第96話 王道
どうしてもお昼に投稿できそうにないので、この時間の投稿で失礼します。
遅れた割に……という内容かもしれませんが、今後に向けて必要と考えている回です。
少し長くなってしまいましたが、お読み頂けると嬉しいです。
「次は、ユリウスの兄貴とエリスか……」
俺の隣に座ったマークがそう呟く。
先程の試合で今日の戦いは終わりだということもあり、俺達のいる関係者席まで上がって来たのだ。
確執のある試合を終えたばかりではあるものの、彼は飄々としているようにも見えた。
無論、何も感じていないのではなく、あえてそう見せているのだろうが……。
「―――前評判としては、ユリウスさんを推す声が圧倒的に多いわね」
沈黙を押し切って口を開いたのはクロエだった。
前評判はさておき、本家筆頭と分家筆頭の戦いとして、注目の一戦ではある。
ちなみに、マーク対ダイモス戦は、前評判だけで言えば五分の扱いだった。
だからこそ、完勝したマークに対して、会場が大きくざわめいたのだろう。
「まぁ、恐らくその前評判通りの結果になるだろうな。正直、騎士として真っ当に戦うなら、親父ですら勝てるかわからないだろうよ」
「エリスさんも相当な実力に思えたけど……」
「そうよ!あの人の攻撃、全く見えないくらい速かったわ!」
突然の出来事であったとは言え、俺達にはエリスのあの刺突が一切見えなかった。
後衛であるクロエだけでなく、パーティの最前線で戦ってきた俺でさえ。
防御力には自信があるが、あれ程の速さで攻撃されれば、俺も【硬化】の魔法を使う隙がないだろう。
「確かに、エリスの攻撃の速さは相当なものだ。俺たち継承者の中で一番どころか、騎士団の中でも最速かもしれない」
「なら、エリスさんが勝つ可能性もあるんじゃないの?だって、見えないスピードで攻撃されたら、防ぎようがないじゃない!」
不思議そうに首を傾げながら、マークへと尋ねるクロエ。
「……あのなぁ、お前ら。あの時、あいつの攻撃を俺は防いだんだぞ?」
呆れたような表情と共に、マークはそう言った。
確かに、不意打ちとも言えるあの刺突を、マークは止めて見せた。
そう、意識していない攻撃すら、マークは見てから防御しているのである。
「……なるほど、そう言うことか」
「つまりは、アンタが止められるなら、ユリウスさんが止められないわけがないって言いたいわけ?」
「何度も言うが、ユリウスの兄貴は俺達兄弟の中でも、剣の才能がずば抜けてる。一対一の状況で、相手の情報を知っている兄貴が、エリスの攻撃を捌けないとは思わない。それでも、意識した上で全てを防げるかは怪しいところだがな……」
エリスの剣速を評価した上でも、マークはユリウスが上回ると確信しているのだろう。
実際のところ、殆どのラティウムの市民や騎士団員達が、次期当主として選ばれるのはユリウスであると疑っていないのである。
それ程までに信頼されるだけの、圧倒的な強さと実績が彼にはあるのだ。
「―――両者、見合って……!」
審判の声が闘技場に響く。
そして、二人の騎士がそれぞれ構えを取った。
片方は、艶やかな銀の髪が印象的な青年。
ラティウム聖騎士団の白いライトアーマーに身を包んでいる。
腰に携えるのは、同じく騎士団で用いられるオーソドックスな片手剣。
爽やかな笑みを湛えながら、対戦相手を見据えている。
相対するは、燃えるような深紅の髪を風にたなびかせる少女。
以前出会った際と同じように、革製のバトルドレスに身を包んでいた。
先日と違う点と言えば、アーレウス家の紋章が刻まれたチェストプレートを装備しているところだろうか。赤い薔薇と獅子の紋様が印象的だ。
そして、片手に携えるのは、流麗な装飾の施された細剣。
「―――始めッ!!!」
審判の声が上がり、決闘の舞台が幕を開ける。
合図と共に鋭く切り込んだのはエリスの側だった。
あの目視出来ない刺突が、ユリウスに向けて放たれる。
騎士団最速と名高いその剣は、容赦なくユリウスの鎧の合間を狙っていた。
「……ふぅん。踏み込みが甘かったかしら?」
エリスの細剣は、鎧の隙間を潜り抜け、その先の身体まで届いている。
鋭い突きはダメージこそ少ないものの、相手の体力を着実に削る。
そのはずだった。
「いや、君の狙いは正確だったよ。恐ろしい程に繊細で、研ぎ澄まされた刺突だ」
これまでと全く変わらない声色でそう言い放つユリウス。
その表情から感じさせるのは、圧倒的な余裕。だが、傲慢からくるものでは無い。
「―――当たってない、ってわけね。どうりで、手応えがなかったはずだわ」
あくまでも冷静に、再び細剣を構えるエリス。
攻めていた筈のエリスの表情からは、若干の焦りが読み取れた。
「正確に言うと、当たってはいるよ。鎧の中のインナーには、穴が空いているだろうね」
「実質、当たってないようなもんでしょう……がッ……!」
閃、閃、閃……。
文字通り、目にも留まらぬ速さの刺突がユリウスへと襲い掛かる。
一見すると、エリスが踏み込んだ姿勢のまま、剣を構えているだけにしか見えない。
だが、幾度となく繰り返されたであろうその連撃を、金属同士が擦れるような微かな音だけが証明していた。
「―――エリスさん、良い感じじゃないの!?」
なおも続く細剣の猛攻に、思わずクロエも声を上げる。
一見すると、ユリウスさんが身動きも取れない程に押されているようにも見えた。
「……だけど、そうじゃない」
「ああ、兄貴は、あえて最小限の動きだけで攻撃を躱しきっている……」
その証拠は、微かに響いている金属音だ。
エリスの力量があれば、鎧の隙間を縫って、完璧に刺突を繰り出すことなど容易だ。
だが、ユリウスが最小限の動きで、その攻撃を逸らしている。
だからこそ、鎧と細剣が擦れ、その音を響かせているのだ。
「―――ホント、腹が立つわ。その余裕って感じの顔も、実際にアタシの攻撃を躱し続けてることもね」
「いや、そう見えたのならすまない。ここまでは上手く躱せてはいるけど、正直ギリギリだよ」
そう言って、ユリウスは額の汗を拭う。
巧みに躱してはいたものの、ギリギリであるというその言葉に嘘は無いのかもしれない。
だが、エリスの猛攻は、その全てが防がれてしまったのも事実。
ここまでのやり取りの中で、消耗されたのはお互いの体力だけ。
「そろそろ、私の方からも動かせてもらおうか―――」
瞬間、ユリウスの身体が大きくブレた。
まるで瞬間移動と言わんばかりのスピードでエリスへと接近するユリウス。
右手に構えた片手剣による、上段からの袈裟斬りが、彼女へと襲い掛かる。
「……くっ!」
ユリウスの動きに驚愕したのも束の間。
どうにか構えた細剣で斬撃を受けるも、その威力を殺しきることはできない。エリスの身体が、後方へとよろめいた。
「これで、終わらせる―――」
そこから先の展開は、あまりにも一方的なものだった。
まさに、一転攻勢。ユリウスによる、流れるような剣戟がエリスを襲う。
どうにか体勢を戻した彼女も、細剣でその攻撃を受け止めようともがく。
だが、その全てを捌ききることはできない。
ユリウスの剣戟を受け止める度、彼女は不利な状況へ追い詰められていった。
その隙を逃すまいとばかりに、渾身の一閃が放たれる。
「……ぐうッ!?」
間一髪で彼の攻撃を受けたようだが、エリスはそのまま後方へ大きく倒れ込む。
その威力を殺しきれず、衝撃が身体にまで伝わってしまったのだろう。
「―――チェックメイト、かな?」
床に倒れた彼女の喉元には、銀色に光る剣先が突き付けられていた。
こうなってしまえば、どう足掻いても逆転の目は無い。
「……はぁ、降参よ。ったく、最後の攻撃、当たったら死んでるわよ?」
倒れた姿勢のまま、やれやれとばかりに溜息をつくエリス。
そんな彼女に微笑みかけながら、ユリウスが手を伸ばした。
「当たれば、ね。あの状況でも、君なら受けてくれるだろうと思ってたよ」
「はぁ、複雑な気持ちね……。負けた後でなければ、その賞賛も素直に受け止めたんだけど……」
こうして、あまりにも圧倒的に、あまりにもあっさりと第二試合は終了する。
「―――勝者、ユリウス・マルティネス……!」
審判の宣誓と共に、会場は大歓声に包まれた。
その熱気は、第一試合の時とは物が違う。文字通り、耳をつんざかんばかりの大歓声。
試合内容も勿論のこと、これはユリウス自身の人気が一番の要因なのだろう。
(圧倒的、ではあったけど……)
彼の真の実力が見られたのは、恐らく最後の一撃のみ。
本人にそのような意図は無いのかもしれないが、まるで本気を出す必要など無いとでも言うような試合だった。それ程までに、圧倒的。
エリスとて、数少ない女性騎士の中でも、トップクラスの実力者であることに間違いない。
彼女の剣速に比肩する者は、かのラティウム聖騎士をして誰一人としていない。
その剣技は流麗かつ緻密。単純な技量においても、騎士団の中で上澄みと言えるだろう。
だが、そんなエリスをして、ユリウスには手も足も出なかった。
純粋な剣技において彼と渡り合える人物が、ラティウム騎士団の中に、いや、グスタの街の冒険者を含めたとしても、一体何人いるのだろうか。
この一対一の決闘と言う場面において、彼に勝てる者はいないのかもしれない。
思わずそう思ってしまう程に、彼の実力には底知れないものがある。
(とは言え……)
隣で試合を眺めていたマークの瞳から光は失われていなかった。
彼が一体何を考えているのか、俺には知る由もない。
だが、もしかするとマークならば。そう思える何かがあるのも確かである。
なんにしても、俺には、彼を信じて応援するしかないのだ。
◆◆◆
衝撃の一戦から少し時間が経過し、本日最後の試合が迫っていた。
その対戦カードは、ユリウスVSダイモス。
ダイモスの勝利を予想している者など、皆無と言って良い。
先程の試合の結果の影響もあるのだろう。会場のムードは、もはや消化試合とばかりに冷め切っていた。
「―――一応聞いておきたいんだけど、マークはどう思う?」
驚きとは違う意味でざわつく会場の空気をよそに、俺はそう尋ねる。
「……それ、聞く必要あるか?」
俺の言葉に、呆れたような表情で返答するマーク。
クロエに関しては、観客と同様か、それ以上に試合に興味が無いようだ。あくび混じりに荷物を探ると、何やらお菓子のようなものまで取り出している。
「って言うと、マークも前評判通り、ダイモスさんに勝ち目はないと?」
「さっきの試合を見ても勝ち目があると思ってるなら、俺はお前の正気を疑うぜ……」
「いや、そうじゃなくてさ。一応、似たタイプでもあるマークからなら違う意見が聞けるかもしれないと思ってさ」
俺のそんな言葉に、マークは少し考えるような素振りを見せる。
そして、少しの間の後にこう答えた。
「……まず最初に言っておくが、ダイモスの奴が勝つことはない。絶対にだ」
「なるほど、続けて」
「その上で言わせてもらうなら、この戦いは、俺の小細工がどこまで兄貴に通じるかの試金石になると思う」
直接の対決でこそ圧倒したとは言え、そもそもとしてマークとダイモスは同じような戦い方をするタイプだ。
単純な力量差を、様々な策をもって覆す。例えその戦法が卑怯と言われようが、何よりも勝利を優先する。伝統的な騎士道とは、正反対の戦い方。
だからこそ、この戦いにおいてダイモスの作戦が通じるか否かは、マークにとってもかなり重要なポイントになるのである。
「とは言え、生半可な策じゃ通用しないのも、分かりきったことだがな……」
苦々しい表情でそう呟く彼の視線の先には、ダイモスがいる。
日の傾き始めた闘技場は、彼の表情に不気味な影を落とす。
「……両者、見合って―――」
喧騒に包まれていた会場の空気が、審判の声で引き締まる。
闘技場の中心で向かい合うのは、対照的とも言える二人の男。
夕暮れの涼やかな風に、銀色の髪をたなびかせるのは、ユリウス・マルティネス。
誰よりも王道を往く彼は、まさに騎士の中の騎士と言えるだろう。
相対するは、闇夜に溶けるような漆黒のローブを纏う青年、ダイモス・アーレウス。
諜報部である第四部隊に所属し、勝つためには手段を選ばないその姿は、正統派を是とする騎士団の中では、邪道に映るかもしれない。
そんな二人の戦いが、今始まろうとしていた。
「―――始めッ!!!」
開始の合図が上がるも、両者に動きは見られない。
エリスの先制攻撃から始まり、怒涛の勢いで勝敗が決まった先程の試合とも対照的だ。
いや、動かないことすらも、彼の作戦の内なのかもしれない。
あえて動かないことで、相手はどうしても出方を伺わざるを得ない。
ダイモスのように何を仕掛けてくるか分からない相手なら尚更だろう。
不気味な程に静かに、不動を保つダイモス。
警戒はしながらも、あくまでも冷静に相手を待つユリウス。
「……まずは、様子見ッ!」
幾ばくかの間が空いて、先に動いたのはやはりダイモスだった。
懐から何やら取り出した彼は、それを地面に向けて強く叩きつける。
マークとの戦いと同じく、初手は煙玉。
勢いよく破裂音を鳴らす煙玉からは、何も出てこない。
「……最初から、本命はこっちだッ!」
煙玉による視界不良を警戒したユリウス。
そんな彼に一瞬できた隙を突き、間髪入れずに投擲されたのは、目潰し用の砂。
「不意打ち、警戒してはいたが……」
本命を隠したダイモスのそれは、彼にも届き得た。
ただし、ユリウスとてただでそれを受けたわけでは無い。
潰された視界は、片方のみ。
意表を突かれたにも関わらず、最低限ではあるがそれを回避していた。
「ククッ……!潰れた片方だけの視界で、僕の攻撃を受けきれるか……!?」
漆黒の短剣を取り出し、ユリウスへと斬りかかるダイモス。
相手の視界が半減していることを最大限に活かし、常に死角となる方向から。
何度も、何も短剣を振りかぶった。
「―――何故だッ!何故、何故その視界でこうまで動ける……ッ!まさか、お前もブラフを使っていたのか……!?」
彼の攻撃は、確実にユリウスの視界の及ばない場所から打ち込まれていた。
ダイモスとて、精鋭揃いの騎士団の中で鍛錬を積んだ身。
いくら第四部隊という後方部隊に所属しているとは言え、彼の攻撃も相当なものであることに違いは無い。少なくとも、短剣を使ったその連撃は、エリス程ではないにしても、相当なスピードだ。
だが、そんなダイモスの攻撃を、彼は半分の視界の中で受けきった。
「いいや、私の視界の半分は、確かに潰れているとも。なに、簡単な話だ。君が死角から攻撃するのは分かり切っていた。ならば、その攻撃先を予測すれば、防御は容易いというわけだよ」
いとも簡単に、ユリウスはそう言ってみせた。
確かに、種が分かれば、ダイモスの攻撃は分かりやすいものだったかもしれない。
だが、それが事前に分かったとして、果たしてどれだけの人が攻撃を全て受けきれるのだろうか。少なくとも、俺にそんな芸当は無理だ。
「ふ、ふざけ……やがって……ッ!お前ら本家の人間は、いつもそうだ……!俺達分家の人間を、心の底で見下している……!!!」
怒り心頭と言った面持ちで、地団駄を踏むダイモス。
その瞳は、あの戦いと同じように怨嗟を宿している。
未だに回復しない視界の中、そんな彼の様子を見つめるユリウスは、あくまでも冷静だ。
「……お、大いなる水よッ!我が魔力を糧に、この身を覆い隠せ……!【霧の幻影】……!」
怒りに身を任せたダイモスが切った手札は、彼の切り札でもある【霧の幻影】の魔法。
一戦目に見せた際の比では無い程の濃霧。辺りが歪む程の魔力が込められている。
その感情が影響して術式が安定していないのだろうか。霧で作られた幻影が、次々と現れては消える。
「気に入らないんだよ……ッ!お前のそのスカした表情も、余裕ぶった態度も……ッ!」
どこからともなく聞こえる彼の声は、怒りに満ちている。
そして、何十もの幻影が、ユリウスへと向けて駆け出した。
相変わらず、生み出された幻影は、まるでブレるかのように安定していない。
意図的なものなのかは分からないが、ゲームのラグのようなその挙動は、明らかに予測不能なものだ。先程とは違い、流石のユリウスも先読みはできない筈である。
「本家と分家なんていう、古いしがらみさえ無ければ……」
迫り来る幻影をよそに、ユリウスがぽつりと呟く。
一瞬の間をおいて、謎の光が彼の持つ剣を包んだ。
そして、ユリウスの持つ光の剣が振るわれると同時に、魔力の霧が一掃される。
「ダイモスのような者を生み出さないためにも、私は負けられない―――」
そんな決意の言葉と共に剣を収めたユリウスは、静かに闘技場を背に歩き出す。
全ての分身が消え去り、場に残されたのは、倒れ伏したダイモスのみだ。
「し、勝者!ユリウス・マルティネス……!」
唖然とした表情の審判が、我に返って勝敗を告げる。
その声に、はっとしたように観客達も歓声を上げた。
『マーク様も強かったが、やはりユリウス様は圧倒的ではないか……!』
『いくらネロ様やマーク様とて、真っ当に戦えば勝ち目はないだろうな……』
『……いや、ダイモス氏のあの策謀も、ユリウス様に通用しなかったわけでは無い。彼を完璧に上回ったマーク様なら、もしやと言うこともあるのではないか?』
『ううむ、万が一それで勝ったとしても、市民や騎士団のお偉方からは避難の嵐だろうな。マーク様も、難儀な立ち位置である……』
ユリウスの勝利を前に、騎士団の面々も盛り上がっているようだ。
話題の中心は勿論、直近の二戦で相手を圧倒したユリウスのこと。
実際にどうなるかは分からないが、マークとて戦えば苦戦は必至だろう。
(まぁ、それよりも明日の対戦カードだな……)
明日の第一戦目のカードは、ネロVSマークの兄弟対決。
マルティネス家の次兄でもあるネロは、これまでの候補者の誰とも違うタイプだ。
まだ実際の試合を見ていないので正確なことは分からないものの、事前の情報では、騎士団の中でも随一の怪力であると聞いている。
単純な筋力には、シンプル故の強さがある。スピードタイプで防御力も低く、レザーアーマーしか装備していないマークは、一撃でも喰らえば致命的なダメージを負ってしまうだろう。
ある意味で、マークとは一番相性の悪い相手なのかもしれない。
そんなことを考えているうちに、既に辺りは閑散としていた。
最終試合も終わり、観客達も殆どが撤収してしまったようだ。
「そろそろ、俺達も宿に戻ろうか。マークも疲れてるだろうしね……」
俺は勢いよく客席から立ち上がり、隣に座る二人へと声をかけた。
いつの間にか、クロエは眠っていたらしい。
試合前は興味が無いだけかと思っていたが、案外ポーション作りで疲れていたのかもな。そんなことを考えながら、俺はクロエを背中におぶる。
何やら考え事をしていたマークも、これには思わず呆れ顔だ。
そんなこんなで、継承の儀の一日目が終了した。
明日も、マークは一戦目から戦うことになる。
俺にできることは、彼の勝利を心の中で静かに祈るだけだ―――
この章のメインとなるのは、あくまでもマークと兄との決闘なので、この話はダイジェスト的に流すか迷った部分です。
ただ、ユリウスの強さを描写するためにも、少し長めに書かせて頂きました。
最後に書いたように、次話はマークVSネロの戦いから始まりますので、頑張って上手く書ければと思います。
また、ブックマーク、評価等頂けると執筆の励みになりますので、よろしくお願いいたします。
次話についてですが、6/21(金)の昼~6/22(土)の夜までのどこかで投稿させて頂きます。
戦闘描写に少し苦戦している面があるので、6/22の投稿と考えて頂いた方が良いかもしれません。
また詳細な投稿時間が決まり次第、こちらの後書き欄に追記いたします。
※6/22 深夜 追記
家のPCを触る時間が取れなかったため、今から徹夜で書こうと思います。
朝までに書き終われば本日の昼投稿、間に合わなければ仮眠を取って再開し、夜投稿になると思います。




