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社畜・イン・ファンタジー ~異世界ブラック冒険譚~  作者: 揚げたてアジフライ
第一章 剣と魔法とデスマーチ

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第23話 盾と社畜は使いよう

1000PV突破、ブックマーク5件になってとても嬉しいです。

拙い文章ですが、これからも頑張ります。

ということで、記念に投稿です……。


「えーと、これかな?」


 俺は、目当てであった魔物の討伐依頼を発見し、クエストボードから依頼書を剥がす。

 新しく購入した盾を使う練習の為、猪型の魔物を探していたのだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


突進獣ダッシュビーストの討伐』


内容:グスタの街南の山林に現れた突進獣1体の討伐。


報酬:3500エル


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ギルドの資料によると、突進獣は大型の猪のような姿をした魔物である。

 猪であるものの、牙は短く退化しているため、その危険度は低い。

 一方で、大型になると3メドルを超える巨体が繰り出す突進は強力で、注意が必要とのことであった。


 グスタの街の南側にそびえるアブダイル山脈。

 その麓の森には、今までクエストで訪れていた北側の森よりも、強い魔物が生息していると言う。

 そんな魔物達の中でも、突進獣は比較的レベルは低い魔物であり、対処法さえ身に付ければ、簡単に討伐できるとのことだ。

 主な攻撃手段も突進であり、盾を練習するにはぴったりと言えるのではないだろうか。


「よし、行くか……!」


 気合を入れる意味も込め、レザーアーマーのベルトを強く締め直す。

 新しく戦う魔物ではあるが、今回に関しては情報収集もばっちりだ。




◆◆◆




 グスタの街を出発し、1時間程歩いた頃、目的であるアブダイル山脈の麓へと辿り着いた。


 背の高い木々が鬱蒼と茂る森は、昼間でも光が差し込まず、薄暗い。

 鳥や動物の声も殆ど聞こえない森の中は、不気味な静寂に包まれていた。


 薄暗い森に出来た獣道を進んでいくと、茶色く、大きな背中が目に映る。

 2メドルを優に超える大きな体、短い牙が生えた口元、あれが突進獣で間違いないだろう。

 こちらに背を向けたそいつは、木の根元に生えた茸を貪っているようだ。


(チャンスだな……)


 俺は、突進獣に気づかれないよう、心の中でそう呟く。


 向こうはまだ気づいていない。

 背後から全力で一撃を入れることが出来れば、恐らく大きなダメージになる筈だ。

 俺は、茂みからゆっくりと、音を立てないように慎重に足を踏み出す。

 そして、未だにこちらに気づく様子のない突進獣に向かって一気に詰め寄った。


 突進獣の背後、1メドル辺りまで近づいたところで、思い切り前へと跳躍する。

 更に、その勢いのままに、巨大な背中へと渾身の一撃を叩き込んだ。


 しかし―――


『ギュイ……?』


「なんだって……!?」


 俺が全力で放った筈の一撃は、厚い脂肪と固い毛皮に弾かれた。

 呑気に食事を楽しんでいた突進獣も、流石にこちらへと顔を向ける。


 困惑しつつも、俺はメイスを弾かれたままだった体勢を立て直した。


 全身を覆う脂肪の鎧と分厚い毛皮は、並の攻撃を通しそうにない。

 そうとくれば、やはり急所である頭を狙うために正面から戦うしかないだろう。


 それに、盾の練習をするなら、正面から攻撃を受けるのも悪くない。

 そう思った俺は、こちらに向けて突進の構えを取り始めた敵に向かって盾を構える。


「よし、掛かってこい……!」


 俺のそんな声を皮切りに、突進獣は全力で突進攻撃を仕掛けてきた。


『ギュイィイイィィィッ……!!!』


「かはっ……!?」


 突進獣の身体と俺の構えた盾が正面からぶつかった。

 しかし、俺は想定以上の衝撃に耐えきれず、数メドルもの距離を吹き飛ばされる。


 突進を受け止めた衝撃で肺が押し潰され、一瞬の間、息が止まった。

 そして、骨が軋むような鈍い痛みが全身を駆け抜ける。


「ぐうっ……!」


 急な衝撃に受け身を取ることすら出来ずに吹き飛ばされた俺は、背後の樹木に叩きつけられる結果となった。

 痛む身体に鞭を打ち、辛うじて起き上がる。

 防具を新調してなければ危なかったかもしれない。それ程までに強烈な一撃だった。


 想定していたあ以上に、突進の威力が高い。

 同じ体制で攻撃を受ければ、また耐えきれずに吹き飛ばされてしまうだろう。


 盾を正面に構え、少し腰を落として、右足を少し後ろに出す。

 俺は、衝撃を極力減らし、正面からの一撃を確実に受けるための構えを取った。


 そんな俺の様子を見た突進獣は、再びこちらへ攻撃する準備をしているようだ。


『ブィィイイイッ!!!』


「ぐうッッッ……!」


 全力で駆けてくる突進獣の一撃を、今度はどうにか受け止めることが出来た。

 だが、衝撃を殺しきれず、少し後ろに押しやられる。


『ブイイィィィッ……!?』


 自慢の一撃を受け止められたに驚いたのか、突進獣が驚きの声を上げる。


「チャンスだ……!」


 俺は、すかさず体制を立て直し、突進獣の頭に向けてメイスを振り下ろす。

 全力の一撃が頭頂部へダメージを与え、確かな手応えを感じた。


『ギュィィィィイイッッッ……!?』


 俺の一撃を頭に受けた突進獣は、驚いたように飛び上がって距離を取る。

 ダメージの残る中、体勢を立て直した突進獣は、こちらへ敵意のこもった視線を向けている。

 そして、再び突進の構えを取り、全力でこちらへ向かってきた。


 ―――ギィン!


 前方に構えたアイアンシールドが、突進獣の固く短い牙とぶつかり、そんな音を立てる。

 だが、今度こそ、その突進を盾で完璧に受け止めることができた。


「その突進、完璧に見切ったぞ……!」


 攻撃を弾かれ、無防備になった頭部に向かって、俺は全力の反撃カウンターを加える。

 鈍い音と共にメイスが着弾し、突進獣が呻き声を漏らす。


『ギュイィイイィィィッッッ……!!!』


「勝負だ、突進獣……!」


 二度に渡る弱点への攻撃を受けてなお、こちらへ敵意を向ける突進獣。

 そんな相手の正面に立った俺は、再び両手で盾を構え、防御の姿勢を取った。




◆◆◆




『ブ、ブィィイ……ッッッ!!!』


 茶色い剛毛に覆われた巨体が倒れ、ズシンと大きな音を立てる。

 そして、大きな鳴き声と共に、突進獣は確かに青い光となって消滅していった。


「しゃあっ……!!!」


 突進獣との苦闘を制した俺は、盾を掲げて勝利の雄叫びを上げる。


 初撃の威力には面食らってしまったが、新たな防具のおかげで事なきを得ることができた。

 あれだけの衝撃を受け、叩きつけられてなお、身体が痛む程度で済んだのだから驚きだ。

 本当に、この防具を勧めてくれた店主と、それだけの防具を作り上げた鍛冶師には感謝しかない。


 それに、突進獣との闘いの中で、どうにか盾の使い方も分かった気がする。

 少なくとも、正面からの重い一撃への対応はマスターできたと言って良いだろう。

 あとは、正面以外からの攻撃への対応だが、今回の経験を活かすことができれば、戦闘を経験していく中でどうにかなる筈だ。


 青い光となって消えていった突進獣は、特徴的だった分厚い毛皮をドロップした。

 ドロップアイテムである『突進獣の毛皮』を拾い上げると、俺は街へ向かって、元来た道を引き返す。


「久しぶりに疲れた……!」


 肉体的な疲労は兎も角、ストレスによって溜まった精神的な疲労が半端ではない。

 今日ぐらいは、公衆浴場にでも行って、疲れ癒してもいいかもしれないな。

 俺はそんな事を考えながら、森を抜け、グスタの街へ向かうのであった。


次回は、本日のお昼12時頃に投稿予定です。

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