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社畜・イン・ファンタジー ~異世界ブラック冒険譚~  作者: 揚げたてアジフライ
第一章 剣と魔法とデスマーチ
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第20話 新たな力


「ギッ……ギィィ……ッ!」


 俺は、振りかぶったメイスを足元へと強く打ち付けた。

 依頼の討伐対象でもあったゴブリンが呻き声をあげて力尽きる。


「ふぅ、今日はこんなところかな……」


 今回の依頼は、群れからはぐれたゴブリン数匹の討伐だったのだが、特に苦戦もなく終わった。


 黒大蛇ヘビィボアの討伐以降、俺は、確実にクリアできそうな、無難なクエストばかり選んで依頼を受けていた。

 あれから一か月くらい経って、かなりの数の討伐依頼をクリアしてきたし、そろそろ、難易度の高いクエストに挑戦してみても良いかもしれない。


「久しぶりにステータスも確認しとくか。【ステイト】……!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

<<<ヨシヒロ・サトウ>>>


冒険者ランク:E  レベル:21

職業:冒険者


筋力:D211

耐久:C342

敏捷:D198

知力:D105

器用:D186

運 :D113


<<固有ユニークスキル>>


【不眠不休】:一定時間内の活動における疲労減少。

睡眠属性の干渉に対し、中程度の耐性を得る。


<<常時パッシブスキル>>


【毒耐性】:毒属性への耐性を得る。一定レベル以下の毒は無効化。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 筋力がかなり上がったのと、やはり耐久値だけが大幅にアップしている。

 他の能力値は、あれから一ヵ月近く経ったにしてはあまり上がってない。

 運に関しては、全く上昇していないようだ。

 上がる上がらないも、運次第と言うことなのだろうか。


「あれ……?常時スキル……?」


 ステータス画面を上から順に確認していた時だ。

 俺はふと、新しい項目が増えていることに気が付いた。


「ううん、常時スキルか……」


 その名の通り、常時発動するタイプのスキルなのだろう。

 だが、固有スキルの【不眠不休】も常時発動のような気がするのだが、違いがよく分からない。


 それは兎も角、新しく能力が手に入ったのは純粋に喜ばしいことだ。

 クエストの達成報告も兼ねて、アリシアに常時スキルのことを聞いてみることにしよう




◆◆◆




「お疲れ様です、アリシアさん!」


 書類の整理でもしていたのか、手元に分厚い紙束を抱えていたアリシアへと声をかける。


「あっ、サトウさん!最近見かけないけど、また徹夜してるんじゃ……?」


 アリシアは、声の主が俺であることが分かると、訝し気な顔でそんなことを訪ねてくる。


「ち、違いますって……!最近は節約も兼ねて野営するのにハマってるから、しっかり休息もしてますよ……!」


「……まぁ、それならいいんですけど。そういえば、何かご用があったんですか?」


 そう、ギルドに来た一番の目的は、常時スキルについて尋ねることだった。


「あっ、そうでした!クエストの報告は勿論なんですが、常時スキルってのが新しく発現したみたいで、それについて話を聞きたくて……」


「えっ……!?常時スキル、ですか……?」


 俺の言葉を聞いたアリシアが、目を丸くして驚いている。

 今の発言に、何か驚かせるような部分があっただろうか。


「はい、【毒耐性】ってスキルみたいですけど……」


「えぇ……?常時スキルって、生まれつきのものであって、普通は後から獲得できるようなものじゃないはずなんですけど……」


 なるほど、そう言う事情だったのか。

 確かに、常時スキルと言うと、ゲームでは転職した時に獲得できたり、キャラクターごとに最初から持っていることが多いような気がする。


「そうなんですか?でも、状態異常耐性のスキルなんで、役に立ちそうですよね!」


「それはそうですねけど……。ちなみに、【毒耐性】スキル獲得の原因に心当たりは……?」


 うっ、痛いところを突かれてしまった。

 十中八九、野営中に毒草やらなんやらにあたりまくってたのが原因だろう。

 結局、最初の木の実の時に加え、あの後もきっかり5回、解毒薬が無くなるまで毒物を摂取してしまった。

 日本の野草と同じ物が多いと思っていたのだが、どうにも成分が異なる物が多いらしい。

 思い返せば、最後の方は、毒を摂取しても、耐性が付いたように症状が軽くなってた気がする……。

 しかし、正直に話すと野営まで禁止されてしまいそうだ。


「じ、実は……!」


「……実は、なんですか?」


 相変わらず圧が凄い。

 ただの受付嬢の筈なのに、何というプレッシャーを放つのだろうか。


「依頼で野営してる最中に、何度も毒草や毒の実を食べてしまって……。それが原因かと……?」


「はぁ……!?馬鹿なんですか!?無理しないでくださいって、あんなに言いましたよね!?」


 やはりと言うべきか、烈火の如く怒り出すアリシア。

 純度100%で俺が悪いので、ただただ申し訳ないと言う気持ちしかない。


「め、面目ない……。きっちり解毒薬は持ってたから大丈夫だと思って……」


「はぁ……。なんというか、常識外れで常識知らずなのは知ってましたけど、サトウさんは世界に一人だけなんです。今回は良い結果に終わったから良いものの、死んじゃったらどうしようもないじゃないですか……!」


 目を潤ませ、震えた声でそう告げられる。


「アリシアさん……」


 ここ最近仲良くなれたとは思っていたが、そこまで心配してくれているとは思ってもいなかった。

 確かに、命を大事になんて言いながら、無謀なことばかりしてしまっていたかもしれない。

 こればっかりは、本当に反省すべき部分だろう。

 なにせ、アリシアに心配をかけるばかりか、下手を打てば命を失う可能性すらあるのだから。


「もう、無茶しないでくださいね……?」


「はい!約束します……!」


「はい、というわけで、サトウさんはこれからお勉強ですね!」


「えっ……?」


 感動の場面から一変、素敵な笑顔と共に、そんなことを言い放つアリシア。

 どこから取り出したのか、目の前に野草や植物に関する資料が山積みにされる。


「幸いなことに、今日はもう仕事が片付いたんです。私とお勉強会をしましょうか!」


「マジっすか……?」


 結局、その後はクエストに行くことも許されず、アリシアと勉強会をすることになってしまった。

 更に「これで勉強してください!」と、『ゴブリンでもわかる植物図鑑』を手渡される。


 自業自得とは言え、毒にあたったことも含め、散々な数日間だった。

 とは言え、俺の自慢の野草知識があまり役に立たないことが判明したので、勉強しなおす必要はあるだろう。


(【毒耐性】が付いたし、今なら多少の毒物は大丈夫なのでは……?)


 なんてことを考えていたら、それを読まれたのか、アリシアにめちゃくちゃに睨まれてしまった。

 まぁ、耐性があるとは言え、毒なんて食らいたくないのが本当の所なので、この勉強会は必ず活きてくるだろう……。


次回は明日の12時投稿です


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