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神童セフィリアの下剋上プログラム  作者: 足高たかみ
第四章 【帝都魔術学園】
172/284

1歳7ヶ月 1

//おなじみの呪文回です。わからなくても大丈夫ですが、今回はなるべくわかるように書いたつもりです。

//携帯やPCの機種によっては表示されない文字がありますが、ご了承ください。



 一ヶ月近くも“空気と風”について科学的な学習を徹底させたため、みんなある程度は風というものを理解してくれたと思います。


 そのため今度はいよいよ、風の起こし方……つまり空気の支配方法について学習していくことにしました。



ฎธๅ 風 ╞ ข๏ฎค ╡

 ใฉธค¯อ ฎธๅ ฬฎธคƂ

 ฬฎธค ฿ ฬฎธค - σ₀Ƃ

 โ€ๅษโธ ฬฎธคƂ



「それではまず、ログナくん。風をおこしたければ、どうすればいいでしょうか?」


 教卓の上にちょこんと座った私が、いつぞやと同じようにお兄ちゃんを指名しました。するとお兄ちゃんはぴくりと肩を震わせて、緊張した面持ちながらもすぐに口を開きました。


「え、えっと……キアツの高い方から、低い方に空気が流れるから……キアツを上げる……あっ、空気をたくさん増やせば、風が起こる……?」

「はい、大正解です! よくできました!!」


 私はやや大げさに手を叩きながらお兄ちゃんを褒めてあげると、お兄ちゃんはホッとしたように息を吐きながら、照れくさそうに はにかみました。


 ……そしてお兄ちゃんはボズラーさんへ、意味深な熱い視線を送ります。その視線にボズラーさんは微笑を返しながら頷いて、まるで目と目で以心伝心ってカンジ……。

 うぐぐ、なんですかそれは。「ボズラー先生に教わったおかげです」って? 「いやいやログナくんの実力さ」って? ちげーよ! 私が最初に授業で教えてあげたんじゃんっ! ボズラーさん、創造神の四属性とかほざいてたじゃん!


 お兄ちゃ~ん、私だって寝る前に毎日ちょっとずつ復習の授業してあげてるよね? お兄ちゃんはあんまり集中力が持続しないみたいだから、十五分って時間を区切って! 寝る前の学習は脳に定着しやすいんだよ、知ってた!?

 そのうち本当にいじけちゃうんだからね、もう……


 私は内心でむくれているのを悟られないように取り繕いながら、授業を進めます。


「そのとおり。空気をふやせば、ふえたところから風がうまれます。つまり『風を起こす魔法』というのは、『空気を増やす魔法』とほぼおんなじってことです。ここまではだいちょうぶですか?」


 私の確認に、お兄ちゃんを含めた生徒たち四人は一斉に小さく頷きました。この一ヶ月で、彼らの自然に対する理解度もかなり向上しているように思います。


「この呪文も、空気をふやすことで風をおこしています。『空気をふやしてね』と命令しているところは、この一文です」


 そう言って私が指示棒で“ฬฎธค - σ₀Ƃ”という部分を示すと、お兄ちゃんは真剣なまなざしでプリントを見つめていて、メルシアくんはある程度知っているためか、小さく頷いていました。

 ヴィクーニャちゃんは私の指示棒の先をジッと見つめていて微動だにしませんが、紅茶のカップは脇に置いているので彼女なりに集中して聞いているみたいです。

 そしてリスタレットちゃんは、この中で唯一真剣にノートを取っています。あのノート、ちょっとした魔導書になりそうだな……


 私は“- σ₀”の部分を指示棒で示しながら、


「ちなみにここでは、『五〇を加算してください』と命令しています。でもみなさん、“五〇”ってなに? って思いますよね?」


 生徒の皆さんが一斉に頷くのを見た私は、自分のちっちゃな手のひらを前にかざしました。

 そしてネルヴィアさんから貰った首飾りの、『立崩体(ピースメイカー)』が封入されている羽根をカチッと傾けます。

 すると私のかざした右手から、一辺五センチほどの黒い立方体が出現しました。


「これが、“一”です。この大きさの空気に、これの五〇倍の大きさの空気をくわえるのが、この風の魔法です」


 “ใฉธค”というのは、“手のひらに接している領域”に命令を与える宣言です。

 つまり「今から言う命令を、手のひらに接してる部分に適用してくださいねー」ということ。正確には手のひらに接している部分だけではなく、手のひらを基点とした直径五センチほどの立方体が範囲ですけど。

 そしてこの“ใฉธค”は宣言と同時に、自動的に整数の“一”が割り振られます。


 ちなみに今回は“ใฉธค¯อ”という宣言を用いていますが、この“¯อ”の部分は『領域内に存在する気体に』という意味です。うっかり空気以外の物質量を増やして事故が起こったら大変ですからね



ฎธๅ 風 ╞ ข๏ฎค ╡

 手のひらの気体に ฎธๅ ฬฎธคƂ

 ฬฎธค ฿ ฬฎธค 50を加算せよƂ

 โ€ๅษโธ ฬฎธคƂ



 私はさらに、文中に何度も出てくる“ฬฎธค”という文字を示しながら、


「この文字は、“変数(へんすう)”といいます。変数っていうのは、『数値を入れておく箱』です。空気をふやすためには、“元々どれくらいあるのか”と、“どれくらい変化させるのか”という数値の情報がひつようです。ここまではだいちょうぶでしょうか?」


 私がみんなに確認してみると、お兄ちゃんとリスタレットちゃんがちょっと難しい顔をしていたので、説明を加えることにしました。


「たとえば、そうですね……。今日のみなさんのお昼ごはんは、わたしが用意するとします。さて、それではみなさん、お昼ごはんの量は、ふやしてほしいですか? へらしてほしいですか?」


 私がそう問うと、四人は怪訝そうな表情になりました。それはそうでしょう。この質問には、決定的に判断材料が足りていません。


「そうですよね。わたしが用意した“お昼ごはんの量”が、みなさんにはわかりませんよね? それじゃあ、ふやしたほうがいいのか、へらしたほうがいいのか、わかりません。もっといえば、“どれくらい”ふやしたほうがいいのか、へらしたほうがいいのかがわかりません」


 ここまで言うと、リスタレットちゃんは少しピンときたようです。


「これを魔法の術式風にいうと……いま、お昼ごはんの量をしめす“変数”には、どんな数値がはいっているのかがわかりません。これじゃあ、“元々どれくらいあるのか”と、“どれくらい変化させるのか”はわかりませんよね? それじゃあ、わかるようにしてあげないといけません」


 私は教卓から取り出した適当な小石を三つ、みんなから見えるように並べます。


「変数には名前がひつようです。なのでお昼ごはんの変数名は『ランチ』としましょう。みんながいつも食べているお昼ごはんの量……つまり『ランチ』は“三”です。今日、わたしが用意する『ランチ』は“一”です。これじゃあぜんぜんたりませんよね? じゃあどうすればいいかというと、今日の『ランチ』に“二”を足してあげればいいんです。そうすれば、いつもの量になりますよね」


 一つ置かれた小石の横に、小石を二つ並べて、最終的に三つの小石になりました。これがみんなの普段食べる量なのですから、お昼ご飯の量を適正にすると言う目的は達したことになります。

 お兄ちゃんの表情を見るに、どうやら理解してくれたみたいです。


「では、いまのをふまえて、風魔法の呪文をみてみましょう」



ฎธๅ 風 ╞ ข๏ฎค ╡

 手のひらの気体に ฎธๅ 変数(1)Ƃ

 変数(1) ฿ 変数(1)に 50を加算せよƂ

 โ€ๅษโธ 変数(51)Ƃ



「さっきもいいましたが、手のひらの空気には“一”がはいっています。ここに五〇をくわえるということは、さいごの変数には五十一がはいっていることになります。もし変数をつかわずに数値を書いてしまうと、術式が複雑になったときにどの数値がなにをしめしているのかがわからなくなってしまいます。ですから、なんの数値をいれているのかがわかる名前を変数につけてあげましょう」


 私がそう言うと、ヴィクーニャちゃんがお上品に右手をちょこんと挙げました。


「先生。そのヘンスウっていうのには、どんな名前でもつけられるのかしら?」

「いいえ。予約語といって、すでに呪文のなかで意味をもっている名前はつけられません。たとえば、これとか」


 そう言いながら私は、呪文の一番下の行にある“โ€ๅษโธ”という単語を示します。

 それが術式の中で意味を持っている単語なのか、それとも変数なのかがわからなくなるような書き方だと、術式として意味不明になってしまいます。

 極端な例を挙げるなら……中学校の名前に“小学校”とつけるようなものでしょうか。私立小学校中学校。……べつに名前は自由ですけど、これでは意味が分かりません。“帝国共和国”とか“一軒家マンション”なんて名前が存在しないのと同じことです。


「とはいえ変数の名前は、みなさんがいつもつかっている文字でもつかえます。なのでみなさんがわかる文字に書きかえちゃいましょう」


 ちなみにこの説明を以前ボズラーさんにしたとき、彼は「マジかよ!?」と叫んで仰天していました。

 口に出して行う詠唱ならともかく、原文である呪文言語に現代語をぶっこんでも動作するなんて普通の魔術師は考えもしなかったようです。


「そして、『これから変数にこんな名前を付けて使います』という宣言をしているのが、このぶぶんです」


 私は“ใฉธค¯อ ฎธๅ ฬฎธคƂ”を示しながら、そう言いました。



ฎธๅ 風 ╞ ข๏ฎค ╡

 手のひらの気体に 変数として数値(1)と「風量」という名前を与えますƂ

 風量(1) ฿ 風量(1)に 50を加算せよƂ

 โ€ๅษโธ 風量(51)Ƃ



「あ、あの……!」


 と、ここでメルシアくんが挙手をしました。

 私が「はい、なんですか?」と優しく問うと、


「ちょっと根本的っていうか、今さらな質問になっちゃうんですけど……」

「かまいませんよ」

「あの、魔導書とかに載ってる呪文って、だいたい一行で書かれてませんか?」


 ……ああ、なるほど。そのことですか。

 確かにこの世界の人たちにとっては、呪文は一行で書かれているっていうのが常識です。


 しかし私はにっこりと微笑みながら、一言。


「でもそんなの、読みにくいでしょう? だから、改行しました」

「……な……なるほど」


 私の返答に、メルシアくんはポカンとした表情で呆気に取られていました。

 コロンブスの卵というか、なんというか。私にとっては常識でも、この世界の魔術常識では“改行”という概念はこれまで存在しなかったようです。

 これもカルチャーショックって言うんでしょうか? いえ、次元(ディメンション)ショック?


 私は文中にちょくちょく出てくる“Ƃ”という文字が『ここまでが一文です。ここで改行していいですよ』という意味であることを補足しました。

 そして私は続けて、真ん中の方にある“ฬฎธค ฿ ฬฎธค - σ₀Ƃ”という一行を示します。


「ここでは、変数のなかの数値で計算をしています。さっきわたしが小石をつかってやったみたいな計算です」


 ここでは、一に五〇を足すという計算です。

 途中にある“฿”というのはイコールという意味で、『右辺の計算結果を、左辺に代入せよ』という意味を持ちます。



ฎธๅ 風 ╞ ข๏ฎค ╡

 手のひらの気体に 変数として数値(1)と「風量」という名前を与えます

 風量(1) (←代入) 風量(1)に 50を加算せよ

 โ€ๅษโธ 風量(51)



「あ、私も質問いいですか!」


 そう言って元気に挙手をしたリスタレットちゃんに、私は「はい、どうぞ」と促します。


「あの、この術式は最後に五十一っていう数値を引き出したいのはわかったんですけど……じゃあ、一が入ってるヘンスウに五〇を足した時点で五十一は存在するのに、どうしてもう一回ヘンスウに入れたんですか?」


 リスタレットちゃんの質問に、お兄ちゃんとメルシアくんが首を傾げました。


 あー、つまり変数に数値を足したら、その時点で“変数の中の数値”が変化するんじゃないのかってことでしょう。

 “ฬฎธค ฿ ฬฎธค - σ₀Ƃ”の右辺、“ฬฎธค - σ₀Ƃ”の時点でฬฎธคに数値を加算しているんだから中の数値は書き変わってるんじゃないか? だとすればわざわざ左辺の“ฬฎธค”に改めて代入する過程は必要ないんじゃないかってことですね。


「うーん、いえ、それじゃだめなんですよね。きちんと『代入せよ』と命令しないと、“変数の中の数値”はかわらないんです」

「……どうしてですか?」

「『変数に数値を加算する』んじゃなくって、『変数の数値を使って計算結果を算出する』っていうのが右辺であって……みちびかれた答えは、まだどこにもはいってないんです」


 今回は直接『変数A = 変数A + 数値』という式になっていますが、もしかしたら『変数A = 変数B + 数値』ということがやりたくなるかもしれません。もしもその時、変数Bが計算式の中で数値を書き換えられてしまったら、以降の文の中で変数Bに入っていた数値が使いたくなった時、計算式で使う前に変数Bの値を変数Cとかに入れておかなければならないわけで、手間や行数、メモリの消費が増えてしまいます。

 それを避けるために、変数を計算に使っただけでは変数の数値は変動しないという仕様になっているわけです。


 ……というようなことを説明したところ、どうやらしっかり理解してくれたのはヴィクーニャちゃんだけみたいでした。メルシアくんとリスタレットちゃんはぼんやりわかった感じで、お兄ちゃんは頭を抱えちゃってます。……うん、お兄ちゃんには今夜の個人レッスンでみっちり教えてあげるからね。

 あとで加算代入演算子とかの存在を教えてあげたら、みんなちょっとはすっきりするかな?


 そして私は最後の文にある“โ€ๅษโธ”という部分を示しました。


「これは、『この結果を現実世界にお返しします』っていう意味になります。この魔法のばあいは、『手のひらに触れている空気に五〇が加算されたもの』がわたしたちの世界にあらわれるってことです」


 さっきまでいろいろと計算したりしてましたが、ちゃんと“返す”ものを指定しないとまったく意味がなくなってしまいます。そして何も返さないのはもちろん論外ですが、計算したのは変数Aなのに計算なんてやってない変数Bを返しちゃったら、今までの計算は全部無意味ということになってしまうわけです。

 まぁ、この世界の術式(プログラム)はそこまで複雑なものを構築しませんし、ほとんどの場合は間違えようがないとは思いますけどね。



ฎธๅ 風 ╞ ข๏ฎค ╡

 手のひらの気体に 変数として数値(1)と「風量」という名前を与えます

 風量(1) (←代入) 風量(1)に 50を加算せよ

 返却します 風量(51)



 さて、これで最後です。

 私はまず、一行目の“ฎธๅ”を示しました。


「これは、さいごに返すものの種類をしめしています。整数なのか、実数なのか、自然数なのか、正否なのか、いろいろありますが……こんかいは“整数”ですね」


 物質量はマイナスになりようがないので自然数でもいいんですけど……まぁ今はそこまで厳密にメモリを節約することもないでしょう。


 今日までの理科的な授業の合間に、じつは数学的な授業も行っています。

 整数や実数くらいなら小学生レベルの内容ですので、すぐに生徒たちも理解を示してくれました。


「次に“風”と書いてあるところですが、ここにはすきな文字をいれてください。ここも変数とおんなじで、みなさんがいつもつかっている言葉でだいちょうぶです。ただしここは魔法を発動するときに唱えるぶぶんなので、あんまりながいのはオススメしません」


 そして私は最後に“╞ ข๏ฎค ╡”を示しながら、


「ここは、こんかいは気にしなくていいです。いろんな魔法をくみ合わせてつかうときに必要になるところですので」


 ここで説明しても良いんですけど、あんまり詰め込み過ぎると頭の中がごちゃごちゃになっちゃいますしね。今はまだ詳しく説明しなくても大丈夫でしょう。



整数を返却する術式 【魔法名】 ╞ 外部から受け取る数値はありません ╡

 手のひらの気体に 変数として数値(1)と「風量」という名前を与えます

 風量(1) (←代入) 風量(1)に 50を加算せよ

 返却します 風量(51)



 私は一通りの説明を終えて、みんながここまでの説明を頭の中で整理する時間を取りました。

 特にリスタレットちゃんは熱心にノートを取っていて、ノートが細かい字でびっしりと埋め尽くされています。

 メルシアくんも要所要所でプリントにメモを記していますし、ヴィクーニャちゃんも今日は紅茶に手も付けず、顎に手を当てて真剣な表情で聞き入っていました。

 お兄ちゃんはちょっと説明について来れてないみたいですけど、夜の個人レッスンで私が復習させてあげるので大丈夫です。


「さて。それじゃあ、どんなふうに魔法を発動するのかを、じっさいにボズラーさんにやってもらいましょう!」


 私の指示に小さく頷いたボズラーさんは、右手を軽く前に突き出しました。

 すると生徒たちは食い入るようにボズラーさんの一挙手一投足に注目して、教室が一気に静まり返ります。


 そして静かに目を閉じたボズラーさんが、口を開きました。


「―――我が名に平伏し従え“風”よ。その数を増し、顕現せよ―――『ウインド』」


 詠唱の完了と共に、ボズラーさんの手のひらから風が巻き起こりました。

 子供の練習用として調整してあるため威力はかなり抑えていますが……それでもみんなの髪やプリントが軽く舞い上がるくらいの風が巻き起こりました。

 そして「おぉ~」と沸き起こる歓声。ただ普通に魔法を見ただけではそこまで関心することはなかったでしょうが、今までの授業で魔法の発動がどれだけ難しいかを思い知っている彼らは、素直にボズラーさんへ尊敬の眼差しを送っています。


 ……それにしても呪文の詠唱が、いつぞや聞いたルルーさんの詠唱とそっくりでした。やっぱり師弟というか……ボズラーさんがどれだけ師匠を敬愛しているのかがよくわかりますね。


 ボズラーさんは赤みがかった金髪をキザっぽい仕草でかき上げると、


「セフィリア先生はどんな魔法でも無詠唱で発動しているが、あれは超上級者の離れ業だ。一人で国家を潰せるようになってから挑戦してくれ。……最初のうちは呪文をゆっくりと目で追って、術式の概念を自分なりの言葉で整理して、それをゆっくりと声に出しながら発動することを心掛けるんだ」


 ボズラーさん曰く、無詠唱で呪文を発動するというのは本当に難しいことなのだそうです。

 まず呪文を頭の中で鮮明に思い浮かべることができるっていうのが最低ラインだということを思えば、確かに普通の人には難しいかもしれませんね。私も術式(プログラム)以外のもの……たとえば人の顔を写真のような鮮明さで思い浮かべることはできませんし。


 ともあれ、これでこの呪文に関する大体のことは教えられました。

 あとは生徒たちそれぞれの理解度に応じて、彼らのわからないところを一つずつ潰していきましょう。


 私の魔術と科学の知識と、ボズラーさんの一般人と魔術師としての感性。

 私たちが教師として結束すれば―――きっと良い教室になると信じています。



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