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第九十三話と第九十四話
【第九十三話】
食べ盛りの二人の子供を抱え家計が苦しかったせいか、私が子供のとき我が家は挽肉料理が多かった。
母は餃子を作るのが下手だった。
餡が多すぎて皮は破れがちで、パリッと焼けずなんだか湿った焼き餃子だった。
今、私自身が子供達のために餃子を作る。子供達の幸せを祈りながら餡を包む。
【第九十四話】
久しぶりだな、意外に元気そうじゃないか
そんな友人の軽い挨拶に対して俺は怒りを覚えた
事情を知っているはずなのに元気そうはないだろう
グラスを置いて睨むと友人はポツリと言った
死んじまった者は生き返らないよ
黙って席を立とうとしたとき俺は気がついた
友人は静かに涙を流していた
第九十四話は、Twitter 上で、千鳥 涼介@ちとりり先生@penko007bbbさんに朗読していただきました!是非おきくださいね。