第21話 撲殺間際シャチクちゃん
先日は今までで1番PVが多かったです!
ありがとうございます!
黒大蛇≪ヘビィボア≫との死闘から既に1か月以上が経過し、その期間に多くのクエストを達成してきた。
そのおかげもあって、俺のステータスは良い感じに上昇しており、新たなスキルまで獲得することができている。
という訳で、そろそろ、受ける依頼の難易度を上げる頃合いかもしれない。
ここ一か月の俺と言えば、ランクが上がったにもかかわらず、ゴブリン討伐のような無難な依頼ばかり達成している。
正直言って、依頼で相手をする魔物との戦いに、かなり余裕が生まれている。
こんなことを言うとアリシアに怒られそうだが、この世界では無茶をする程に、ステータスやレベルが大きく上昇していく。
いくらクエストを数多くこなしても、その難易度が低ければ、それに応じた程度でしかレベルやステータスは上昇しないのだ。
それに、せっかくファンタジーな世界に来たんだから、俺TUEEEEとまではいかなくても、冒険者として上を目指したいのだ。
(何せ、社畜時代は無茶すればするだけ、仕事の量を増やされるだけだったからな!)
純粋に、努力すればするだけ、それが成果となって現れるこの世界のシステムが嬉しいのだ。
そう言った事情もあり、最近受けているクエストより、少し難易度の高い依頼に挑戦したい。
こういう時こそアリシアへ相談するべきだろう。
あの人は、新人の筈なのに、他の職員よりも色々な情報を持っているのだ。
そんなことを考えながら、俺はギルドへと歩を進めるのであった。
◆◆◆
「難易度の高い依頼、ですか……?」
俺の要望を聞いたアリシアさんが、訝しむような視線を向ける。
恐らく、また無理をすると思われているのだろう。
「あ、無茶しようって訳じゃないですよ!純粋に、ステータスも上がったのに、最近は無難な依頼ばかりで物足りないと思ってきて……」
「なるほど、それなら良いと思いますよ!サトウさんも、冒険者らしくなってきましたねぇ……」
今度は慈しむような優しい目を向けられた。
感情が豊かなのは良いことだが、この人の中で俺は、一体どういう扱いなのだろうか……。
「駆け出しから脱出したサトウさんには、ゴブリンの群れの討伐依頼がオススメですよ!」
アリシアさんが、1枚の依頼用紙を俺に手渡す。
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『ゴブリンの群れ討伐』
依頼内容:カストゥール山脈麓の森にて、20匹前後のゴブリンの群れの討伐。
※ホブゴブリンが群れを統率している可能性があるので要注意。
報酬:群れの殲滅で2500エル
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「うん、いいですね。ゴブリンなら腕試しにちょうど良さそうです」
「ただ、ゴブリンは群れると厄介なので、その点だけ注意してくださいね!」
「わかりました!ありがとうございます!」
俺は、早速依頼の受注を行い、その足でクエストへ向かうことにした。
今回の討伐対象であるゴブリンは、こちら世界に来てから何度も討伐している下級の魔物である。
1体あたりの戦闘力はかなり低く、今の筋力値であれば、数回攻撃する程度で討伐が可能だ。
油断するつもりはないが、多少数が増えたところで、ゴブリンなら問題ないだろう。
流石に、20匹と言う群れの全てが一斉に襲ってくる訳ではないだろうしな……。
そんなこんなで森まで辿り着いた俺は、ゴブリンの群れを探すため、森の奥へと足を進めるのであった。
◆◆◆
(油断しなければゴブリンの群れなんて余裕。そう思っていた時期が俺にもありました……!)
森に入ってからものの十分程で、俺は5匹のゴブリンを見つけた。
5匹だけであれば、何度も討伐しているので、問題なく相手が出来る数だ。
いくら1体辺りの戦闘力が低くとも、数が増えると厄介この上ない。
先に、この5体だけでも討伐してしまおう。
そう考えた俺は、様子を伺っていた茂みから足を踏み出す。
―――ガサッ。
乗り出した拍子に、茂みがそんな音を立てる。
気にしていたつもりだったが、仕方あるまい。
幸いにも、ゴブリン達はこちらに気づいていないようだ。
このままの勢いで不意打ちを喰らわせてやろう。
そう思った俺が走り出した瞬間だった。
『ギィ、ギィ、ギィィィィッ……!』
ゴブリンの群れのうちの1体が偶然こちらに気づいてしまったのだ。
そして、駆け寄る俺を指差すと、周囲の仲間達へそれを知らせ始めた。
「くそっ!でも、このままいけば無難に倒せる……」
そう呟いた途端、ゴブリンの後ろの茂みから、更に大きな群れが現れる。
どうやら、先程の鳴き声のせいで、他の仲間まで呼び寄せられてしまったようだ。
だが、余程の大群で無ければ、まだ相手は出来る筈……。
「おっと……?」
明らかに、想定外の数だった。
ゴブリンは素早く、その小さな身体には攻撃を当てづらい。
いくら弱いとはいえ、これだけの数が集まってしまえば、今の俺の実力では脅威である。
新たに茂みから現れた個体を含めると、群れの数はざっと25匹。
20匹前後という依頼だったので、殆ど誤差のない範囲だろう。
そして、ゴブリンの上位種であるホブゴブリンの様子は見られない。
「それなら……!」
どうにか敵の攻撃をかいくぐりながら、相手ができる筈だ。
数の脅威はあるものの、俺の耐久のステータスを加味すれば、一撃のダメージも殆どない。
俺は、群れの先頭まで走り抜けると、目の前にいたゴブリンの頭に向け、メイスを振りぬいた。
上手く急所を打ち抜くことができたのか、ゴブリンは一撃で屠られ、青い光となって消えていく。
『『『ギィ!ギィ!!ギギギギギギィィィイ!!』』』
仲間を屠られたゴブリンが怒りの声を上げ、敵意が一斉にこちらへ向けられる。
粗雑な木製の武器を構え、明らかな臨戦態勢だ。
「いくぞ……!」
こうして、俺とゴブリンの群れの死闘が幕を開けたのであった。
次回、本日の21時頃投稿予定です




