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社畜・イン・ファンタジー ~異世界ブラック冒険譚~  作者: 揚げたてアジフライ
第一章 剣と魔法とデスマーチ
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第9話 ENDLESS!社畜は殴り続ける!

なんとなく社畜感が出てきましたね。

 クエストの目的地である、カストゥール山脈の麓は、豊かな木々が立ち並ぶ森林地帯だ。

 気候も穏やかで、冒険者の街が近い影響からか、魔物の出没も少ない。


 事前にギルドで得た情報によると、ヒヤル草は日当たりの良い場所に群生する植物らしい。

 俺は、大芋虫ヒュージワームを探しつつ、木々が開けた草原地帯を中心に、ヒヤル草を探すことにした。


 時間限定でしか採取できない霧カスミは明日の早朝に狙うつもりであるが、明日だけで採集が間に合わないようであれば、森でもう1晩過ごすか、最悪の場合、一度街に帰ることも考えている。


(なんて思ってたけど……)


 結果として、ヒヤル草の採集はものの数時間で終わった。

 日当たりの良い場所さえ見つければ、十数本が群生しているため、すぐに規定量が集まるのだ。


 薬草は序盤のうちはかなり重要になるはずであるため、ヒヤル草は余分に採集しておく。

 俺自身、調合など出来はしないが、街の薬屋にでも行けば、恐らくポーションへと加工してくれる筈だ。

 原料をこちらが持つ分、市場でポーションを購入するよりも、安くなるのではないだろうか。


 朝には森に到着していたため、恐らくまだ正午を回ったくらいだろう。

 時間的にはかなりスムーズに進んでいる。


 それに、大芋虫もヒヤル草の採集の際に発見し、出現場所を把握できていた。

 霧カスミの採集は朝でないと行えない為、次に攻略するのは必然的に大芋虫ヒュージワームと言うことになる。


「何回見ても気持ち悪いな……」


 大芋虫は、全長5mはあろうかと言う巨大な芋虫で、体表の鮮やかな緑と、頭部の派手な目玉模様が特徴だ。

 アゲハ蝶の幼虫をそのまま巨大化させたと思えば分かりやすいだろうか。

 だが、別段こいつが成長して蝶や蛾の魔物になる訳ではなく、この幼虫のような状態で成体なのだそうだ。


「はぁ……。本当に気が進まないけど……」


 ぐねぐねと動く巨体を目掛け、片手剣を振るう。

 分厚い表皮に薄っすらと切れ目が入り、中から緑色の体液が染み出してきた。

 気分は最悪だ。


 ただ、加護の影響なのか、全く扱ったことの無い片手剣であってもある程度は扱えている。

 といっても、力任せに振り抜いているだけであるが。


 ぶよぶよとした体は高い防御力を誇っているのか、表面の薄皮が斬れるばかりで、あまりダメージを受けているようには見えない。

 それどころか、かなりの勢いで振り抜かなければ、傷すら追わずにこちらの攻撃を弾いてしまうのだ。


「となると、手段はこれしかない訳で……」


 俺の技術とステータス値では、大芋虫を相手にこの剣を振るっていると、恐らく刃こぼれを起こしてしまう。

 それを防ぐためにも、片手剣の刃ではなく、面の部分で叩く方針に切り替えた。


 目に見えたダメージは全くないが、一応は攻撃である。

 時折面倒くさそうに身をよじっていることから、多少は効果があると思いたい。


 こちらが与えるダメージがどれだけ小さくとも、相手の体力には限りがある。

 となれば、どれだけ時間がかかろうが、いつかは倒せる筈なのだ。

 多少根気が必要になりそうだが、その程度であれあ問題ない。

 なにせ、元より徹夜するつもりでこの冒険を開始しているのだから。




◆◆◆




 そんなこんなで、俺は大芋虫の身体を夜通し叩き続けた。

 大芋虫がその体を大きく持ち上げて倒れたのは、日が昇る頃になってからだったが。

 何にしても、ちょうど良いタイミングで討伐が出来たことに変わりはない。

 大芋虫がドロップした、【ぶよぶよの皮】を鞄に詰め込むと、急いで小川の流れるエリアへ向かう。


 そう、霧カスミの採取の為だ。

 ちょうど日が昇る前の時間帯、この山には朝靄あさもやが出る。

 霧カスミは、この時間にだけ咲く、希少な植物なのだ。


 川辺を少し探してみると、俺は目的の植物をすぐに見つけることができた。

 霧カスミは、白鳥が羽根を広げたような形の特徴的な花である為だ。

 俺は、時間を気にしつつ、1本ずつ丁寧に採取用の瓶へと霧カスミを詰めていく。

 この採取瓶には、特殊な魔法が掛けられているそうで、瓶に入れた際の状態を保ち続ける効果があるそうだ。

 こう言った特殊な保存方法でないと、霧カスミは採取後にすぐ枯れてしまう為、ギルドからこの道具を提供されている。


「とまぁ、こんなもんかな……」


 ヒヤル草の採取、大芋虫の討伐、そして霧カスミの採取。

 大芋虫の討伐が多少面倒ではあったが、どうにか一晩だけで全てのクエストを達成することができた。

 冒険中は魔物との戦闘も懸念していたのだが、そもそも大芋虫以外の魔物と遭遇しなかったのも影響しているだろう。


 そんなことを考えつつ、採取瓶をポーチへと仕舞い、帰還の準備をしていた時だった。

 ふと、自身の身体に、肉体的な疲労が、全くと言っていい程無いことに気づく。

 昨日の朝から野山を駆け回り、一晩中、大芋虫と格闘し続けたにも関わらず、だ。


 これも、【冒険者登録】による加護の影響なのだろうか。

 現実世界むこうにいた頃も、2徹くらいであればドリンク剤やコーヒーで誤魔化しながら働けたが、今なら4日でも5日でも寝ずに働けそうな気がする。

 いや、もう働きたくはないんだけどな……。

 社畜生活の弊害か、どうにも、頭が仕事に毒されているようだ。


 クエストを3つクリアしたところで、ステータスも確認しておこう。

 今回は、前回と比べるても面倒な魔物を討伐したし、多少なりともステータスが上がっていると良いのだが……。

 そんなことを考えながら、俺は【ステイト】を唱え、ステータス画面を呼び出した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

<<<ヨシヒロ・サトウ>>>


冒険者ランク:F  レベル:6

職業:冒険者


筋力:E 85

耐久:D 192

敏捷:F 50

知力:E 76

器用:E 80

運 :F 3


固有ユニークスキル【不眠不休】獲得 ※


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 大芋虫の討伐のおかげか、レベルが一気に5つも上がっている。

 それに、前回と比べると、ステータスもかなり上昇しているようだ。

 それにしても、何で耐久の値だけ頭一つ抜けて高いのやら……。


 そんな調子でステータス画面を眺めていると、前回とは異なった部分があることに気づく。

 ステータス欄の最下部に、固有スキルの獲得の文字が浮かび上がっていた。


 どうやら、スキルとやらを獲得することができたらしい。

 これは早速、効果を確認しなければ―――。


評価してくださった方ありがとうございます。

初投稿なので励みになります。

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