表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神童セフィリアの下剋上プログラム  作者: 足高たかみ
第一章 【アルヒー村】
23/284

0歳10ヵ月 2



「そんちょーさん」


 私が彼の後方、約二メートルほどから声をかけると、バシュハル村長は「おっひょぉ!?」と情けない声をあげて飛び上がりました。

 そして、とてもゆっくり、恐る恐るといった感じにこちらを振り返る村長。

 私がにっこりと微笑むと、村長も引き攣った笑みを返してくれました。


「ねぇ。なに、してるの?」

「お、おお……この、これは、そのですね……」

「へんじがおそいひとって、わたし……―――きらいだな」

「ひぃ!? も、申し訳ありません!! ネルヴィア殿のことで、セフィリア様にお願いしたいことがあって参りました!!」

「……おねがい?」


 私が小首を傾げると、村長は冷や汗を流しながら何度も頷きます。


「じつは、ネルヴィア殿とお話をさせていただきたいのです!」

「だめ」

「即答!?」


 村長はしわがれた声を絞り出しながら、何やら懸命に訴えてきました。


「儂も勇者信仰の敬虔なる一信徒として、騎士修道会の騎士殿とお話がしたいのです!」

「じゃあ、わたしについてのおはなしはしないよね?」

「……、もちろんですとも!」


 今ちょっとタイムラグなかった?


 ……まぁ、でも私の方からネルヴィアさんに正体を明かした今となっては、べつに村長と話をさせてもほぼ問題はないんですけどね。

 ネルヴィアさんにも村長にも、私が魔法を扱えることは秘密にしていますから、これ以上面倒なことにはならないはずです。


 私は空を仰いで、しばらく考え込むふりをしてから、


「うーん。じゃあ、いいよ」


 と、不承不承(ふしょうぶしょう)といった感じを演出しつつ、許可を出しました。

 村長は「ありがとうございます!」と礼を述べつつ、早速 私の家へと駆けこんでいってしまいます。元気なお爺ちゃんだなぁ。

 まぁ、村長は面倒なことばっかりしますけど、いつもは優しいお爺ちゃんですから結構好きです。

 それに村のみんなのことをとっても大事に思ってくれてますし、村長の判断はいつも的確で、この村の窮地を何度となく救っているそうです。

 ……たまに暴走してしまうという点では、私のお母さんだって大差はありませんしね。


 私はそんなことを考えつつ、家に帰ろうかどうか迷ってしばらく立ち尽くしていましたが、やがてゆっくりと私の家へ向かいます。

 そして、ふと村長とネルヴィアさんが何を話しているのか気になって、玄関扉の前で聞き耳を立ててみました。

 すると、


「……は、はい。ですので創造の女神様が、相応しい人に力を与えているという説が濃厚かと……」

「勇者様の魂自体に力が宿っていて、転生を繰り返しているわけではないということですかな!?」

「はい。なので、場合によっては勇者様の力を持った人が二人同時に存在することも、あり得ないことではないのかもしれません」

「なるほど! つまりセフィリア様は“勇者様の生まれ変わり”というよりも、むしろ新たに女神様に選ばれし、“勇者様の再来”というわけですな!! ハァーッハッハ!!」


 私は玄関扉を「バンッ!!」と乱暴に開くと、背後に陽光を背負いながらにっこりと微笑みます。

 そして親指でクイッと外を示して、低い声で言いました。


「バシュハル。ちょっとおもてでろ」


 どうやら狂信者を更生させるためには、今まで私が与えてきたアレでは生温かったようです。


 ……村長の●●●を×××りながら、さらに△△で○○○○るくらいじゃないとダメみたいです。


 その日は一日中、村長の悩ましい声が村に響き渡りました。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ