第31話 へし折れた相棒
投稿遅刻申し訳ないです……!
ブックマーク、評価してくださった方ありがとうございます!
「ふわぁ……あ……っと!」
宿屋のベッドで目を覚ました俺は、大きくあくびをしながら起き上がる。
ちなみに、最近泊まっているのは、今までのボロ宿ではなく、もう1ランク上の宿屋だ。といっても、古くて狭い宿であるが……。
それでも、整備のしっかりされた部屋の中は、埃っぽくもないし隙間風も吹き込まないから、前とは全然違うけどな。
「あぁ、そういえば、ステータス確認、してないな……」
寝ぼけた頭でそんなことを思った俺は、【ステイト】を唱える。
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<<<ヨシヒロ・サトウ>>>
冒険者ランク:D レベル:35
職業:冒険者
筋力:C305
耐久:B572
敏捷:D237
知力:D156
器用:D202
運 :D133
<<魔法>>
【硬化】:全身を硬化させ、防御力を上昇させる。硬化は耐久値に応じて強化。
魔法の解除は任意。
詠唱文:『我が身を盾に』
<<固有スキル>>
【不眠不休】:一定時間内の活動における疲労減少。
睡眠属性の干渉に対し、中程度の耐性を得る。
<<常時スキル>>
【毒耐性】:毒属性への耐性を得る。一定レベル以下の毒は無効化。
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レベルがかなり上がっているが、魔法やスキルに変化は無さそうだ。
あと、相変わらず、運は全く上昇していない。
だが、筋力が結構上昇したのと、やはり規格外に上がっている耐久が目立つ。
「やだ……俺のステータス、脳筋すぎ……!?」
冗談はさておき、脳筋とまでは言わなくとも、前衛っぽいステータス構成になってきたのは事実だ。
マークが攻撃を担当してくれる分、俺は壁役に専念できる。
結構魔法を使ってるのに、知力が殆ど上がってないのはちょっとショックだったが……。
だが、【硬化】の説明文の中に、解除は任意の文字が加えられている。
この世界の魔法は、やはり特訓次第で成長するようだ。
二人とも物理攻撃しかできないので、やっぱり攻撃魔法ができる人は欲しいなぁ……。
無いものねだりをしても仕方ないが、もう一人遠距離から攻撃する仲間が増えれば、動きやすくなるのは事実だ。
いつか、そういう仲間がパーティに加入してくれれば良いのだが……。
それはさておき、今日はあの襲撃事件以来、久しぶりのクエストだ。
そろそろ約束の時間になるので、着替えてギルドへ向かわなければ。
◆◆◆
ギルドでマークと合流した俺は、3つほどクエストを選び、出発した。
少し西に傾いてきた太陽を見るに、時刻は大体15時といったところだろうか。
現在は、本日最後のクエストである『大毒蛙討伐』のため、森の中にある湿地帯へ向かっている最中だ。
ちなみに、何故クエストを3つしか受注していないかというと、大量の同時受注をマークに全力で阻止されたからだ。
前回5つのクエストを1日でクリアした際に、疲れ切ったマークに「もう勘弁してくれ!」と言われ、泣く泣く街へ帰ったことがある。
俺としては、せっかく仲間が増えたので、泊まり込みでクエスト攻略をするつもりだったのだが……。
やはり、固有スキル【不眠不休】の影響はかなり大きいようで、マークが疲れ切っていたその時も、俺はまだまだ体力には余裕があった。
そんな事情から、3つだけクエストを受注した俺達は、最後のクエストの目的地である湿地帯に辿り着いた。
「……いるぞ、ヨシヒロ。あのデカいのが大毒蛙だ」
そう言って、マークは、水場からちょうど上がってきた、紫色のカエルを指差す。
大毒蛙というだけあって、体長は1メートル程あるらしい。
紫色の皮膚は、その粘液でぬめぬめと光っている。
「いつも通り、俺が先に出る。マークは隙を見て止めを頼む」
そう言って、俺は身を隠していた葦のような植物の前から飛び出す。
「あ、おい!毒に気を付けろよ!触るだけでヤバいぞ!」
マークが何かに気を付けろと言っていたが、いまいち聞き取れなかった。
まぁ、恐らく大丈夫だろう……。
俺は、数メドル先で呑気に日光浴する大毒蛙に向かって駆けだす。
「あっ……」
しかし、湿地帯の泥に足を取られ、勢い余って滑った俺は、毒液の滴る大毒蛙の体表を触ってしまったのだ。
ぬるりとした体表をそのまま右手が滑り抜け、水溜まりに向かって顔から突っ込む。
「うおっ!?」
その様子を見ていたマークが飛び出し、俺に向かって大声を上げた。
「馬鹿野郎!すぐに洗い流せ!」
そのあまりの剣幕に、俺は急いで手を洗う。
すると、大毒蛙を触ってしまった右手に、変化が現れた。
「こいつやばいぞ、マーク!触るとなんかピリピリする!」
右手がじんわりと赤くなり、微弱な電流が流れるような刺激が走る。
「ああ……。そう言えば、ヨシヒロには【毒耐性】のスキルがあるんだったな……」
呆れた様子でマークがそう言った。
本当なら、大毒蛙の体液は猛毒なので、普通はピリピリするくらいじゃ収まらないそうだ。
危ない、【毒耐性】があって本当に良かった……。
そう思いながら、俺は起き上がり、再び大毒蛙と向き合ったのだった。
◆◆◆
忠告を聞かずに飛び出した俺に怒ったマークが攻撃を手伝ってくれなかったので、殆ど一人だけで、2体の大毒蛙を討伐することになった。
毒の粘液に覆われた体表と、カエル特有の弾力のある体は俺の武器であるメイスと相性が悪く、頭部以外への攻撃を殆ど無効化された。
そう理由もあり、独力で大毒蛙と対峙する俺は、最期の一匹に向けて、メイスを向ける。
既に3度、俺は大毒蛙の頭部に攻撃を与えている。
体力は多かったが、他の個体と同様なら、恐らく次の一撃で倒せるだろう。
「これで、止めだ……!」
俺は、こちらへ放たれた大毒蛙の舌を、左手に持った盾で防ぐ。
『ゲコッ……!?』
そして、大毒蛙までの距離、約3メドルを一気に詰めると、その無防備な頭部へ向かって全力の一撃を放つ。
すると……
―――バキッ!
金属の折れる鈍い音がして、アイアンメイスが持ち手だけ残したまま、ぽっきりと折れる。
「あ、AIBOOOOOOOO!!!」
俺は、この世界に来て以来、長い付き合いだったアイアンメイスの最期に思わず叫ぶ。
「あ、おい、ヨシヒロ!後ろ!」
そんなマークの声を聞いて振り向くと、仕留めそこなった大毒蛙が跳びかかってくるのが見えた。
『ゲロゲロッッ!!!』
そして、俺の目の前まで迫った大毒蛙は、マークが全力で投擲したナイフを受け、絶命した。
「ったく、油断すんなよ」
今まで戦いを静観していたマークが、葦の陰から出てくる。
「ごめん……。でも、武器が折れちゃって……」
別段高価なものでもなかったが、ビジネスバッグを犠牲にしてまで手に入れた武器だ。
これまで、何度も強敵との闘いを切り抜けてきた思い出がある。
ショックでがっくりと落ち込む俺に、マークが肩を叩いて言葉をかける。
「せっかくだし、武器を新調すればいいじゃないか」
なるほど、言われてみればその通りだ。盲点だった。
思い出があるとはいえ、別にこの武器に拘る必要はないのだ。
であれば、ランクアップによりこれから激化する闘いに備え、新しく武器を用意するのもいいだろう。
「確かに!となれば、早速街に帰って武器を買いに行こう!」
「いや、市販品を買うくらいなら、もっといい方法があるぜ」
何やら、マークにいい考えがあるらしい。
次回、6/17のお昼12時に投稿予約済みです。




