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社畜・イン・ファンタジー ~異世界ブラック冒険譚~  作者: 揚げたてアジフライ
第三章 新たなる出会い
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第56話 冒険者達の休息

本日遅くまで仕事があるので、もう一話投稿できるか怪しいです。

残念なことにまだ書き終わってないので……

「いやぁ、大漁、大漁!」


「そうだねえ、お肉もいっぱいだよ!タンにテールにリブにー……」


「うええっ、ほんとに炎龍フレイムドラゴンを食べるのー……?」


「で、でも、ドラゴンの肉は結構美味しいって聞きますよぅ?」


 どこにそんな元気が残っているのか、わいわいと騒ぎながら前を行く4人を、俺とマークは少し後ろを歩きながら眺める。


 炎龍の討伐を終えた俺達は、その足でギルドの支部長室へと向かっていた。

 職員の案内を受け、長い廊下を突き当りまで抜ける。


「……炎龍討伐部隊6名、帰還しました!」


「そうか、報告は受けている、入ってくれ」


 俺が代表して扉をノックすると、中からボールズの返事が聞こえてくる。


「失礼します!」


 俺達は重厚な両開きのドアを開け、部屋へと入った。

 いつも通りお茶を入れていたボールズは、俺達を笑顔で迎えてくれた。


「本当に、ご苦労だった!このギルドを代表して……いや、グスタの街を代表して君たちに感謝を告げる!本当に、ありがとう!」


 半ば凶悪そうな笑みを浮かべながらも、ボールズは俺の背中をバンバンと叩いて俺達を褒め称える。普通に痛いけど、ボールズのそんな態度が少し嬉しかった。


「今回の件は、きっちりとギルド本部へ報告しておく!その功績はきっと認められるだろう!」


 既にランクCの俺とマークは分からないが、まだランクがDの他の4人は恐らく今回の件で殆ど昇格が確定したようなものだろう。


「それから、これは我々支部からの報酬金だ!30万エルと少なくて申し訳ないのだが、受け取ってくれ!」


 ボールズはそう言って、ジャラジャラと重そうなズダ袋を机の上に乗せる。

 きっちり分割して一人頭5万エルだ。

 そう考えると中々の報酬にも思えるが、あの凶悪な炎龍のことを考えると確かに少ないのかもしれない。


「まぁ、貰えるだけありがたいか……」


「そうだね、武器の整備費にでも当てようかな……」


「俺はそろそろ鍛冶道具を新調したいぜ!」


「うわぁ、このお金で色々美味しいものを食べたいなぁ……」


 報酬金を山分けした俺達は三者三様の声を上げる。

 まぁ、一度のクエストで5万エルの収穫と思えば悪くはないか……。

 少し申し訳なさそうに頬を掻くボールズを前に、俺達は報酬の使い道について話し合う。


 すると、ふと何かを思いついたケヴィンがポンと手を叩いた。


「あ、そうだぁ!せっかくだから、打ち上げにバーベキューをしようよ!」


「「「「「バーベキュー??」」」」」


 唐突過ぎるケヴィンのそんな提案に、俺達は揃ってそんな声を上げる。

 だが、案外悪くない案かもしれないな……。



          ◆◆◆



ケヴィンの提案により、急遽バーベキュー大会を解散することになった俺達は一度解散して、それぞれが食材の準備なんかをすることになった。


持ち寄ったのは、俺が手製の野草茶や山菜類、ランドルフが酒、ケヴィンはなんと下処理してきたドラゴン肉、リーシャは野菜、クロエは何故かマシュマロなんかのお菓子と、それぞれの個性が現れるものばかりだ。

ちなみに、マークは代表して金網や火の準備をしてくれている。


 開催場所はギルドの裏にある広場スペースの一角で、ここを借りることができたのはボールズの善意のおかげだ。


「お、やっと来たか。そろそろ火もいい感じだぜ」


 食材の調達を終えて帰ってきた俺達を見つけたマークがこちらに手を振る。

 どうやら、マークの方の準備もばっちりみたいだ。


「うわぁ!じゃあ早速、お肉とかを焼いて行こうか!」


「じゃあ、私はお野菜を焼きますねっ!」


 ケヴィンが色んな部位のドラゴン肉を網に乗せていき、その隣でリーシャがきっちりと下処理をしてきた野菜類を並べていく。

 バーベキューと言うよりは焼肉っぽいが、まぁ美味しければどっちでもいいか。


「おうおう!お前ら、酒はいけるクチか?まずは乾杯だろう!?」


 そう言って、ランドルフは風呂敷の中から次々と酒を出してくる。

 麦酒エールにワイン、焼酎と思わしきものまで、凄い数だな……。


「私はまだお酒飲めないから、ジュースとかのが良いんだけど……」


「そう言うと思って、プルアのジュースも持ってきたぜ!」


 クロエのことを気遣ったランドルフが、ジュースも用意していたようだ。

 なんだかんだで気が利くな。

 ちなみに、プルアというのは林檎に似た赤い果物……というかほぼ林檎だ。


「なんだ、気が利くじゃない!私はそれを貰うわ!」


「おうよ!じゃあ、代表してヨシヒロが乾杯の音頭を頼むぜ!」


 何故かランドルフが俺にそう振ってくる。

 社畜時代に飲み会に参加することは多かったが、音頭を取ったりするのは慣れてないんだけど……。


「……えー、皆様、本日は炎龍の討伐お疲れ様です。ボールズ支部長の好意や皆様のご協力により今回の会が開催できたことを深く……」


「なげえよ……乾杯!」


「「「「乾杯!!!」」」」


「えええっ、乾杯!?」


 俺の音頭の途中でマークが乾杯の合図を告げ、本格的にバーベキューが始まった。

 やっぱり、俺の音頭じゃ冒険者達にはお気に召さなかったようだ……。


「あ、そうだ!もう一人、というか一匹かな?参加させて上げたい子がいるんだけど……」


「んぐっ、良いと思うよぉ!」


「ぷはーっ、俺もウェルカムだぜ!」


 俺が提案すると、ドラゴン肉を食べていたケヴィンと既に顔を赤くしたランドルフがそう答えてくれる。

 他のメンバーもそれぞれが頷いたりと合図をしてくれ、どうやら反対する人はいないようだ。


「なあヨシヒロ、もう一匹って、どう考えても……」


「ああ、そうだよ!ヒヨリ、出ておいで!」


『ピッピヨ!』


 俺がそう声をかけると、鞄の中からヒヨリが現れる。

 最近お留守番ばっかりだったから、ご褒美代わりに参加させてやりたかったんだよな。


「えええっ!?ずっと鞄の中にいたんですかぁ!?」


「何よその子、可愛いじゃない!ちょっと触らせてよ!」


「むぐむぐ……見たことない魔物だねえ!」


「おおん?ヒヨコ……じゃなさそうだなぁ?」


 突然飛び出したヒヨリを見た皆が、こちらに駆け寄ってくる。

 クロエに抱えられて撫でられているヒヨリも、ご機嫌そうだ。

 それにしても、クロエってやっぱり女の子っぽいところあるよな……。


『ピヨー……』


 楽しむ皆を眺めながら、俺も軽く麦酒を呷る。

 青空の下でバーベキューをしながら、お酒を飲む。何とも乙なもんだな。


『ピヨピヨッ!』


 その後、ヒヨリはドラゴンの肉が気に入ったのか、物凄い勢いで肉を貪っていくのだが、それはまた別のお話。

 鳥とドラゴンって親戚みたいなものじゃないのかとか言ってはいけない。



           ◆◆◆



「……ふぅ」


 支部長室の席に一人腰掛けるボールズは、一息つくようにぬるくなった紅茶を啜る。

 元々冒険者として活躍していたボールズにとって、支部長としての仕事は肩が凝る。

 資料の整理や作成をするくらいなら、前線に出て戦っていた方がよっぽど楽だ。


 そんな事を考えながら資料の作成を再開しようかと思っていると、部屋にノックの音が響く。


「……入れ」


「失礼します、ボールズ支部長殿!本部より伝令に参りました!」


 本部からの伝令となれば、ほぼ間違いなくあの件(・・・)だろう。

 一見、騎士のようにも見えるその男は、ギルド本部から伝令役を任命されている職員だ。


「……そうか。早速で悪いが、本題に移ってくれ」


 ボールズが話を促すと、その男は起立したまま話を始める。


「はっ!本部より伝令、獄王の刃の研究本部が見つかりました!密偵の報告によると、場所はダルク地方南西部、森林地帯に居を構えているとのこと!」


 やはりダルク地方か……。

 だが、南西部であれば、ちょうどカストゥール山脈を抜けてすぐの場所だ。


「そうか、掃討作戦の人員配置はどうなる?」


 欲を言えば、増員されることが望ましい。

 いくら精鋭とは言え、あの二人、もしくはベルヴィル君を含めても三人だけで掃討作戦に挑むとなればかなり厳しい。


「はっ!ヨシヒロ・サトウ氏、マーク・マルティネス氏、クロエ・ベルヴィル氏の三名のみで任務を開始せよとの仰せです!」


「……やはり、そうなるか」


 頭を抱えてボールズは呟く。

 何度となく増員を要請しているのだが、本部の大多数がそれに反対しているらしく、結果は芳しくない。


「それと、もう一点ご報告があります!」


「……なんだ、話せ」


「は!財務部のオルコット卿より、冒険者への勝手な支援はやめろとのお達しがありました!」


「……勝手な支援というと?」


 あの豚め、と心の中で思いながらも、ボールズは更に話を促す。


「具体的には、ギルド支部の独断での冒険者への物資の支援や報奨金の配布をやめろ、とのことです!」


「ふざけるな!本部が動かないのであれば、我々支部が冒険者を支援するのが道理だろうが!」


 ここにはいない上層部を糾弾するように、ボールズは声を荒げる。


「はっ!そのように本部にお伝えしますか!」


「いや、いい……。それに関しては、私から話を通そう」


 再び頭を抱え込むと、ボールズは深く溜息をつく。


 依頼者側としても、我々は最低限の支援は行うべきなのだ。

 恐らく、人員増加や今回の物資支援に反対しているのも、オルコット卿や騎士団長のライオネスを始めとした、現場を知らない者達だろう。

 全くもって頭が痛い。モルドラック議長も、奴らに何か言ってくれれば……。


「……話はそれだけか?」


「は、以上です!」


「そうか、ご苦労だった。退室してくれ」


「は!それでは失礼します!」


 伝令役は敬礼すると、そう言い残して退室する。

 何事にも動じないのは良い事だが、マニュアル通りの応対しかできないのがあの伝令役の悪い部分だ……。所詮は、ギルドの使い走りということだろうか。


「ふぅ……」


 ボールズはまた深く溜息をつき、すっかり冷めきった紅茶を一口飲む。


「すぐにでもあいつらを呼び出すべきなのだろうが……」


 今は炎龍の討伐が終わったばかりだ。

 今日くらいは、ゆっくりと休ませてやろう。

 ボールズはそんな事を考えながら、残った紅茶を一気に呷り、背もたれに深く寄りかかるのであった。


追記:書き終わったので本日20時に予約しました。

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