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第四話「筋肉お化けならぬ魔術お化け」

耀子隊長によるヨウジョーズ・ブート・キャンプ

俺達は、裏庭に移動して、ある程度の広さを持った特訓場のような場所に移動した。


「じゃあ充一郎よ! まずは、魔素を知ることね!」


耀子ことお嬢は、俺に魔素について教えてくれた。


「魔素とは何か、その答えはエネルギーの源よ!」


「みなもと…エネルギーって熱や運動とかですか?」


「その通りよ! 魔素は魔術を発現するために、物質を操るわ! その際に、魔素を運動エネルギーや熱エネルギーに変化するのよ」


「では先ほど見た火の魔術は、魔素で空気中の酸素を手元に集めてから酸素を激しく運動させて、火を出したってことですか?」


「まぁ、大体あってるわ! まずは体の中や大気中の魔素をエネルギーに変化させるためにも、魔素を認識する必要があるわね」


そう言うと、俺の体の周りに風ではない何かが触れてきた。


「風が吹く、透き通るような感じじゃない…これが魔素という物質なのでしょうか?」


「そうよ! どう? 理解できそう?」


う~ん…あるっていうのは何となくわかるんだけど、何で操れるんだ?


「お嬢、どうやって魔素を操っているのですか?」


「え? どうやってなんて、そんなの体の一部だから意識すればできるじゃない」


へ? 体の一部?


「大気中にある魔素も体の一部なのですか?」


「と言うよりも一部にするのよ。そうね…まずは魔素の特性について説明してあげるわ!」


そして、お嬢による魔素の講義が始まった。

魔素とは質量を持っているにもかかわらず、物体を透過できる物質だそうだ。


なんだそのわけわからん超物質は?


何でも4000年頃、学者がなぜ魔術が使えるのか?

という疑問から魔術を観測した時、発現する過程で外から'何らかの力'が加えられていると提唱した。


また同時期に、魔素は地球上のみならず宇宙空間にまで存在しているとも提唱された。


ある学者が銀河を観測したところ、銀河が高速で回転していることがわかった。


普通ならば遠心力によって中心から離れている星は回転周期が長いはず。

だが、中心から離れた場所でさえも高速で回転していて、銀河全体の合計の質量が合わなかったそうだ。


何か見えない力が存在していると思った学者は、同時期に提唱されていた魔術を発現させるための'何らかの力'をイコールで仮説を立ててみた。


するとそれが証明され、魔素は質量を持つ見えない物体として世に出回った。


それから多くの学者が、その何らかの力を証明しようと幾多の実験を繰り返したようなのだが…

いまだに解明はされていないらしい。がんばれ偉い人。


しかし、ある実験中に魔素がエネルギーの流れに乗りやすい物質であることが分かった。

水の流れや風の流れ、さらには体内の血流の流れに多くの魔素が流れて溶け込んでいると証明される。


これらの流れは、運動エネルギーや位置エネルギー・熱エネルギーが起こしている現象であるから、エネルギーに溶け込むのは魔素の性質なんだろう。


身体の一部ということはわかったけど、何で操れるんだろうと疑問に思ったが、


「魔素は体の一部ではあるけど、体を構成している物質ではないわ。」

「血液の流れを早くする、遅くすることは脳で意識してもできないけど、走ったり止まったり、排せつを我慢することは脳で意識してできるでしょ?」

「魔素は体に馴染んだ体の一部だけど勝手に動かしても生命活動に支障をきたさない、だから脳で意識すれば操れるのよ!」


ということらしい。さすがに大気中の魔素を操るのは体外のことだから、誰でもできるということではないとお嬢は付け足した。


「私はできるわよ!」 


ドヤ顔も付け足した。かわいいなおい。


 要するに、

血液に溶け込んでいる魔素を操るには、血流を意識して魔術を発現する場所に収束させればいいわけだ。


ならば、と俺は目の前に腕を持ってきて、魔素をイメージする。


先ほどお嬢に触れさせてもらった魔素を思い浮かべながら、手元に集めていく。


なんだか手元が重くなってきたところで、空気中にある酸素だけ集めるイメージをする。


空気中の物質の割合は、窒素7:酸素2:その他1。

分子構造や多すぎると毒になる性質などを考えながら、2割しかない酸素を手元に収集する。


そして熱を放出させるために、酸素分子を手元で高速運動させるイメージ。

これで分子同士を何度もぶつからせて反応させようと思ったのだが…


「なぜだ…萌えな、ちがう燃えない!」


ちっとも燃えないんですけどー!!!

周囲の気温は上がっていて暑いのに、発火することはなかった。


「充一郎、それだけで燃えると思ってるの?」


え? だって酸素を燃焼させて燃やすのでは?


「いい? 酸素のみじゃ燃えないわよ? 燃やすための燃料がなきゃだめよ」


なんだと…じゃあ紙や木をいつも持ち歩かなきゃいけないのか?


魔術って思ったより不便なのかと思っていたら、お嬢が真顔で俺に投げかけてきた。


「ねえ充一郎。 火って何だと思う?」


「火、ですか? 赤くて熱いやつですよね?」


「そうね。じゃあその赤くて熱い奴ってなに? 物体? それとも現象?」


何を言っているんだこの幼女は。


「木を燃やすと火がでるわよね?」

「火の付け根のほうでは木が燃えて炭になっている。じゃあその上にある、ゆらゆらしている奴って何だと思う?」


……なんだろう? よく考えたことなかったな。


「酸素が燃焼して漂っている…てことではないですか?」


「じゃあ何で酸素だけを集めて燃やそうとしている充一郎の手に、火が出ないのよ」


ぐッ…たしかに。ならどうやって火が漂っているんだ?


「まぁ仕方ないわね。正解は燃えた木のススが空気中で燃焼しているのよ」


クソッ…幼女に呆れられた…

しかしススか。ということは。


「燃えたススは軽い物質であり、周囲の温度は熱で上がっているから上昇気流が発生して、燃えながら上に向かうことで火が発現する…てことですか?」


「そうよ! ある程度のことは知ってるじゃない! なら後はわかるでしょ?」


簡単に言いやがりますねお嬢よ。ん~だったら…


「周辺のチリなんかも手元に集めて一緒に燃やす…であってますか?」


「半分正解ね。それだけだと小さな火の玉しか出ないわよ?」


「え? じゃあもう半分は…」


「もう半分はこうするのよ!」


そういって腕を振り上げたお嬢の手のひらには、人並み大の火球ができた。


「二酸化炭素を引きちぎって酸素と炭素にしたら、そのまま燃やすのよ!」


どうだ~! と言わんばかりのドヤ顔をこちらに向けている。


「引きちぎるって二酸化炭素の結合力がどれだけ強いと思って…」


「そのための魔素よ! 魔素を使えば物質を千切っては繋げるなんてお茶の子さいさいよ!」


ぅゎょぅι゛っょぃ。

デスボール(火炎)が大気を焼き尽くしている様を、俺は呆れながら眺めていた。


この魔法馬鹿お嬢による特訓は始まったばかりに過ぎないのだ...


ありがとうございます。

いかがだったでしょうか?

前話の文字数はすくないかな?と思い、

今回は少し文字数を増やしてみました。

コメント・ご指摘等いただけたら幸いです。


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