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神童セフィリアの下剋上プログラム  作者: 足高たかみ
第三章 【イースベルク共和国】
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1歳3ヶ月 34



 宿屋を出た私たちは、建ち並ぶ食事処やその他の商店などを覗きながら、ルーンペディを練り歩いていました。

 いつもは最後尾か、あるいは誰かの背中に乗って移動することの多いルローラちゃんですが、この時ばかりは最前列で、周囲へと熱心な視線を巡らせていました。


 ……でも今のルローラちゃんは、うっかりエルフ耳が見られないようにフードを目深に被っているような状態です。

 そんな格好をした小学生くらいの少女が、通る先々のお店を外から血眼ちまなこになってがっつり覗いていく様子は、紛れもない不審者なわけで。

 大通りを巡回している警備のおじさんに職質を食らわないかと、私はずっと冷や冷やしっぱなしでした。


 ルローラちゃんがそんな怪しげな行動を続けている間、私はケイリスくんに指示を出して、聞き込みをしてもらうことにしました。

 黒一色の変わった格好で、その上エルフ特有の美しい容姿とくれば、さぞや人目を惹くだろうと考えたのです。


 その結果……私の考えは的中していたらしく、道行く人々に三人くらい話しかければ、必ず一人くらいはリルルを見かけたことがあるという答えが返ってきました。

 そこから有用な目撃情報を選別し、より情報を精査していった結果、ある程度は目撃される場所を絞ることに成功。

 そしてルーンペディの西地区にある大通りが最も目撃情報が多いという調査結果に基づき、私たちは再び捜索を再開しましたが……

 しばらくすると徐々に陽が傾いてきて、やがてシックなデザインの街灯が灯り始めてしまいます。リルルを探し始めてから、気が付くともう三時間以上は経ってしまったみたいです。


 私はそろそろルローラちゃんの顔に疲労の色が濃くなってきたのを見て、声をかけました。


『ルローラちゃん、そろそろ……』

「あ、ゆーしゃ様……えっと、あとちょっと……あとちょっとだけだから」

『うん。でもあんまり根詰めすぎるのは良くないよ。ご飯でも食べて、ちょっと休憩しよ?』

「……そう、だね」


 名残惜しそうな表情のルローラちゃんを見ていると気の毒になっちゃいますが、このまま放っておいたら一晩中だって探し続けちゃいそうですしね。


 あっ、そうだ。この辺りの宿屋を中心に、リルルが部屋を借りていないかを調べてみるのも良いかもしれません。もしもこの街にいるのであれば、寝床が必要なはずですしね。

 この事はご飯を食べながらでも提案してみよっかなぁ……などと考えながら、私たちは適当に目についた食事処に入りました。


 そしてそれなりに盛況しているらしい店内をざっと眺め、さてどこに座ろうかなと考えていると……




「そうなんですよぉ! もうリルちゃん、ほんとにびっくりしちゃって~!」




 そんな甘ったるい声が聞こえてきた先には、カウンター席で隣のお爺さんと楽しげに話す“黒い少女”がいました。


 艶やかな黒いセミロングの髪に、耳を覆い隠すようなカチューシャ型のヘッドドレス。

 頭のてっぺんからつま先まで、ほとんどが黒一色で統一されたゴスロリ服を身に纏う彼女は……



 紛れもなく、かつて帝国で暗躍していたテロリスト、“リルル・ロル・レーラ”その人でした。




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