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僕は君との思い出を  作者: 海鴨
第一章 異世界
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プロローグ 夢と現実

2016年1月1日から投稿しました作者の初めての作品です。

見苦しいところも可笑しいところもあるでしょうが、末永く宜しくお願いします。


※毎週土曜日に投稿します。また、他の曜日にも投稿しますが不定期です。


――僕は今、夢を見ている。


 何で分かるのかって聞かれても、何となくそう感じるとしか答えられない。


 だから今は夢の中だと思う。ただ、この夢は自由に体を動かせるんだけど視点だけは一箇所に固定されている。


 いや、違うかな? どうしても目が離せないんだ。その光景に。


 それはずっとずっと同じ光景の繰り返し。


 僕が生まれてからの数十年間を走馬灯のように見ている。


 出会っては別れていく人達の顔や名前は覚えていない、自分の親の顔も、たぶん居たであろう友達の名前も思い出せないんだ。



――でも、夢って言うのはそういうものだよね?



 ……また変わった。


 この夢は何時いつ唐突とうとつに場面が変わる。


 それは、見たこともない知らない世界の光景。


 一組の夫婦から赤ん坊が生まれて。その子が成長して仲間と共に旅に出て行く夢。


 その世界には剣と魔法が存在していた。


 子供は仲間と共に、同じ人間達と戦ったり、人間とは見た目の違う獣耳が生えた人達と戦ったりしていた。


 それが終わると、恐ろしくて醜い化け物達が世界を蹂躙じゅうりんしにやってくる。


 それはゴブリンやオーク、ドラゴンだったりと多種多彩な化け物との死闘。


 そして最後に。青年にまで立派に成長した男の子は、角の生えた悪魔みたいなのと戦って。相打ちになって終わる。


 この夢を、り返しり返し見ている。


 しかもこの夢は繰り返すたびに少しずつ内容が減っていくんだ。


 その夢から消えかけていく内容を思い出すのは難しい。抜けていく光景の場所は完全に不規則で、何処どこの場面が抜けたのかも思い出せなくなっていく。


 そのうちに抜けた事すら思い出せなくなるんだ。


――でも、


 抜けたことが、たまに分かるんだ。


 何でかって?


 僕も何でか分からない。けど、泣いているんだ。


 何が抜けたか分からないのに、その抜けたものが大事な物だって、


 いや。


 大事な思い出だったっていうのが分かっていて、


 泣いているんだ。


 もうこの夢は、何千、何万と繰り返し見ている。


 もうそろそろ起きて、普段の生活に戻りたいんだけど、このまま見ていたい気もする。




 …………。


 ……。


 永遠に続くかとも思っていたけれど、


 そろそろこの夢も終わるみたい。


 徐々に周りが暗くなってきて、目が覚める予感がする。


 いや、これから眠るのかな?


 もう夢の内容はほとんど抜けて落ちてしまって、内容はちぐはぐだ。


 頬につたった最後の涙が落ちたときに、


 僕の意識は深い闇に落ちていった。




ここでは本編に出てきた言葉や造語の解説をしようと思っています。

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