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社畜・イン・ファンタジー ~異世界ブラック冒険譚~  作者: 揚げたてアジフライ
第二章 胎動する悪
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第39話 社畜と潜入調査

ついに5000PVを突破しました!

ブックマーク、評価共々ありがとうございます!


 まだ肌寒い空気の街の中、俺とマークは、ギルドの前で合流した。


 夜明け前、時間にして大体4時頃ということで、グスタの街有数の大通りであるモンテス通りであっても人々はおらず、明け方の街は未だ寝静まっているようだ。


「……行こうか、マーク」


「ああ、出来れば日の出までには目的地に着きたい。急ごう」


 いつもと違い、俺達は黒いマントを羽織っている。

 これもギルドからの支給品で、魔力を込めると、少しだけ相手の視覚を阻害するような迷彩効果があるらしい。


「走るぞ、着いて来い」


「ああ、できる限り合わせる」


 マークが全力で走れば、俺は絶対に追いつけない。

 だからこそ、マークはある程度こちらのペースを見ながら走ってくれている。

 そうであれば、体力だけはある俺が、少しでもマークに合わせなければ……。


 時折小休止を挟みつつ、俺達は、約1時間で禁忌の森の入り口まで辿り着いた。


「魔物は相手にするな。迷彩を発動して、一気に抜けるぞ」


 そう言うと、マークが支給品のマントへ魔力を込め、迷彩を発動する。

 発動する前から見ていれば、認識阻害はこちらに影響しないらしい。


 俺は、それに倣って迷彩を発動し、前を行くマークを追いかける。


 木々の隙間をするりと抜けていくマークの姿は、本当に風のようだ。


 昼夜関係なく活動する魔物達を横目に、どんどん森の奥へと進んでいく。


 そして、約15分程で、目的地である森の最奥部へと辿り着く。


 やはり、俺が目を覚ました辺りだ。


 しかし、数か月前には無かった筈の、石造りの建築物がそこにあった。

 建物の頂点となる部分には、獄王の牙のマークである、炎の中で刃物が交差したような旗が立てられており、ここが目的の拠点であることが分かる。


「見張りが多いな。俺は迷彩を発動させたまま偵察してくる。ヨシヒロもそのまま待機で頼む」


そういったマークは、音も立てずにどこかへ消えていった。


 更に15分程が経過し、少し日が昇り始めた頃、マークが戻ってきた。


「裏口がある。見張りもないし、中に人の気配も無かった。隙をみてそこから侵入しよう」


「わかった。マークが先行してくれ。日が昇りきる前に行こう」


 いくら認識阻害の迷彩とはいえ限度がある。

 ならば、まだ少し暗い今の内に、闇に紛れて進む方がいいだろう。


「ここだ。周囲の警戒をしている敵は3人、施設の周りを周回してる。あいつが角を曲がったら、次の見張りが来るまでに、裏口まで一気に駆け抜けるぞ」


「分かった。マークの合図で走るから、頼んだ」


 やる気の無さそうに見回りをする男が、角を曲がり、一瞬の間、その区画に見張りの姿がなくなる。


「……今だ、行くぞ」


 小声でそう合図を出したマークが全力で駆け抜け、静かにドアを開ける。

 そして、俺はその後に続いて、裏口から拠点に侵入した。


 だが、目的地への侵入を果たし、一息ついた瞬間だった。


―――ビビビビビビビビビビビッ!


 魔法陣のような光と共に、警報のブザーのようなものが辺りへ鳴り響く。


「まずい、侵入者対策の魔道具だ!この通路だと袋小路になる、開けた場所まで抜けるぞ!」


「ああ、わかった!」


 先導して走るマークを、俺も全力で追いかける。


「おい、お前ら!待て!」


 外の見張りをしていた男たちが次々に後ろのドアから入って来た。

 

 追ってくるその男たちを振り切り、俺達は、10メドル程先にあった広間へとどうにか抜け出す。


 しかし―――


「馬鹿め……逃げられると思うなよ?」


「貴様ら、生きて帰れると思うな!」


「ヒャハッ!嬲り殺しだッ!」


 後ろから追いかけてきた見張りだけでなく、広間に繋がる通路から、次々に獄王の牙の組員達が現れ、俺達を囲む。


 その数、約20名。

 どう足掻いても抜け出すことは不可能だ。


「マーク!後ろは頼む!」


「任せろ!下っ端ごときにやられるなよ!」


 そして、俺達と、獄王の牙の組員達との戦闘が開始した。



            ◆◆◆



 「ハァッ……ハァッ……!」


 マークが肩で息をしながら、膝を地に着いた。


 どうにか相手を撃退したものの、先頭の連続だった俺とマークは疲労困憊だ。


 明らかに、この間受けた襲撃よりも、組員の戦闘力が高い。

 それ程までに、この施設が重要ということだろうか。


「とにかく、進もう……」


「ああ、恐らく、重要な施設は地下だろう」


 息を整えたマークが、広場の奥から地下へと続く階段を指差す。


 次々と襲ってくる組員をどうにか退けながら、俺達は既に階段を2回下っていた。

 何度も襲撃を受けていることからして、恐らくもう認識阻害は意味を成していないのだろう。


 階段を下り、地下3階へ突入した辺りから、ガラリと雰囲気が変わってきた。


 これまで石造りの簡素なものであった部屋や通路は整備され、部屋の中も専門書の詰まった本棚や、何かの液体が入ったフラスコで埋め尽くされている。


「何かを研究しているのか……?」


 マークが、毒々しい液体の入ったフラスコを持ち上げて眺めながら、そう呟く。


「そうみたいだね。奥底でヤバい魔物とか研究してないといいけど」


 俺は冗談のつもりだったが、その言葉にマークが真剣な表情を見せる。


「あり得るな。その昔、獄王の牙が魔物を改造して使役していたっていう話がある」


「本当に……?げんなりするけど、気を付けて進もう」


 適当に言ったのだが、本当に獄王の牙は、魔物を使った実験をしているらしい。


 過去に、獄王の牙は、魔物を使役するだけでなく、魔改造した魔物を魔王軍へと送り込み、戦力を強化していたのだとか。

 だから、この拠点も、そういう場所である可能性があるらしい。


「とりあえず、まだ下があるみたいだね」


「ああ、この辺は調べ終わった。行こうか」


 証拠品になりそうなものを探していたマークが、そう言って下へ続く階段へ向かっていく。

 俺もそれに続き、とうとう、地下5階まで辿り着いた。


 地下5階は、これまでより更に研究室といった雰囲気が強い造りになっており、あちらこちらに培養液の入った大きなガラスの筒が設置されている。

 よくSF映画で見るようなアレだ。中を覗くと、よく分からない肉塊が蠢いていた。


「うへぇ、気持ち悪いな……」


 俺が怯えながら進んでいるにも関わらず、マークは周囲を観察しながら冷静に進んでいく。

 培養液の蓋を開け、持参したと思わしき試験管にその液体を汲み取っていた。


「ごめん、全然役に立ってないな、俺……」


「いいさ、こういうのは盗賊シーフの俺が担当するさ」


 そう言ったマークは、クールに微笑むと、再び奥へと進み始める。


「多分、この先が最奥部だろうな」


 俺達の目の前に、鉄製の大きな扉が現れる。

 扉は厳重に施錠されており、鍵がなければ開けることはできないだろう。


「どうする、マーク?」


「俺に良い考えがある」


 どうやら、打開策を思いついたらしい。

 全く、マークはいつも頼りになるな。


 そんなことを思いながら、俺はマークが作戦を告げるのを待つのであった。


次回はせっかくなので、5000PV記念として0時頃に投稿したいと思います。

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