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第二十一話と第二十二話
【第二十一話】
「同じ青空を見ていても、俺たちが同じ色を感じているとは限らないよな」
「また始まった。あなたは理屈っぽすぎるわ」
「同じ音楽を聴いていても、同じ音を感じているとも限らない」
「バカみたい」
「そうかな?」
「こっち向いて」
「えっ?」
「ほら、キスの感触は一緒でしょ」
【第二十二話】
「なにを飲まれますか」
「俺はギムレット」
「じゃあ僕はニューヨークを」
「おまえはいつもニューヨークだな」
「ああ」
「美味しいか」
「いやそうでもない」
「じゃあなんでいつも頼むんだ」
「人生の苦さと甘さを両方感じるためさ」
「上手いこと言ったつもりか」
「事実だろう?」