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プロローグ 雪と赤
初めての投稿なので、うまく出来ているかわかりませんが、読んでいただけると幸いです。
闇そのもののように暗い空から、横殴りの雪が降っている。
地面に積もった雪の上には、その白を塗りつぶすかのように赤い血溜まりが広がっていた。
どこを見ても、折れた槍や旗、もう動くことのない人達が横たわっている。その場所ごと死んでいるようだった。
その中で一つだけ、ぽつんと立ち尽くしている影があった。長く艶やかな白髪が印象的な少女だ。
年齢は十歳くらいだろうか。まだ少し幼い顔立ちだが、その透き通るような碧眼だけは大人びている。
血まみれの少女は、ぼんやりと淀んだ空を眺めていた。
「……私は――」
少女の体が何かに殴られたように震え、ゆっくりと傾いていく。白色の髪がさあっと広がり、少女は雪の上に崩れ落ちた。
「……わたし、は……」
青い瞳は虚ろで、鏡のように周りを映し出している。しばらくすると、糸が切れたかのようにまぶたは閉じられた。
雪は、少女を覆い隠すように降り続いた。