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キーンコーンカーンコーンとホームルームを開始するチャイムが鳴った。
俺たちが軽い雑談をしているうちにさっきまですっからかんの席に人がたくさん座っていた。
そしてチャイムが鳴って少しすると一人の女教師が教室に入ってきた。
「席につけーって、席に着いてるか」
「えっと、今日からこのクラスの担任の長谷川 美奈子。36歳独身です!!」
教室は静まり返り、生徒たちは硬直した。見た目は年の割りには若いし可愛いと思うが。
「生徒でも構いません! いつも、いつでも待っています!」
結婚できない理由が今の一言で一瞬でわかったよ。
「んじゃ、入学式まで少しあるので簡単な説明をするね」
「みんなもご存知、この学校はASR(アフタースクールRPG)という実際に自分がRPGの世界に入るシステムがありますね」
「なんとそこでいい実績を残した者は評価、成績も上がり大学、会社の推薦とかももらえちゃうんだよね」
「しかし、ここで……HPが0になったら……退学処分……だよ」
教室にいた生徒たちの顔が引き締まった。
「まぁ~、詳しい事はこの」
ドッスン!
「説明書を読んでね」
36歳独身長谷川女教師が教卓に叩きつけた物は国語辞典1冊分はあると思われる極太の説明書だった。
周りの生徒たちもえーと口に出す程の物だ。
隣座る安田も青山さんもあ然としていた。
「あっ、もうこんな時間! 入学式に行きましょう!」
そのまま俺らは先生に着いて行き体育館まで移動した。
***
入学式も終わり俺と安田は一緒に下校していた。
「やっぱりどこの学校の校長も話は長いな~」
と、入学式の半分寝た状態だった安田がまだ寝足りない顔。
「そうだな、まさか30分も話すとは……てか、体育館デカすぎだろ」
そのデカさは異常だった。たぶんあれ東京ドーム並の大きさだった。
「にしてもこの説明書ほんと重いな」
「ああ、しかも……無駄に大きい」
「あっ、俺ここでバスに乗るから、バイビー」
「あっ、んじゃ」
安田とはここで別れた。
俺は一人、夕暮れの中、駅の方へと歩き続けた。