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社畜・イン・ファンタジー ~異世界ブラック冒険譚~  作者: 揚げたてアジフライ
第三章 新たなる出会い
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第45話 鍛冶師のお手伝い

 大毒蜥蜴ポイズンリザードとの戦闘にて【毒無効】のスキルを獲得した翌日、俺達はランドルフに呼び出されていた。

 なんでも、どうしても頼みたいことがあるらしい。


 そんな訳で、俺達はランドルフの店であるロペス武具店を訪れる。


「ヨシヒロ、マーク!待ってたぜ!」


 入店した俺達を見るなり、ランドルフが相変わらず元気そうに声を上げる。

 今日は珍しく、販売スペースの整理や陳列なんかをしていたようだ。


「それで、頼みってなんだ?」


 マークは単刀直入にそう問いかける。


「ああ、俺と一緒にクエストに行ってほしいんだ」


 あまりにも意外なその答えに、俺は思わず問い返す。


「ランドルフと一緒にって……戦えたのか!?」


 いくら加護があるとはいえ、戦闘ができる程ではないと思っていたが……。


「ああ、勿論だ。自分で素材を取りに行くこともよくあるからな!」


「そうなのか。でも、今回は何で俺達と一緒に?」


 自分で戦えるのであれば、普通にクエストをする分には問題ない筈だ。

 となると、答えは一つ。ソロでは難しい依頼を受けるつもりなのだろう。


「なるほどな。お前、ランクアップを狙ってるってとこか」


 どうして難易度の高いクエストを受けるのかと思ったら、そういう理由か。

 確かに、それなら納得がいく。

 ランクアップのためには、ある程度の功績をギルドに提出しないといけないからな。


「ああ、その通りだ。どうしても手に入れたい素材があるんだが、その素材の採集地に行くためには、ランクがD以上無いといけないみたいでな……」


 実力に見合うと思ったクエストしか受けてこなかったから、そんな場所があるなんて知らなかった。

 それとも、単純に希少性が高い素材だから、冒険者の立ち入りを一定で制限しているのだろうか。


「そういうことか……。行きたいクエストはもう決まってるの?」


 俺はランドルフにそう尋ねる。

 俺達のうちどちらかでなく、2人を呼んだとなれば、相当難易度の高いクエストなのだろう。


「ああ、『水晶亀クリスタルタートル』の討伐依頼だ。その鉄壁の防御から中級でも上位のクエストに分類されてるが、お前ら二人の力を借りれば攻略可能だと思ってる」


 水晶亀。確か、洞窟の奥深くに生息する大型の亀の魔物だ。

 あまり覚えていないが、特殊な功績で出来た甲羅を纏いかなりの防御力を誇る、という説明をギルドの書庫で見たような覚えがある。


「水晶亀か……。俺らは大丈夫だろうが、ランドルフは戦力的にどうなんだ……?」


 確かに、それは純粋に疑問だ。

 いくら普段からクエストに行くとはいえ、中級でも上位に分類されるような魔物との戦闘に、果たしてランドルフは着いてこれるのだろうか……。


「そこは無理を承知だ。だが俺は、どうしても早く功績を上げないといけない……。頼む、この通りだ!」


 そう言って、ランドルフは深々と頭を下げて頼みこんでくる。

 鍛冶を行う時と同じような真剣な表情に、その覚悟は見て取れた。


「……はぁ、仕方ねえ。俺は手伝ってもいいと思うが、ヨシヒロはどうだ?」


「俺もいいと思うよ。ランドルフにはお世話になってるしね!」


「二人とも、すまない!恩に着る!」


 こうして、俺達の意見は合致し、ランドルフのランクアップのための手伝いをすることが決定した。


 クエストの目的地はアブダイル山脈の中腹にあるという、水晶洞窟だ。

 出発は、準備が出来次第すぐとなる。


 準備のために一度解散してから1時間後、街の門にて集合した俺達3人は、目的地に向けて出発したのであった。



                 ◆◆◆



 街を出てしばらく進み、山の麓まで来たところで、ちょうどいいスペースを見つけた俺達は、小休止を挟むことになった。


「とりあえず、適当に座ろうか」


 周囲から薪を集め、魔道具を使って火をつけた俺は、鍋に火をかける。


「ああ、残りの道のりは1/3ってぐらいか?」


 胡坐をかいて座るランドルフが、俺達にそう尋ねる。


「そうだな、水晶洞窟までならそんなところだろうよ」


 鞄から地図を取り出して確認したマークが、その質問に答える。


「へぇ、そっか。あ、良かったらランドルフも飲んでくれよ」


 俺とマークの間では、半ば定番となった特製の野草茶を手渡す。

 今日はハーブのような野草を入れたので、ハーブティー風だ。


「おう、ありがとう!いい香りだな!」


 笑顔で俺の茶を受け取ったランドルフは、それを豪快に飲み干す。


「おいおい、せっかくヨシヒロが入れてくれたんだから、もうちょっと楽しんでから飲めよな……」


 相変わらずどこか優雅な様子で、マークは香りを楽しむように、じっくりとそれを啜る。

 まぁ、俺としては、二人が少しでも楽しんでくれればそれでいいんだけどな。

 料理なんて、他人に振舞ってこそだ。更に、喜んでもらえればなおのこと良い。


「すまん、すまん!じゃあ、もう一杯頼むよ!」


 笑いながら、ランドルフは俺にお替りを頼んでくる。

 どうやら、気に入ってもらえたようだ。


「まぁ、とりあえず互いの得意な戦法と、魔法を共有しておこうか」


 そう、情報共有を行うのが今回休息を取った理由だ。

 単純に、少し休憩したかったというのもあるが、前者の理由の方が大きい。


「おう!そうだな、じゃあ、俺から行くぜ!」


 そういってランドルフは、自身の使える魔法と、扱う武器について説明を始めた。


 まず、ランドルフの使える魔法は二つ。

 1つ目が、【火球ファイアボール】という初級の炎魔法。

 2つ目が、武器に炎属性を付与する、【炎属性付与エンチャントファイア】だ。


 戦闘で使う武器は刀で、ランドルフ自ら打ったものらしい。

 特に技術があるわけではないが、自慢の武器の火力には自信があるというのが自称。

 道中の戦闘でも見ていたが、普通に刀の扱いも上手かったように思うけどな……。


 ともかく、どうしても防御と一撃離脱ヒットアンドアウェイだけに戦法が偏ってしまいがちな俺達2人とっては、メインの攻撃役が加わってバランスがいいだろう。


「……とまぁ、こんなところだな。近接攻撃と付与エンチャントしかできないが、よろしく頼むぜ!」


 そんな感じでランドルフは説明を終える。

 続いて俺とマークも説明をしたのだが、それは割愛だ。


「よし!互いのことも分かったし、出発するか!」


 残った野草茶を一気に飲み干し、ランドルフが勢いよく立ち上がる。


「おいおい、道わかんのか……?」


 それに続いて立ち上がったマークが、呆れたようにそう尋ねる。


「……そうだった、わかんねえ!マーク、先導は頼むぜ!」


「はぁ、そうだと思ったよ……」


 溜息をつきながら、マークは前へ出て、案内を始める。

 俺も焚き火の比を消し、野営道具を片付けると、二人に続いていった。



               ◆◆◆



 山を登り始めてから小一時間が経過し、目的の水晶洞窟が見え始めた。


「手前に見えるのが、目的の水晶洞窟だ」


 そう言ってマークは、目の前の洞窟を指差して、俺達に教えてくれる。


「おお、あれか!水晶の原石が見えるぞ!」


 ランドルフの言葉通り、洞窟の周囲には水晶の原石と思われる、透明な欠片を散りばめた岩がゴロゴロしている。

 光を反射して自ら発光しているようにも見える水晶は、幻想的な雰囲気すら感じさせた。


「じゃあ、行こうか」


 洞窟前まで辿り着いた俺は、2人に向かってそう声をかける。


「残念だが洞窟の地図はない。俺が警戒しながら先導するから、二人は後を着いてきてくれ」


「ああ!分かったぜ!」


「了解、よろしく頼むよ、マーク」


 用意してきた松明に火をつけると、マークはゆっくりと洞窟へ歩を進めていく。

 洞窟内は原石ではなく結晶となった水晶に覆われており、松明の明かりを反射している。


「おお、質のいい水晶がこんなに……!」


 鍛冶師であるランドルフが、洞窟内の水晶をみて目を輝かせていた。

 進んでいくにつれ、水晶の質は上がっていくようだ。


 少し進んだとはいえ、まだまだ水晶洞窟は深い。

 俺達は、洞窟のスタートラインに立ったばかりである。

次回は明日のお昼12時に投稿予約済みです。

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