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社畜・イン・ファンタジー ~異世界ブラック冒険譚~  作者: 揚げたてアジフライ
第一章 剣と魔法とデスマーチ
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第15話 蛇に睨まれた社畜

初めてブックマーク頂きました

本当にありがとうございます


 黒大蛇ヘビィボアは、首を持ち上げ、相変わらずこちらを睨みつけている。

 どうやら、俺に襲い掛かるタイミングを、今か今かと伺っているようだ。

 

「相手の攻撃が躱せないなら……!」


 そう、こちらから攻めるしかない。

 攻めは最大の防御とも言う。

 相手がこちらを攻撃する間もない勢いで、攻撃を加え続ければ良いのだ。


 そんな思いをきっかけに、半ば膠着化していた状況を先に打破したのは、俺の方だった。

 前方、視界の左方向へと大きく踏み込む。

 それをフェイントにして、素早く右側へと跳躍した。

 そして、勢いそのままに、振りかぶったメイスを黒大蛇に叩きつける。


『ギュウゥウウウウッ……!?!?』


 視界を右へ左へ素早く移動され、不意打ちを喰らった黒大蛇は、困惑したかのような鳴き声を漏らす。

 フラフラと首を揺らす黒大蛇は、先程の一撃で脳震盪を起こしたのか、視点が定まっていない。


(チャンスだ。狙うなら今しかない。一気に畳み掛ける……!)


 追撃で狙うのも、初撃と同じく頭部だ。 

 しかし、硬く、黒い鱗に覆われた体は、どこを狙ったとしても、ダメージを軽減するだろう。

 だが、打撃が効いているのは、さっきの不意打ちで検証済み。


「それなら、致命傷になりうる頭部を集中して打ち抜くッ……!」


 未だに目を回す黒大蛇の頭部へ向かって、渾身の力を込めたメイスを振り下ろす。

 鈍い音が鳴り、堅牢な黒い鱗が少しずつ剥がれていった。


 一撃、二撃、三撃……。

 俺は、休む間もなく黒大蛇へ連撃を放つ。


「……おおおおおぉぉッッッ!!!」


 頭部への猛攻撃ラッシュ

 それが、今の俺にできる最大火力の攻撃だった。


 絶対に手は緩めない。

 この好機を逃し、黒大蛇が回復してしまえば、俺の敗北だ。

 更に怒り狂った大蛇が、確実に俺の命を刈り取るだろう。


 殴る、殴る、殴る。

 右腕が軋むように痛むが、そんなことは気にしていられない。

 俺は、一心不乱にメイスを振り下ろし続けた。




◆◆◆




『グ……グロロロロロロ……ッ……!』


 どれ程の時間が経過したのだろうか。

 弱々しい断末魔を上げた黒大蛇が力無く地面に伏し、青白い光が天へ昇っていく。


「ハッ、ハァッ……!勝った……のか……?」


 息も絶え絶えの俺は、安堵感に思わずその場にへたり込んだ。


 だが、まぁなんとも呆気ない結果になってしまった。

 最初に不意打ちが決まったのも、確かに大きい。

 しかし、そこから先はもう、ハメ技のように気絶スタンの連続だった。

 一定時間ごとに意識を取り戻す黒大蛇の頭部をひたすらに殴りつけ、意識を奪う。

 ただひたすらに、それの繰り返しだ。


 これこそが打撃武器の真骨頂。

 上手く頭部を狙い続けることができれば、相手の行動を封じたまま討伐が可能なのである。

 それ程技術を要しないにも関わらず、こう言った戦法を取ることができるのも、俺がメイスを選択した理由の一つだ。

 とは言え、今回の連続スタンに関しては、偶然にしろ出来すぎた結果だったが……。

 それを加味しても、黒大蛇は、何が起こったのか分からないままに討伐されてしまっただろう。

 

(でも、こっちに来てから初めての、それっぽい苦戦だったかもなぁ……)


 今回の討伐に関しては、一歩間違えば命に危険が及ぶ可能性があった。

 幸運が続いたおかげでどうにか討伐できたが、何かの掛け違いで、今倒れているのが俺であったかもしれない。

 そう考えると、精神的にどっと疲れが来てしまった。

 まぁ、相変わらず【不眠不休】のスキルのおかげか、肉体的な疲労は皆無に近いんだが……。


「しっかし、今日は散々だったなぁ……」


 そう、今日受注したクエストの中で、クリアできたのは黒大蛇の討伐だけなのだ。

 実はゴブリンも数体倒してはいるのだが、流石に大勢の魔物に追いかけられながらでは、ドロップアイテムを拾う余裕なんてなかった。

 つまりは、ゴブリンを討伐した証拠が無いので、クエスト達成の報告が出来ないのである。


「本当にもう、やれやれだな……」


 次からはちゃんと、情報収集をしよう。

 そんな教訓を胸に、俺はとぼとぼと帰路に着くのであった。

 

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