表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/20

第七話「丸秘従者特訓~初心者編~」

これで、きみも、パーフェクトボリーッ。

俺が従者見習いになって1年が経ち、あと数か月で小学校が始まる。


この一年間はとても濃厚で、ハードで…つらかったぁ……


まず、朝5時には起きて親父と共にランニング。

慣れてきたら、近くの山にまで出向き山登り。


走り終えた後は、筋トレをして朝食をとる。

この際朝食の準備は、従者教育の一環として俺がやることになっていた。


7時にはお嬢が来て、魔術の特訓。

ここ一年は四大魔術のマスターと、遠距離魔術の会得が主な内容だ。


自身周辺での四大魔術の発現はすぐにできたが、自身から離れた場所に発現させるのはうまくいかなかった。


あまりにもできなかったのでお嬢にアドバイスをもらったところ、


「なら順にやっていくしかないわね」


「まずは体内の魔素を常に動かしなさい。魔素を意識し続けるのよ!」


俺はお嬢の言う通りに早く動かす、逆流させることを3か月毎日続けていた。


「慣れてきたら手のひらに集めなさい。最初にやった火の魔術のように、物質を操るつもりでやるのよ」

「でも、本当に物質を操ってはダメ。魔素のみを手のひらに集めるの」


とはいっても、やはり魔素のみとなると途端にイメージしにくくなる。

それをお嬢に伝えると、優しく微笑みかけながら励ましてくれた。


「大丈夫よ。充一郎は魔素を逆流させて動かしてきたけど、血液は逆流させなかったでしょ?」


それを聞いて俺は気づかされた。

魔素は体の一部であるが生命活動に支障をきたすことはない。

それは、脳で無意識に理解しているからだ。


お嬢の言葉を聞いてから2か月ほどで、自身の半径5Mの魔素を操ることができた。


そして残りの半年で、遠距離の物質を操っては発現させる特訓を繰り返し、会得することができたのだ。



話を戻し魔法の特訓は昼まで続き、その後お嬢をもてなす昼食となる。


この時の準備も俺がやる。もちろん食後のティータイムも。


緑茶や紅茶、コーヒーと様々な飲み物を習った。

しかし! 前世で入れ方を学んでいた俺は(エセ英国人艦娘やうさぎ達の影響で)少し覚えるだけでうまくなった…と思う。


お嬢が飲むたびにニマニマ笑うし平気だろう。


午後からはお父さんによる武術の特訓だ。


ここで、お父さんが子供を一人連れてきた。


まさか隠し子ッ!? …なんてこともなく。


「充一郎、この子はお嬢様の従兄の藤宮優吾(ふじみやゆうご)君だよ。」


「従兄ですか。初めまして、僕はお嬢様の従者見習いで、名前は大樹充一郎と言います。よろしくお願いしますね。」


「おう!俺は藤宮優吾だ!よろしくな!」


第一印象は爽やかな男だな。

短髪黒髪で二カッと笑う表情はとても好印象だ。

赤い鉢巻きとか似合うと思う。


「苗字が違いますけど、母方が藤原のものなんですか?」


「なんか固いやつだな。藤原だったのは俺の父ちゃんだぜ。弟だから分家になって苗字も変わったんだよ」


なるほど…分家は名を変えるって…俺の就職先超大手じゃん,,,


「そうだったのですか。あと、このしゃべり方は癖みたいなものなので、気にしないでください。」


「さぁ、自己紹介は終わったね。じゃあ武術を学んでいこうか」


お父さんが教えてくれる武術は、接近格闘が軸になっている。

そこからナイフなどの小回りが利く武器を使った近接格闘、ナイフを投げる投擲などなど。


「常に武器があるとは限らないから、様々な武器を使って行くこと」


「けど、その中で得意なものはちゃんと見つけるんだよ」


基礎が終われば、自分が得意だと思った武器でスパーリングを始める。


「得意な武器だとしても落としたり、奪われることもある。」


降り下ろした俺の木刀を、お父さんは容赦なくたたき折る。


「そんなとき用の近接格闘も忘れてはいけないよ」


…わかっていますよお父さん…何度も武器を壊されるし、もう最初から素手でいいんじゃないかな…


「こら!充一郎。戦いの覇気じゃないよ!」


「鬼に金棒って思われるくらいにはならないと!」


いつもは温厚なのに、スパークリングになると性格変わるな~。


「はい、よそ見」


木の短刀で頭をたたかれる。


「いってぇえええ…」


くそぉ…いつまでたっても一撃を入れられん…


「集中してないから貰うんだぜ? 次お願いします!」


そして親父と優吾は激しく打ち合っている。


…正直に言って、武術で優吾には敵わないな…

お父さんが優吾を連れてきた理由も、武術に才があるってことだし。


しかしあいつなんでお父さんのブレる剣筋を受けられるんだ?


お父さんの正面突きを、優吾はメリケンサックのような武器で受け止めようとする。

すると、短刀が急にブレていきなり頭上から降ってくる。

それをアッパーで受け止めようとするが、また剣がブレて…を何回も繰り返している。


何回も繰り返しているが、さすがに歳の差で優吾が負けてしまう。


「優吾も集中切れだね…」


「ハァ…まったくだ…早く見切らないと…」


皮肉ったつもりなんだけどなぁ。

それと敬語は消えた。

友達って感じになったからな…癖でもないし。


さらには魔術を使った身体操作も習っていく。


お父さんに、魔素で体をいじっても平気なのかを聞いたところ、


「安全に行えば大丈夫だよ。脳の安全装置を外すイメージをして、意識すればできるようになるよ」

「ただし、体の構造について詳しくないと体を壊しかねないから、まずは人体についての勉強だ」


と、半年ほどは生物学を学んでいた。あれ? 武術は?


だが体の構造を理解していくと、身体の操作ができるようになってきた。


「負傷部から血が出た場合、最初に魔素を操って白血球を集める。さらに、血小板を集めて止血する」


「応急処置ではあるけれど、生存率は上がるから瞬時にできるようにしようね」


最後に血流操作が相手にできれば上出来と締めくくった。


一方、筋力増加は難しいようだ。


「筋力増加は少し無理があるかな。意図的に筋を太くしたり、増やすのは負担が大きいし、そのための細胞を他から持ってこなくちゃいけないからね」


…自力で増やしていくしかないようだ…


夕食までお父さんとの特訓は続き、優吾を家に帰す。


夕食の準備はお母さんが作ってくれるが、礼儀作法は学んでいく。


就寝までは両親二人による座学だ。


一般教養から専門分野まで、広く教わっていく。


夜10時に就寝。一年間週6日でこのサイクルだ。


1日丸々休みだが、休息も大事とのことでとっている。


…一度、こんな生活を毎日続けられる5歳児ってどうなのよ…と思い、お父さんに聞いてみたことがあった。


「う~ん。普通の5歳児ならおかしいと思うけど、耀子お嬢様や優吾君、どちらも5歳児には見えないし、お父さんも5歳の頃こんな感じだったからあんまり不思議と思えないんだよね。ハハハ…」




…どうやらここら一帯の人達は少し特殊らしい…主に精神面が…


ありがとうございます。

いかがだったでしょうか?

コメント・ご指摘等いただけたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ