ドキドキお泊まり会2
こんなんで寝れる訳ねーだろー!!!!!
リアナが一番乗りでベットに飛び乗り、バンバンとベットの真ん中を叩く。
「今のところ、エリとは勝負がついてないから、旦那様は半分こっす。だから真ん中で寝るっす」
「そ、そうね。そうなるわね」
ちょっと待て。俺は端っこで寝る気満々だったんだ。
自慢じゃないが俺は寝相が良い。
寝るまでに、しっくりするポジションを探すため、身体を色々動かすが、決まってしまえば朝までその位置からほぼ動かない。
だから、ベットの端きわきわに寝るつもりだった。
「ちょっと待て、二人とも。一応俺も男なんだ。それを考慮に入れて欲しい」
「だめっす」
「ダメよ」
何で、こんな時は息ピッタリなんですかねお二人さん。
もう、何を言ってもダメそうなのでベットの真ん中に潜り込む。
まあでも、このベットはかなり広い。大丈夫……じゃなかった。
左側のリアナは、俺が入ってくるなり、俺を抱き枕にする。
もう、色んなとことがピッタリ当たってる。
「どうっすか? 旦那様。ウチと番いに成りたくなってきたっすか?」
いや、正直なりたいです。当り前です。僕男の子ですよ?
「な! ズルいわよリアナ」
今度は右側にエリが入ってくる。
さすがに、リアナのように俺を抱き枕にはしてこないが、右手をギュッと握られている。
俺の心拍数はどんどん上がっている。あの世でも心臓は動いてるんだと実感する。
だったらこのままいけば、俺は不整脈で死んでしまう可能性すらある。
童貞には刺激が強すぎる。てか、童貞じゃなくてもこれは色々不味いだろ?
「じゃあ、旦那様お休みっす。でも、交尾したくなったらいつでも起こすっすよ?」
もう、俺の下半身は完全に爆発寸前だ。
「お、おう。お休みリアナ。グッスリ眠ってくれ」
敢てグッスリを強調する。夜中にちょっかいかけれたら、本当に洒落にならない。
「純平。おやすみなさい」
こっちはこっちで、良い顔で微笑んできやがる。
何だよ、キスしたくなっちまうじゃねえか。
二人はそう言って目を瞑った。
こんなんで寝れる訳ねーだろー!!!!!
すでにリアナは、スースーと寝息を立てている。寝付くの早!
そもそも、これは俺が眠れるポジション取りではない。
仰向けで、真っ直ぐにカッチカチの状態で眠れるほど器用ではない。
まずい。これは朝まで眠れる気がしない。取り敢えず二人が眠ったら、ソファーに移動しなければ。
「ダメよ」
また神楽坂さんの、ダメよが入りました。
「今日は特に。お願いこのままでいて」
ああ、やっぱり怖かったんだな。
改めて、巻き込んでしまった事を、後悔してしまう。
「それもあるけど。今日は一緒が良い……」
だから、神楽坂さん? そういうのは男の子に軽々しく言ってはいけませんよ。
ううん?これも聞かれたりするのか?
「なあ、エリ。聞きたいことがあるんだけど」
「うん」
「俺の声って、エリには丸聞こえだったりするのか?」
今後の為にも知っておきたいです。
「声は聞こえないわよ、感情が伝わってくる感じかな?
心配してるとか、怒ってるとか……エッチな事考えてるとか」
そこで、俺の顔をちらりと見ないでください。
「後は、私は元々、表情で何となく考えてる事分かるから、特に純平は顔に出やすい。だから、すっごく分かりやすいわ。
だから、さっきは純平が、私の事本気で心配してくれる気落ちとか、私をここに連れてきてしまった事を、凄く後悔してる気持ちとか。色んな感情が流れ込んできたの。
正直、感情が流れ込んでくるのって反則だわ、心が揺さぶられちゃんだもの」
そう言って、エリは俺の手を強く握る
「だから、純平の今の気持ちも伝わってくるから、私も眠れないかも。それに、私も緊張してるし」
あら? でも、神楽坂さんは経験豊富でいらっしゃるのでは?
「純平? 今、失礼な事考えたでしょ?」
俺ってそんなに顔に出やすいの?
今までピンポイントで当てられてきたから、心の声を完全に読まれてるかもと思っていたが、どうも俺は分かりやすいだけだったようだ。
「あ、いや、ほら。俺は恥ずかしながら、お前が言うように童貞だし……」
「私も、経験なんてないわよ」
「え? えええ? えーーー!?」
「驚き過ぎよ失礼ね! 私そんなに軽い女じゃないわよ」
拗ねた顔もかわいいな…… じゃなくて!
「だって、こっちに来たとき俺の事、散々バカにしてたじゃないか?」
「そりゃそうよ。いきなり死んじゃったのよ、当たり散らしたくもなるわよ。
正直、悔しくて仕方なかったわ。人生最高って時に、変な妄想男とあの世行きになったわけだから」
「ごめん」
「もういいの。あなたのごめんって気持ち、ずーっと伝わってたわよ。今もね」
うお!やばい泣きそうになってきた。
気持ちが伝わってたことが嬉しいような、でもやっぱり申し訳ない。
今、そう言っくれても、俺の後悔の気持ちは変わらない。
「やっぱり純平は優しい」
エリの手、あったかいな。
頭だけエリの方に向ける。思った以上にエリの顔が近くにあった。
見つめられてる。まずいドキドキが止まらない。
「純平。ダメ。気持ちが伝わるって言ってるでしょ」
神楽坂さん、そのセリフで更にドキドキしてしまいますよ!
こっちを見つめていたエリが目を閉じる。
そ、そうだよな。そろそろ寝ないとな
「純平。分かってるでしょ。恥、かかせないでよね」
本気なんですね神楽坂さん。それに、俺ももう……
エリ、近くで見るとやっぱりキレイだ。綺麗な鼻筋も、整った輪郭も、暗くても分かる位、白いきれいな肌。
「エリ…」
「純平…」
「そこまでっす!!!!!!」
俺を抱き枕にしていたはずのリアナが、俺とエリの間に割り込んで威嚇のポーズを取っている。
何んか、シャアシャア言っているが、お前はうさぎではなかったのか?
「そんな、甘ったるい波長の声を出しておいて、ウチの耳を誤魔化せると思ったんすか? 今、何しようとしてたんっすか?」
「り、リアナ。俺たちはお話をしていただけだ。何にもしてないぞ。ホントだぞ」
「旦那様、ウチの耳を舐めないでほしいっす。旦那様の嘘を見抜けないほど、妻であるウチは甘くないっす」
リアナの中では、すでに結婚している事になっているのか?
「そ、そうよリアナ。私達お話ししてただけよ。リアナだって、私が純平を好きなの知ってるでしょ?
リアナの耳に引っかかったのは、きっとそのせいよ。私達、正々堂々戦うって約束したもんね?」
エリはあわあわしながら、リアナに説明している。
ついさっき、握手を交わしてまで約束してたんだ、相当気まずいのだろう。
「まあ、今回は未遂みたいだったから許すっす。ウチは心の広い妻っすから。でも、次は抜駆けは許さないっすよ」
そういうと、また俺を抱き枕にするリアナ。
さっきより、さらにきつく抱き着いてくるので、もういろんな部分の感触が……
これは凄い。モフモフに、ムニムニ。ここは天国ですか?
リアナの巨乳様が俺の腕にぐいぐい押し付けられている。
俺の腕はリアナの胸で挟まれてしまっている。
圧倒的物量による暴力、これが飽和攻撃というやつなのか。
エリにはこれは真似できないだろう。
それに、ちょっと禁断の部分が!
「良いんっすよ旦那様。ウチは妻っすから、このまま良いんすよ。さっき何しようとしてたんっすか?」
ホントっすか? いいんっすか?
「純平ー!」
俺名前を叫ぶエリの声が聞こえた。
そして、次の瞬間朝になっていた。
うん。これは俺が悪い……
エリの気持ちを感じた直後だったので、自分の自制心の無さを思い出して、朝から自己嫌悪に陥ってしまった。
その後、起きてきたエリに、平謝りして何とか許してもらった。
「純平がエッチなの知ってるけど。私がそれ分かっちゃうの、ちゃんと覚えときなさいよ」
「ごめん。気を付けます」
「まあその分、純平の他の気持ちも分かっちゃうから、良い時もあるんだけどね」
そういって、照れたように笑うエリ。最高に可愛いぜ!
「また、甘ったるい波動が出てるっす! ウチは? 旦那様、ウチにも何かないんっすか?」
リアナが俺に飛掛ってくる。
「お、おう。リアナはカワイイカワイイ」
頭をナデナデしてみる。
「違うっす。ウチが欲しいのは、そういうのじゃないっす!」
リアナは俺にしがみついたまま、背中の上で暴れている。
今度はリアナのフォローが大変そうだ。
自分のヘタレっぷりが嫌になってくる。
だって仕方ないだろ。昨日まで引きこもりで、現在進行形の童貞なんだからな!