003罵倒激昂大喝采
その俺の言葉に場は静まり変える。
次に誰かが口を開いた。
「ふざけんな俺のチップを何でお前が勝手にかけてんだよ!」
「そうよそうよ! この試験を受けるために私と家族がどれだけ苦労したと思ってるの!」
「ふざけてると殺すぞこらぁ!!!!」
激昂罵倒批判ありとあらゆる負の感情を孕んだ声が俺に竜巻のように集中する。
だがこれは禁止だと言われてはいない。
よって可能性はゼロではない。
断られたら断られたとしても織り込み済みだ。
「皆さんお気持ちは分かりますが静粛に、前例ない事でありますが、よろしい許可しましょう」
「ふざけんな!」
「ふざけないで!」
「横暴だ!」
再び巻き起こる負の感情の竜巻。
「皆さんこれはあなた方が私立帝王学園に入れる最初で最後のチャンスです。この中にこのギャンブルの攻略法を持っている方が一人でもいらしゃるのでしょうか?」
呆れかったとうな問いかけに再び静まりかえる。
「当然彼は持っているのは確定です。それでもお一人で私共より3枚にチップを獲得できる自信のあるかたは名乗り出でください。その方のみ除外しましょう。私はそれを強くお勧めします。この程度のギャンブルで勝てないようでは学園で生き残るのは難しいですから」
すると次に声が飛んだ。
「こうなったらやけくそだ! ぜってい勝てよ!」
「負けたら許さないんだから!」
「負けたらぶっ飛ばしてやる!」
そろいもそろってこいつらそろいもそろってノープランなのかよ……。
勝手にチップをかけて悪いと思った俺が馬鹿だったぜ。
「では、私がお相手しましょう」
相手は先ほどスポットライトを浴びた仮面の男だ。
こいつらの面の目には涙なような模様がかかれていてこいつは右目に1つ。
カードを配る女性ディーラーは4つだ。
もしかしたら階級を表しているのかもしえない。
俺は迷いなく真ん中の卓の前に座った。
「では始めましょうか」
先ほどと同じくディーラーは新しい梱包されたトランプの封を開け、華麗な技でシャップルしていく。
ここまでは全く問題ない。
女性ディーラーは俺と対戦相手の仮面のディーラーにカードを配った。
しかし、俺はカードを確認しない。
「どうなされました? 確認されないのですか」
「俺はこのままベットだ」
「ほほう対した自信ですな。それであなたに無理やりチップをかけられた皆様が納得するとでも?」
「別に勝てばいいだけだ」
ざわつくギャラリー当然だ。
それ以前見る必要はない。
「では2枚チェ――」
今だ!
俺は対戦相手の仮面のディーラーがカードを置く僅か前に立ち上がり手を伸ばした。
「何お……」
俺はカードを配ろうとしたディーラーの腕をつかんだ。
その手からジョーカー2枚が零れる慌てるのを無視して服の袖を下げた。
「見ての通りいかさまだ。腕につけたカードの詰まった仕掛けが証拠だ」
「いやはやばれてしまいましたか。貴方の勝ちです。この場に皆さん全て合格です! ようこそ私立帝王学園へ」
「どうせイカサマしてもここは学園の外だから、罰則は無効とでもいうんだろ?」
「その通りでございます。よくいかさまがお分かりになりましたね」
「まぁたまたまさ」
当然嘘だ。
スーツの胸ポケットを改造してスマホで撮影できるようにしておいたのだ。
それをスロー再生して気づいたのだ。
カードを配る3人全ての腕に同じような仕掛けがあった。
「今回は不作と思われましたが違いましたね。オメデトウございます。この場にいる全ての参加者45名×3を引いた余剰分チップ135枚1億3千5百万獲得です! しかしこの程度の不正は入門程度。これから皆様が足を踏み入れる学園にはこれ以上の不正は山のように溢れております。貴方様に幸あたんことをおいのりします」
周りにギャラリーが歓喜の声を上げた。
よっぽど入りたかったんだな。
この狂気の学園に。
男たちは俺を胴上げ。
女の子たちは抱き付いて歓喜の気持ちを表す。
興奮が収まると俺たちは個別に移動させられた。
もう仮面は取っていいらしい。
この場にいるのは俺一人。
係員の説明によるとこの学園の入学金はなしで、制服も夏冬の制服はそれぞれ2着までなら無料で支給されるが、学園内はありとあらゆる場所で金銭がかかるそうだ。
俺に制服と一緒に支給されたのは生徒手帳型のキャッシャカードこれに全ての現金が入っているそうだ。
暗証番号は不要で先ほど登録した指紋網膜顔認証で引き出せるそうだ。
落としたり盗まれたりすると即時警戒音が鳴り響く。
よってこの生徒手帳型のキャッシャカードを盗む不届き者はほとんどいないらしい。
治安維持のために学園ない規則も罰則もあり完全無法地帯ではないそうだ。
そして俺は車に乗せられ目隠しをされた。
かのん待ってろよ俺が正気に戻してやるからな。