表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜・イン・ファンタジー ~異世界ブラック冒険譚~  作者: 揚げたてアジフライ
第一章 剣と魔法とデスマーチ
26/137

第25話 社畜と新しい仲間

何故か急にPVが増えました!

評価、ブックマーク共々ありがとうございます!

「―――我が身を盾に」


 詠唱を終えると同時に魔法が発動し、全身が鋼鉄のように重く、硬く変化する。


 魔法を覚えて以来、クエスト中に積極的に魔法を使うのは勿論のこと、俺は宿の裏手にあるスペースにて、【硬化】を調整するための訓練が日課になっていた。


 鋼鉄の全身が、指先から元に戻っていくイメージを、何度も繰り返す。


「―――硬化解除」


 全身の効果が解除されるイメージが完成すると同時に、体を包んでいた魔法の光が消え、【硬化】が解除される。


「よし、完璧だ!」


 初めての魔法である【硬化】を習得してから、早くも一週間が経過していた。


 この間、俺はイメージの切り替え訓練を何度も行い、ある程度好きなタイミングで【硬化】を解除できるようにまで成長していた。

 あとは、このペースで訓練を続け、イメージの切り替えスピードを上げていく。

 そうすることで、より早く、【硬化】から解除までの切り替えが早くなるだろう。


 解除が早くなればなるほど、戦闘を有利に運べるはずだ。

 構えた位置しか防御できない盾と比べ、上手く【硬化】を使えば全身を守ることが出来る。

 ソロで戦う俺にとって、不足な事態が起こった際に身を守る手段を習得することは急務なのだ。


「まぁ、今日はこんな所かな……」


 日課の訓練を終えた俺は宿の部屋へと戻り、着替えと軽い朝食を済ませる。

 少し早い時間ではあるが、冒険者ギルドは既に営業している。

 このまま、【硬化】の切り替えを試す為の依頼を受けに行ってしまおう。


「うーん、中々良さそうなのが無いな……」


 早朝で閑散とするギルドの中、俺はクエストボードを端から順に目で追っていく。

 まだ新規依頼の更新が無いのか、クエストボードは普段より依頼用紙の数が疎らだ。

 時間を空けて出直そうかと思っていると、誰かがこちらへ近づいてくる足音が聞こえてくる。


「あんたが歩く死体(リビングデッド)だよな?」


 後ろを振り向くと、俺に声を掛けて来たのは俺より少し年下くらいに見える青年だった。

 ツンツンと逆立たせた銀髪に、切れ長の瞳、動きやすそうな軽装に、腰にはナイフと思わしき武器を携えている。


「あんまりその名前で呼ばれたくないんですけどね……」


「そうか、すまない。だが、噂は聞いてるぜ。名前だけじゃなく、新人の中じゃ実力も頭一つ抜けてるってな」


「そうなんですか?まだ駆け出し程度だと思いますけど……」


 確かにアリシアからはよく普通じゃないと言われるが、それでも俺の冒険者ランクはEで、駆け出しも駆け出しだ。

 歩く死体などと言う悪名こそ広まったが、俺が実力者なんていう名声はちっとも聞いたことが無い。

 青年は更に言葉を続ける。


「まぁ、そこはいいんだ。実は、俺もソロの冒険者なんだが、パーティメンバーを探してる。駆け出し同士、ランクアップのために、パーティを組まないか?」


「それは、こちらとしても願ったり叶ったりですが……」

 

 黒大蛇ヘビィボアの討伐でランクアップして以来、かなりの数のクエストをクリアしてきているが、一向にランクアップの気配はない。

 アリシアによると、ランクアップのためには一定の功績が必要なので、自分より格上の依頼をクリアするとか、中々に厳しい条件が設けられているそうだ。

 つまりは、今の俺一人でこなせるクエストだけでは、恐らく相当数をこなす以外に方法は無いのである。


 そう言えば、最近は一人で冒険するのもマンネリ化してきた所だ。

 別に何か問題があるというわけではないのだが、複数での戦闘も経験しておいて損はないだろう。

 それに、一人で長時間冒険をしていると、どうしても話し相手が欲しくなってくる。

 その点から考えても、この申し出は有難い部分があった。


「いいですよ。よろしくお願いします」


「随分あっさりだな。俺はマークだ。盗賊シーフをやってる」


 マークを名乗った青年は、少し呆れたように頭を掻くと、そう言った。


「あと、その言葉遣いは丁寧すぎる。冒険者は荒くれ者ばっかりなんだから、そんなんじゃナメられるぜ」


 なるほど、冒険者にもそんな暗黙の了解があるらしい。

 アリシアや商店の店員以外とは殆ど話さないので、全く気付かなかった。

 確かに、冒険者の中には世紀末な見た目をした奴も結構いるし、これから他の冒険者と関わっていく可能性がある以上、不用意に下に見られるような事態は避けておくべきだろう。


「わかった。俺はヨシヒロ・サトウだ。ただの冒険者けど、よろしく頼むよ」


「ああ、よろしくな」


 マークの差し出した右手を握り、がっしりと握手をする。

 こうして、俺とマークの臨時パーティが臨時パーティ結成されたのであった。


「ところで、なんのクエストを受けるか決めてるのか?」


 俺がそう問いかけると、マークはクエストボードの中級者向けの依頼の中から、一枚の依頼用紙を剥がして手渡してきた。


「ああ、このクエストに行こうと思っている」


――――――――――――――――――――――――


『※緊急 邪狼ダークウルフの討伐※』


内容:アブダイル山脈の森に位置する廃村に巣食った邪狼の討伐。

近隣地帯で冒険者や木こりへの被害が多発しているため、撃退でなく、必ず討伐すること。


報酬:30000エル


――――――――――――――――――――――――


「随分破格の報酬じゃないか。中級者向けみたいだが、倒せるのか?」


「倒すしかないさ。手っ取り早くランクアップしたいなら多少の無茶には目をつぶってくれ」


 まぁ、確かにそうかもしれない。

 ギルドの設定するランクアップ条件を達成したいのであれば、どうしても多少の無茶は必要になってしまう。

 アリシアには怒られそうだが、この際仕方あるまい……。


「分かった。そうとくれば、いつ出発する?」


「俺は今からでも問題ないぜ。ヨシヒロの準備が終わったらでどうだ?」


「ああ、俺も元々クエストに行くつもりだったから、準備は問題ないよ。受注だけして、回復ポーションを少し買ってから出発しようか」


 アリシアにバレないよう、マークを担当する受付職員に頼んで、依頼の受注を終える。

 幸いにも、まだ早い時間であるからかアリシアさんは出勤していなかったのだが。


「よし、こんなところか……!」


 市場でポーションを含む物資を調達し、準備は完了だ。

 気合を入れるため、アーマーのベルトをきつく締める。


 目的地である廃村は、グスタの街から南に2時間程進んだ先にあるらしい。

 その移動時間の間に、邪狼の生態やお互いの戦闘スタイルも含め、マークと情報交換をしておかなければ。

 そんなことを考えつつ、俺は先導するマークについて進んで行くのであった。



次回、6/14、お昼の12時投稿です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ