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社畜・イン・ファンタジー ~異世界ブラック冒険譚~  作者: 揚げたてアジフライ
第一章 剣と魔法とデスマーチ
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第11話 考える社畜

 

 ギルドで手続きを終えた俺は報酬を受け取り、ホクホク顔で宿まで戻った。

 大芋虫ヒュージワームを討伐したおかげで、1000エルの追加報酬があったからだ。


 とは言え、現在の所持金はたったの3200エル。

 数日の宿と食事代くらいにはなるが、それも最低限の水準を維持するならと言う話だ。

 どうせなら、もう少し環境面も向上させたいし、いつかは装備も新調したい。

 それに、クエストを受け続ければ、いつかはポーション類なんかの消耗品費も掛かってくる。

 一定のラインを超えるまでは、やはり収入面の向上を目指し続けるべきだろう。


「ふぅ……」


 埃っぽいベッドに腰掛け、俺は現状を整理する。


 スライム討伐クエストまでは、いまいち自分のステータスやら加護やらといった、この世界特有のシステムが把握し切れていなかった。

 だが、先日夜通しで連続してクエストをクリアしたおかげもあってか、何となく戦い方や自分の身体能力も把握できてきた。


 まず、固有ユニークスキル【不眠不休】のおかげか、異常なほど疲れない。

 具体的に言うと、徹夜続きで逆にハイになったとでも言えば良いだろうか。

 恐らく肉体的には疲れている筈なのだが、不思議と身体が動くのだ。


 そして、スキルの発動中は、空腹や渇きも殆ど感じない。

 これに関しては、あまり無理をし過ぎると命に関わる気もするので、メリットとデメリットは半々と言ったところか。

 

 そして、顕著なのが身体能力の向上。

 これは明らかに冒険者登録による『加護』の影響だろう。


 それに加え、これまで剣道すらやったことが無いにも関わらず、何故か剣の振り方が分かる。

 とは言え、本当に「何となく使い方が分かる」程度なので、経験者と勝負すれば、ボコボコにされることは明白なのだが。

 推察するに、これも加護の効果の一つなのだろう。

 恐らくは、剣以外の武器を使ったとしても、ある程度は扱えるようになっている筈だ。


 その為、出来る限り近いうちに、報酬金で武器を買い替えることを検討している。

  素人に毛が生えた程度の剣を使うよりは、せっかく『加護』による身体能力上昇があるのだから、物理で殴る方向に切り替えた方が効果的なのではないだろうか。


 一応、剣術道場やら騎士学校も見かけたのでそういう場所に通うことも考えたが、どちらも裕福な商人や貴族の子ども向けといった感じだった。

 残念ながら、そんな所に通う程のお金はないし、手っ取り早くレベルやステータスを上げたい。

 ゲームをやる時も説明書とかは読まずにとりあえずやってみるタイプだったから、こういうチュートリアル的なのは性にあわないのだ。

そうとくれば、やはり無難にクエストを受けて、魔物を討伐するのが1番手っ取り早いだろう。


 ステータスを効率的に伸ばすにはどうすれば良いのか、ギルドで尋ねたところ、やはり実際の戦闘に勝る物は無いと言う。

 その一方で、技術を身に付ける為には、道場などで型を学ぶことも有用であるそうだ。

 加護を受けたからと言って、技術までは身に付かないからである。


 しかし、冒険者の多くは、そうした道場に通うことは少ないらしい。

 酒場でベテランの冒険者から聞いた話ではあるが、技術を磨くためにも、実戦が一番だと考える冒険者が多いのだそうだ。

 確かに、変に自分に合わない型を覚えるよりは、実戦で自分の戦いやすい型を探っていく方が、将来的には良さそうである。


 何はともあれ、楽をして強くなる方法はないと言うことだ。

 こればっかりは、俺自身が頑張るしかないだろう。


 やや話が逸れてしまったが、俺の一番の強みは、やはり【不眠不休】の効果で疲れにくいことだろう。

 単純に考えれば、これはスタミナが常人の数倍と言うことでもあるので、その分だけ多く活動することが出来る筈だ。

 更には、空腹も感じにくいので、食事は最低限で済む。

 食事の時間や休む時間が減るのであれば、その分だけクエストを進めることができる。

 つまりは、他者が休んでいる間にも俺は活動できるので、それだけ依頼を達成するまでの時間も早くなる。


 これは実質、他者より早く成長できると言う事ではないだろうか。

 恐らく、他の誰にも真似できない、俺だけの特権である。


 そうと決まれば、明日からは文字通り死ぬほど頑張ろう。

 とりあえずは、限界まで不眠不休でクエストに挑み続けることからか。

 そうすれば金策にもなるし、ステータスの成長にも繋がる。一石二鳥である。


(ようやく、冒険者っぽくなってきたぞ……!)


 そんなことを考えながら、ベッドに倒れ込むと、その拍子に埃が舞い上がり、思わず咳き込む。

 相変わらず埃っぽいベッドだが、しばらくは我慢するしかない。

 この不眠不休作戦が上手くいけば、金銭的にも余裕ができ、この宿からも脱出できる筈だ。

 それに、家に帰ることもできず、会社での仮眠の時間すら削られて仕事をしていた頃に比べれば、今の環境は天国とも言える程である。


 どうせ、クエスト中は休まずに活動するのだ。

 今日くらいは、ゆっくり眠って、体力を温存しておこう。

 目を閉じると段々意識が薄れて、俺は次第に夢の中へ落ちていったのだった……。


次回は6/8㈯の21:00投稿です

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