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花婿争奪戦は大混乱!?

 壁の再生も終了し、次はエリの番だ

「それでは、神楽坂選手お願いします!」

 司会の言葉が聞こえた瞬間。魔法少女の羽が、全開に開いた。

あいつ、全力でやるつもりだ!

 エリの周りに次々と光が集まりだし、物体を具現化している。

おお!閻魔様装備の、補正の力は本当に凄い。

 ネット見たことがあるような、ミサイルがそこに出現した。

その数、そのおよそ100……以上?  神楽坂、お前は何をしようとしているんだ。

しかも昨日、俺が数回、神楽坂に殺された時を考えると、威力は本物以上になっているはずだ。

 だ、大丈夫なのか?


「なあ、マール、一応確認なのだが、あの壁の更に向こうには、一体何があるんだ?」

「かなり遠くになりますが、帝国がございますわ。

今回は折角の期会なので、私に怖い思いをさせてくださった、帝国への示威行為も兼ねておりますのよ」

 くそ、不味いぞ。


「エリ!!?ストップだ、まて」

「え!もう無理、止まらないわよ」 

「側近の人たち! 急いで、急いでここに壁を造ってください。物凄い爆風が来ますよ!」


 その時、ミサイルが一斉に発射された。

まだ壁は出来ていない。マールの側近が慌てて、呪文を唱えている。

 ミサイルからすれば4kmなんて数秒だ、しかも神楽坂様仕様なので、初速から最高速度

100を超える大型ミサイルが、鉄の塊に殺到する。

 数発が鉄の塊にめり込んでいくところが、見えたところで、側近たちの魔法が完成した。


 壁が、住民たちが座っている敷物の周りを囲っていく。

エリは壁の外だが、あいつは大丈夫だろう。


 十分な詠唱時間がなかったせいか、壁は遠くの的程、丈夫そうではなかった。

壁が出来たのとほぼ同時に、凄まじい地震のような揺れが襲ってくる。

 揺れと爆風のせいだろうか、壁がミシミシいっている。

ヤバい! どんどんヒビが入っている。頼む持ってくれ!

 着弾から、ほんの数秒で揺れと爆風は収まった。

壁は、側近たちが解呪する直前に崩れ落ちた。ギリギリだった。


 的は無くなっている、というより、的があった場所は、この距離からでもはっきりと分かるほど。巨大なクレーター状に、地形が変わっていた。恐らくだが、熱で砂がガラス化しているようだ。

 どれだけ、威力が上乗せされたのか知らないが、とんでもない熱量を放出したのだろう。


 エリの奴は案の定平気そうだ。こっちを見て、テヘペロしている。

「おいエリ! テヘペロじゃねえよ!」

「ちょっと、やり過ぎちゃった」

「ちょっとじゃねえよ!」


「エリさん凄いっす、ハンパないっす!」

リアナはエリの力に、素直に感激している。


「な、なあマール。まだやるつもりか?」

 真っ青な顔をしているマールに、一応確認を取る。

「じゅ、純平様。当り前ではございませんか。わ、私が正妻になるのですよ」

 うん。これはもうだめそうだ。


 ボクシングなら、既にタオルが投げ込まれている。


 それでも、自分の側近たちに壁をもう一度作るよう、指示している。

側近たちは顔を見合わせているが、王女の命令なので、仕方なしに作業しているような感じだった。


「純平♪」

 神楽坂さんが、満足そうな表情でこちらに近づいてくる。

俺はいま、頭を抱えたいんだけどな!

「何よ純平。そんなに私が嫌な訳?」

 神楽坂さんは、大分勘違いされているらしい。

「エリが、俺の考えている事を本気で読み間違えたの、初めてかもな」

「え? なに?」

 俺の、大して当たりもしない勘が告げている。

「もう少ししたら、わかる。もう少しがどの位かは、俺も分からんが」

「何よ純平。意地悪しないで教えなさいよ! 何よ、そのもう諦めた感情は!」

「さすがエリだ、今のは当たってる」


 そして、そのもう少しは、すぐに訪れた。


「純平! 何か近づいてくる!」

「ああ、お出でなすったな。思ったより早かった」

「ごめん。無理したの謝るから、ちゃんと教えてよ!」

 うん。本当に反省しているみたいだ。

「多分、近づいているのは帝国の使者だよ。あの的のずっと先に、帝国があるんだとさ」


 目の前の、空間が歪む。そして、二人の人間。人族と呼んだほうがいいのか? が、出てきた。

 一人は青い目に青い髪の少女。ローブとロッドを持っている。

魔法使いだろう。多分、転移魔法を使ったのはこの子だ。

 もう一人は、赤い髪のフルプレートを纏い、大剣を帯びた女性。

多分、騎士だ。それもかなり地位が高そうだ。


「今、帝国に攻撃を仕掛けたのは貴方たち? 良い根性してるわね? エルフの里の住人かしら?」

 魔法使いとみられる女の子は、かなり威圧的に話してくる。

「貴公らの行い、宣戦布告と受け取ってよいか?」

 赤髪の騎士は、恐ろしく重大なことを、とても簡潔に聞いてくる。


「ねえ純平。誰が帝国を攻撃したの? 宣戦布告とか言っているし、物騒ね?」

 うん?神楽坂さんは、人の話聞かない系なのかな?

「全部、エリの話してんだよ!」

 エリが、抗議の声を上げそうになったので、急いで口をふさぐ。

神楽坂さん、しばらく黙っていてください。


「貴方方は、帝国の使者の方ですか? 私はエルフの里の王女、マールです」

 おお、こういう時は雰囲気あるよな。さすがは王女様。


 赤髪の騎士が前に出る。

「そうだ。急なことだったので、正規の使節団ではないが、皇帝より勅命を受けて参った。帝国騎士団長のキリアだ。それと帝国主席魔導士のミリス。

先ほど、貴国からと思われる攻撃を受けたため、真意を確かめにきた」


「数刻前、私は貴国の戦士たちから、攫われそうになりました。

危ないところを、旅の方から助けていただきましたが、貴国の行為こそ、我がエルフの里への宣戦布告と見做されても仕方ないと思われますが? 報復措置があっても、当然ではないのかしら」

 おいおい、さっきまで、花婿争奪戦とか適当なこと言ってたじゃないか。

この王女さん、負けず嫌いすぎるだろ。


「なるほど。では、帝国は貴国より、宣戦布告を受けたと解釈してよいのだな?」


「構いませんわ、ここにエルフの里、王位継承権第二位 マール・フォン・メイラスワイズが、王不在中の為、代わって宣戦布告いたします」

 おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!

 相変わらず、ノリのいい住民たちである。戦争になるんだよこれ?


「良い度胸ね。エルフの里なんて、本当は今から私一人で、捻り潰してあげれるんだけど。

今日は皇帝に報告しなくちゃいけないから、いったん引き揚げてあげる」

「では、明日にでも、正式な通知を貴国に届けさせていただく」

 そういって二人はまた、空間のゆがみとともに消えた。


「え? なに? 私のせいなの?」

 神楽坂さんは、変わらず自覚がない様だ。


 あ…ありのまま 。今、起こった事を話すぜ。

俺を旦那だという少女と、その友達がいるエルフの里に、一泊するだけの予定が、気づいたら、王女の婿にされそうになった上に、帝国と里の戦争の始まりになっていた。

 何を言っているか分からないと思うが、俺も分からない。

頭がおかしくなりそうだ。

 花婿争奪戦とか、魔法大会とか、アホな事を言ってる場合じゃ断じてない。

何か恐ろしいものの片鱗を見た気がするぜ。

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