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社畜・イン・ファンタジー ~異世界ブラック冒険譚~  作者: 揚げたてアジフライ
第三章 新たなる出会い

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第47話 社畜のパパデビュー?

 獄王の刃の研究拠点で、淡い虹色に輝くタマゴを拾ってから、既に一週間以上が経過していた。

 誕生が近いのか、タマゴは最近、たまに動いたり、中から音が聞こえたりする。


 とある朝のことだった。

 俺は、借りている宿の一室で目を覚ます。


「……うーん!」


 ベッドの上で体を起こし、大きく伸びをする。

 そして、寝ながら抱きかかえて温めていたタマゴを確認した。


「やばい!?潰した!?」


 そう、昨日までヒビひとつなかったその虹色の殻に、大きく亀裂が走っている。

 割と寝相が悪い俺は、寝ている間に落としたりしないよう、細心の注意を払っていたのだが、とうとうやってしまったようだ。


「あぁ……やってしまった……ごめんよ、タマゴ……!」


 大事に育ててきたタマゴの呆気ない最期に、俺は悲しみに暮れながらもベッドの上のひび割れたタマゴを抱き上げる。


「うん……?」


 だが、抱き上げたタマゴは、これまでに見たこともないほど元気そうに震えている。

 おまけに、中からは何かの鳴き声まで聞こえてきた。


「良かった!生まれるだけか!」


 そう、どうやら俺が潰して割ってしまったのではなく、誕生の瞬間が近づいていただけだったのだ。

 そんなタマゴが一際大きく震えたと思うと、次第に殻が割れていく。


「おおっ!ついに、ついに!」


 一週間以上の間、まさに親鳥のようにタマゴを温めていた俺は、ずっとこの瞬間を待ちわびていたのだ。


 パラパラと小さな欠片が落ち、中からコツコツと音が聞こえ始める。

 タマゴの中にいる何かが、必死で出てこようとしているのが分かった。


 コツコツと殻を叩く音が次第に大きくなっていき、その衝撃に応じて亀裂もどんどん大きくなっていく。

 観察を始めてから30分は経過しただろうか。そして、ついにその時が訪れた。


『……ピヨッ!』


 虹色の尾羽が美しい雛鳥が、殻を破ってひょっこりと顔を覗かせる。

 そして辺りを見渡し、俺を見つけると、じっと見つめてきた。


『ピヨ……?』


 しばらく俺のことを見つめていたかと思うと、首を傾げてそんな風に鳴いた。


『ピヨヨッ♪』


 だが、何かに納得したようにそう鳴き声を上げると、トテトテと覚束ない足取りで俺の膝へと昇ろうとしてくる。

 手のひらサイズの小鳥を抱き上げ、膝に乗せてやる。


『ピィピヨ!』


 すると、雛鳥はご機嫌な様子でそう鳴いた。

 刷り込みは魔物にもあるみたいで、恐らく俺のことを親だと思っているのだろう。


 まだ小さいが、その美しい尾羽の色合いから、大怪鳥ジズの基となった魔物の雛だということが分かる。


「とりあえず、マークに報告しないとなぁ……」


『ピヨッ?』


 俺のそんな呟きに、膝の上でくつろぐ雛は、不思議そうに首を傾げた。

 くそ、一挙一動があざとくて可愛いな……。


 俺は、寝間着から着替えると、マークが待っているであろうギルドへ、雛鳥を連れて向かうのであった。



                ◆◆◆



「……ほぉう、これがあのタマゴから孵った魔物か」


『ピヨ?』


 ギルドのテーブルの上でピヨピヨと歩いている雛を、マークがじっくり観察している。

 そんな視線に気づいたのか、雛の方もマークをじっと見つめていた。


「何の魔物なのか、マークは分かる?」


 色々なことに詳しいマークなら、もしかするとこの雛がどんな魔物なのかわかるかもしれない。

 そんな期待を込めて、そう質問したのだが……。


「いや、図鑑や専門書ですら見たことのない種類だ。まぁ十中八九、あの怪鳥の雛鳥だろうよ」


「やっぱり、そうだよなぁ……」


 再びこちらの膝に乗ってご機嫌な雛鳥を撫でながら、俺達はそんな会話をする。

 やはり、マークも俺と同じく、あの怪鳥の雛であると推測しているようだ。


『……ピ、ピ、ピョクシッ!』


 俺に撫でられていた雛が、変な鳴き声を上げたかと思うと、口から火を吹き出す。


「うおっ!?ズボンが燃える!」


「水かけろ、水!」


 幸いにも、テーブルに飾られていた花瓶の水によりその火は鎮火されるが、もうズボンはびしょびしょだ。


「なぁ、やっぱり危険だろ、コイツ……」


 マークがそんなことを言って、ナイフを取り出そうとする。

 まずい、処分はさせない!


「待ってよ!お漏ら火だよ!赤ちゃんだから仕方ないだろ!」


「いや、お漏らしみたいに言うんじゃねえ!」


 マークが的確にツッコミを入れる。

 でも、こんなに可愛くて懐いてるのに、処分するのは忍びない。


「ちゃんと面倒みるし、火を吹くのも管理するから、見逃してくれ……!」


 俺が深々と頭を下げて、マークに懇願する。

 この騒ぎの原因となったとうの本鳥?は、楽しそうに机の上で揺れている。


『ピーヨ♪ピーヨッ♪』


「なぁ、マーク。お前はこんな可愛い子を手に掛けるのか……?」


 情に訴えかける作戦だ。

 なんやかんやで、マークは甘いし押しに弱いからな。


「……あー、もう!仕方ねえ、危険だと思ったら絶対処分だからな!」


 くしゃくしゃと自慢の銀髪を掻きながら、マークがもう勝手にしてくれといった様子で、そんな声を上げる。

 よし、勝ったぞ。やっぱりマークは甘い。


「やった!絶対ちゃんとお世話するよ!よかったな、お前!」


『ピヨヨー』


 俺を見つめる雛に向けて、そんな言葉をかけてやる。

 目を細めて気持ちよさそうにしている様子が愛くるしい。


「ったく、調子いいよな。何にしろ、今から使い魔登録をしたほうがいいぜ」


「使い魔登録……?」


 マークの口から出た、聞き覚えのない言葉に俺は思わずきょとんとしてしまう。

 まぁ、聞いてその通り、使い魔を登録するんだろうけど、初めて聞くシステムだ。


「ああ、そうだ。使い魔として登録すれば、俺達冒険者程ではないが加護も貰えるし、ステータスも確認できるようになる」


「そうなのか!早速行こう!どこで使い魔登録はできるんだ?」


 なんだ、メリットしかないじゃないか。

 それなら、今からでも出かけて使い魔登録をした方が良いだろう。


「お前って、変に常識無いよなぁ……。使い魔登録は、冒険者ギルドならどこでも出来るぜ?一般教養レベルだぞ?」


 どうやら、使い魔登録に関しては、わりと一般的なものらしい。

 確かに、小型の小動物のような魔物を連れている人を街で見かけることがあるが、あれが使い魔だったのだろうか。単純にペットだと思っていた。


「ああ、田舎から来たもんでね……」


「……そういう話じゃないんだが、まぁいい。早速、登録に行くか?」


「もちろん!せっかくギルドにいるんだから、やらない手はないよ!」


 そりゃそうだ。使い魔登録をすることで受ける恩恵が多いのなら、すぐにでも登録をしてもらうのがベストだろう。


 幸いにも、俺達が集まっているのはグスタの街のギルドだ。

 こうして、俺達は雛を抱え上げると、目と鼻の先にある受付へと向かうのであった。


 今から、この子がどんな能力を持っているのか楽しみだな……。

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