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作戦会議

「分かった。今、エリとしていた秘密の話の内容を、二人にも教える。但し、これはマジなやつだ。

リアナは、俺の言っている事が本当かどうか、しっかり俺の声の波長まで聞いていてくれよ」

 さっきまで、抜け駆けだの言っていた二人が、少し大人しくなった。

「分かりましたわ、純平様」

「わかったす。旦那様。ちゃんと聞くっす」

 うん。二人はまじめに聞いてくれそうだ。 


「リアナ、マール。良くない話だ。二人はこの戦いに参加したら、消されてしまう」

 

 少しの沈黙。

「マール。旦那様、本気で言ってるっす。心配してるってのも感じるっすけど。嘘とかは、全く言ってる感じがしないっす」

 マールの真っ白な肌が、みるみる青くなっていく。


「純平様。お、王族たる私が、決闘から逃げるなどと…… そ、そんなに危ないのですか?

エリさんがいらっしゃるから、きっと大丈夫なものかと……」

 あ、ついに本音出しやがった。

「でも、ウチは頑張るっすよ! 突撃あるのみっす!」

 あ、こっちは駄目だ。何となくではあるが、現世でのリアナの死因が分かった気がする。


 取り敢えずは、話を聞いてくれそうなマールからだ。

「エリは、相手の魔力や力が何となく分かるらしいんだ。リアナとマールは決闘開始直後に即、消される可能性があるらしい。

しかも相手がかなり強いので、俺たちをフォローしながら戦うのは無理なんだと」

 震えている。これで、諦めてくれるだろう。

「あ、あのですね純平様。残念ながらもう、辞退する事は出来ないのです。協定違反となりますから、敗戦扱いになります。後、代役を立てるなどもできません。

困りましたわ、エリさんがいるので、ついつい強気になってしましましたわ」

 数が減るだけならいけると思ったが、駄目だったとは。もっと詳しく聞いていればよかった。

 それから、改めてこいつが王様に向いてない事だけは分かった。

「ウチは獣人族の妻っす。旦那様と一緒に闘って、消えてしまうなら本望っす」

 だめだ、こいつの現世での死亡理由はほぼ確定だ。


さて、本当にどうしたらいいのだろうか……

「なあマール。例えばだが決闘の時、二人はかなり離れたところに待機して、参加してるふりだけするってのは駄目か?」

「それはできません。決闘する者達が、決まった距離で、並んでから開戦するのです」

 遠くに二人を置いて、エリが全力の一撃で片づける。最初からクライマックス、という訳にはいかないらしい。

 どうしようか。いっその事、開幕ダッシュで二人だけ走って逃げるとかはどうだろうか。

無理だと思うが、試すだけならタダなのだ。

「マール、リアナ。俺が今からスタートと言ったら、全速力でエリから逃げてみてくれ。エリは二人を追いかけてタッチだ」

 マールとリアナは、意味は分かっていなさそうだが、素直に了解してくれた。

「私エルフの民ですので、こう見えても素早いのですよ」

「わかったす」

 エリは意味が分かっているらしい。

「まあ、その作戦無理だと思うけど。試せるものは試しておかないとね」

「二人と違って、理解が早くてホント助かるよ。じゃあ、スタート」

 

 マールとリアナは一気に、飛び出せなかった。

既に進行方向に翼を広げたエリが立って、二人の頭を押さえている。

「え?え!!えー!」

「エリ、パないっす。マジ、リスペクトっす」

「因みに、これも本気ではないわ」

 多分手を抜いたのは、作戦の意味を理解しているからだ。

「これって、エリが予測した、対戦相手の最高スピードって思っていいのか?」

「そうよ、多分だけどディルって男の子が、一番早いと思う。あくまで予測だから、少し早めにはしておいたわ」

 ありがとうエリ、本当に助かる。

「まあ、純平の考えている事が一番わかるのは、私って事ね!」

 神楽坂さんは、大そうなドヤ顔だ。


「これは、困りましたわ。私、今のスピードで迫られたら、防ぐこともできませんわ」

「ウチも無理っす。でも、ウチは旦那様の盾に成る事くらいは出来るっす」

「リアナ、気持ちは嬉しいが、俺には盾はいらん。知ってるだろ?」

「おお。そうっした。でも、そしたらウチ役に立てないっす」

 リアナが泣きそうな顔をしている。戦場で役に立てそうに無い事が、悔しくてたまらないと言う感じだ。

まあ、女の子が盾になろうという考えを、してほしくはないのだが。

「そうだエリ、ミサイルとか銃とかじゃない武器って出せないのか?」

「出せるとは思うけど。想像つかないものは無理だわ」

「逆に言えば、想像がつけばいいって事か」

 ふっふっふっ。思いついた。


「純平。何か嫌な事考えてない?」

「そんなことは無い。最高の考えだ。そもそも、ミサイルとか爆発物とか、そういうもので攻撃するのを前提にしてるから、マールとリアナを巻き込まない方法を、考えないといけなかったんだ。

ちょっと、ペンと紙を出してくれないか?」

 神楽坂さんは、とても嫌そうな顔をしていらっしゃる。

「私は、便利グッズじゃないんだからね」

 そう言いながらも、紙とペンを出してくれた。全く便利である。ご家庭に、一台欲しいくらいだ。


 俺は引きこもりの間、あらゆるものに手を出していた、その中の一つが漫画やイラストの投稿だ。

残念ながらランキング外だったが、少しは評価を付けてくれる人も、ブクマを付けてくれる人もいた。

 自分で言うのも何だが、凄く上手くは無いが、そこそこ綺麗なイラストは描けるつもりだ。


「できた! 会心の出来だな」

「純平。久しぶりにあんたの事、ちょっと気持ち悪いと思っちゃったわ」

「いやいや、俺は一生懸命、皆が消えないでいい方法を考えたんだぞ! それに、カワイく描けてるだろう?」

「これをカワイイと言って、喜んでるところが気持ちが悪いのよ」

 ごみを見るよう目で、俺を見る神楽坂さん。ホント、JKはこのての趣味に理解が無い。

「これは、純平様の理想でございますの? 私で良ければ今度着て差し上げますよ。ベッドの上で」

「ウチも、ウチも着るっす。そして交尾するっす」

 いかん。話がずれてきている上に、神楽坂さんの怒りゲージだけが溜まっていっている。

「違う違う。こういう武器で戦えば、エリが全力で魔法を使っても、周りの被害が最小限になるはずなんだ」

 俺が書いたのは、ロリっ子魔法少女が、ハートマークがついたステッキで、ビームを出しているイラストだ。妖精さんもついているが、これはおまけだ。

 指向性ビームの様な攻撃なら、周りへの被害が少なくて済む……多分。

この一撃で終了してくれればよし。駄目でも、その間に二人が逃げる時間位はあるだろう。


「エリ頼むよ、俺と契約して、魔法少女になってくれよ」

「なんか、そのセリフも気持ち悪いわ。まあ、二人をなるべく傷つけたくないってのは、理解してあげる」

 おお、ついに本物の魔法少女(?)が見られる時が来たようだ。

「純平。また失礼な事考えたでしょ?」

「神楽坂様は美少女であります!」

「宜しい」

 うん。このくだりは何回目だ?


「取り敢えず。出来るかどうか実験しないとな。

マール、この前の側近の人達と、安全に実験できるところに移動を頼む」

「分かりましたわ。純平様」

 直ぐに移動し始めたマールの手を取る。

「まあ、純平様。今日は積極的ですわね。私と二人きりに成りたいのですね」

「違う! マール、次は絶対に大丈夫な場所だからな。昨日みたいなのは無しだからな」

「チッ。分かっておりますわ」

 うん?また舌打ちが聞こえた気がする。

マールは足早に、屋敷に戻っていった。




 



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