机・下・落とし物
カタァンッ
「………………」
時代の流れは凄いもので、ノートも鉛筆もなく、タブレット端末で勉強をしていく時代。
やがて、いろんなマニュアル、教本などは、デジタル化していく事だろう。いずれ世界中の人々がVR世界の中で過ごしてしまうような事もあるかもしれない。
そんな時代があっても、変わらない物があるとすれば、生態的な本能。特別に備えられる遺伝子は今を活かすための、過去から今に繋がる性、思想、感情。
「……あーっ、なぁ。相場」
「なんだ?」
「お前、シャーペン。机から落としてみろ」
「は?何言ってんだ、舟」
「いいから」
学校の教室で、一体なんなのかと。相場は悪友の舟に言われた通り、シャーペンを机から落としてみる。
「拾ってみろ」
「いや、何がしたいんだ」
普通に、極在り来たりに。机の下に落としたシャーペンを拾う相場。椅子に座って落ちたシャーペンを拾い、元の位置に戻す。
「あー、そうなるよな」
「いや、何がしたいんだよ?」
舟は相場のシャーペンを拝借しながら、冗談交じりに思ったことを言った。
「ミニスカ女子がよ。机の下に落としたペン拾った時、パンチラになるような机のサイズはどーいうもんかとよ」
「くだらねぇこと考えたな」
「休み時間だから良いだろ。やっぱり奥行きがあって、ペンが奥まで転がらねぇと、こー。上手くいかないな。座ったまま拾われるな」
「視聴覚室の机は長い奴だぞ。あれならできんじゃね?次、そこで授業だ」
「よーし、じゃあ試しに女子にやらせてみるか」
◇ ◇
カシャンッ
授業中のこと、舟のシャーペンは上手いこと。女子グループの近くに転がる。
パンチラできるような角度でそのペンを取ってくれるだろうか?
「あー。悪ぃ、御子柴。ペンとってくれ。そっちに転がったんだ」
「あんたが取りに来なさいよ」
まぁ、そうだろうね。なんて事はやってみるまでもなく、分かっていた。
御子柴達に言われてしょうがなく、自分で落としたシャーペンを取りに行く。
だが、これで思った事もある。
「どうした?作戦失敗したぞ、舟」
「太もももいいなぁって事。ローアングルのな」
「そうか……前向きだな」
何かに挑戦すると、思いもよらないものが見えてきたりするものである。
あるいは、そう見えるとか……。