ、ただのゴリ押しじゃないの!」


 あまりにも力尽くのマークの提案に、俺とクロエは揃って声を上げる。

 まぁ、今までもそうしてきたし、今回もそうだとは思ったが……。


「仕方ないだろう。そうすれば確実に中には入れる」


「まぁ、俺はそれでいいよ。今までもそれで解決してきたし……」


「アンタ達、思ったより脳筋なのね……」


 クロエが呆れたようにこちらを見るが、何とでも言うがいい。

 この世界では力こそパワーなのだ……。


「施設の周りで時折動くあの塔は、見張りの役割を果たしている魔道具だ。侵入した時点で気づかれるが、それまでは絶対に認識阻害を解除するな」


 マークが先程から動いているアンテナを指差してそう言った。

 なるほど、電気の代わりに魔力で動くレーダーのような魔道具なのか。


「ああ、分かった。じゃあ、俺が先頭で壁まで行くよ」


「ああ、よろしく頼む。恐らく、壁自体にも魔力で耐久の強化が仕込まれている。遠慮せずに全力でぶん殴れ」


「言われなくても、全力で行くさ。じゃあ、行くよ!」


 先頭に出た俺は、拠点の壁に向けて全力で駆ける。


「……我が身を盾に!」


 短文詠唱を終え、右腕だけに魔力を集中させて【硬化】を発動させる。

 そして駆けだした勢いもそのままに、俺は全力の【鉄拳】で石壁を打ち抜いた。


 ―――ドゴオォォン!


 俺の右腕が石壁へとぶつかり、壁が大きく崩れて周囲に轟音が響く。

 それと同時に、アラームのような魔道具が俺達の侵入を確認して騒音を上げた。


「よし、接敵するまで進むぞ!ヨシヒロ、ここからは俺が前に出る!」


 警報音の響く拠点の中、マークを先頭にして俺達は全力で施設を駆け抜ける。

 どうにか地下へと続く階段の目の前まで進んだのだが、事はそう上手く進まない。


『『『ギギッ!ギギギギィッ!!!!』』』


 目の前の階段から、10匹程の武装したゴブリン達が駆け上がってくる。

 十中八九、アブダイルの森で遭遇した強化ゴブリンだろう。


『ギギイイィィッ!』


 俺達を見つけると同時に、戦闘のゴブリンが飛びかかってくる。


「はぁ、良い武器使ってんなぁ……」


 俺はそんな愚痴を吐きながら、硬化した腕でその攻撃を受け止める。

 あの時のゴブリンも確かに冒険者の武器を使っていたが、今回はその質まで段違いだ。


「ヨシヒロ、油断するな!クロエは詠唱を開始してくれ!」


「分かってる!もうやってるわ!」


 マークの指示が飛び、俺達は真剣に臨戦態勢を取る。

 俺は【挑発タウント】と【硬化】を上手く使いつつ、全ての攻撃を引き受けてただ耐えていればいい。

 クロエの詠唱さえ完了すれば、問答無用であの魔法がゴブリン達を襲うのだから。


「……終わりなき水の牢獄を顕現させよ!」


 クロエの詠唱が終わり、水の魔力で出来た鎖がゴブリン達を縛り上げる。

 そして、膨大な水の塊が立方体を形作ると、拘束されたゴブリン達を幽閉した。


 そう、クロエの【水牢獄アクアプリズン】さえ完成してしまえば、いくら戦闘力が高くても、相手の耐久が高くても問答無用で溺死させることが出来る。

 決まってしまえば、殆ど勝ちが確定する程にあの魔法は強力なのだ。


 水の牢獄に囚われたゴブリン達は、体を拘束する魔力の鎖によって、動くことすらできない。そのまま5分程が経過し、ゴブリンは息も出来ぬまま死を迎えた。


「よし、終わったか……。俺が先導しながら偵察するから、二人は少し後ろを着いてきてくれ」


 そう言って、マークは静かに階段を下っていく。

 俺達も迷彩魔法を発動させ、その後をゆっくりと着いて行った。


こうして、俺達は長い旅を終え、ようやく研究本部掃討作戦が始動したのであった。

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追記:本日、日付変わる頃に投稿すると思います。申し訳ない……

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